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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1751/2051

第1751話 前髪の帰還は賑やかに(2)

「ふふっ、影人さんはシェルディアさん以外にも素敵な方々とお知り合いなんですね。流石ですわ」

「あんな奴らはどうでもいい。さっさと品書きを教えろ影人。俺様が最優先だ」

「何が流石なんだ・・・・・・? あと、お前は分かったからグイグイと近づいてくるなよシス」

 影人はキトナとシスにメニューを教えた。影人からどんなメニューがあるのか教えられたキトナは、コーラとパフェを、シスはコーヒーとスコーンを注文した。

「ソレイユ、俺が向こうの世界に行って大体どれくらいの時間が経ったんだ?」

「大体1ヶ月ほどですね。あなたが向こうの世界に行っている間、大したトラブルは起きていませんでした」

「1ヶ月? まじか。向こうには大体2ヶ月くらいいた感じだったんだが・・・・・・時の流れが違うんだろうな。思ってたよりも長くはなかったな。ちょっと早めの夏休みって感じだな」

 注文した物が来るまでの間、影人はソレイユからこちらの世界の状況を聞いた。

「うわ〜凄いです! シュワシュワして甘い。こんな飲み物初めてです!」

「何だこれは。えらく苦いな。だが・・・・・・中々どうして悪くない」

 コーラとコーヒーを飲んでいたキトナとシスは未知との出会いを楽しんでいた。かなりの数の注文を受けているシエラは「大忙し・・・・・・」と呟き、忙しなく動いていた。

(さて、せっかくレイゼロールもソレイユもいるんだ。そろそろ真面目な話でも・・・・・・)

 バナナジュースを飲んで一息ついた影人はそう思うと、口を開こうとした。どうでもいいが、久しぶりに飲むバナナジュースはそれはそれは美味かった。だが、影人がレイゼロールやソレイユに対し話しかけようとした時――


「――ねえ明夜。これからどうなるのかな?」

「さあね。ソレイユ様の話だとぶっちゃけ世界のピンチって感じだけど・・・・・・私にはピンチって事しか分からないわ」

「さっき、僕もラルバ様と会って来たけど・・・・・・そうだね。正直かなり難しい話だと思ったよ。だけど、僕たちは僕たちの出来る事をしよう」


「っ・・・・・・」

 店の扉が開く音と共にそんな声が聞こえてきた。その声に影人は聞き覚えがあった。思わず影人は入り口に顔を向ける。すると、そこには制服姿の女子が2人、男子が1人いた。

「わっ、今日凄く人多い・・・・ってソレイユ様!?」

「レ、レイゼロールもいるわよ・・・・・・というか・・・・・・」

「っ、これは・・・・・・」

 活発という言葉がピッタリなショートカットの髪の明るい少女――朝宮陽華と、クールそうな外見とは裏腹に実はかなりポンコツなロングヘアーの少女――月下明夜、そして爽やかなイケメン少年――香乃宮光司は店内を見て驚いたような顔を浮かべた。そして、3人は影人に気がつくとピタリと硬直した。

「「「・・・・・・」」」

「あー・・・・・・よう。久しぶりだなお前ら。色々あってさっき帰ってきたところだ」

 あまりの衝撃と驚きから硬直している3人に、影人はどこか気まずそうにそう言った。完全に先ほどのソレイユとレイゼロールの時と同じような反応だ。

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