第1750話 前髪の帰還は賑やかに(1)
「・・・・・・あー、そのなんだ。久しぶりだな。ついさっきこっちの世界に帰ってきたところでよ。というか、よくここが分かったな」
ソレイユとレイゼロールと久しぶりに再会した影人は、立ち上がり軽く頭を掻いた。まさかこんなにすぐに2人と会う事になるとは思っていなかったので、影人は少し緊張したような、どう接していいのやら的な様子になっていた。
「・・・・・・お前がこちらの世界に戻ってくればすぐに分かる。お前の気配は絶対に忘れないからな」
「私もです」
影人の言葉にレイゼロールとソレイユは真剣な顔で答えた。
「久しぶりねレイゼロール、ソレイユ」
「レイゼロール様。フェリート、ただいま帰還しました」
「久しぶりレール」
レイゼロールとソレイユを見たシェルディアは2人に軽く手を振り、フェリートは立ち上がり恭しくお辞儀を、ゼノはぼんやりと笑った。
「まあ、美しい方々・・・・・・まるで女神様のようです」
「レイゼロール・・・・・・なるほど、あの白髪の女がそうか」
2人を初めて見たキトナとシスはそれぞれそんな反応を示す。シエラはチラリとレイゼロールとソレイユを見ると挨拶の言葉を述べた。
「いらっしゃい。取り敢えず、適当な場所に座って。入り口は邪魔になるから」
「あ、はい。すみません・・・・・・」
「ふん」
シエラの言葉を受けたソレイユとレイゼロールは、その場から動くと影人の方に近づいて行った。
「影人、そのまずは・・・・・・お帰りなさい。あなたが帰って来てくれて本当に嬉しいです」
「・・・・・・よく帰って来たな。別に、お前がいなかったから寂しかったというわけではないが・・・・・・賑やかしがないとつまらんからな。だから、お前の帰還を祝福してやる」
ソレイユはうるうるとした目で満面の笑みを浮かべ、レイゼロールはツンと嬉しさを隠しきれぬ顔で影人にそんな言葉を送った。
「っ・・・・・・ああ、ありがとよ。俺もまあその・・・・・・久しぶりにお前らに会えて嬉しいよ」
影人はどこか照れたようにそう言った。珍しい前髪野郎のデレである。その言葉を聞いたソレイユとレイゼロールは嬉しそうに小さく笑った。
「こほん。感動の再会は何よりよ。積もる話はあるでしょうけど、まずは席に着きなさいな。ここは喫茶店。ゆっくり飲み物を飲んで話をなさい。ついでだから、会計は私が持ってあげるわ」
「そ、そうですね。ありがとうございますシェルディア」
「・・・・・・いいだろう」
わざとらしく咳払いをしたシェルディアが2人にそんな言葉を投げかける。ソレイユとレイゼロールはカウンター席に着いた。
「・・・・・・それで、そこの2人は何者だ。知らん顔だが・・・・・・」
「初めまして、私キトナ・ヴェイザと申します。影人さん達の旅に同行させていただいております。以後、お見知りおきを」
「ふん。何故、俺様が名乗らねばならんのだ。俺様の高貴な名を知りたければ、まず貴様から名乗れ」
カウンター席に着いたレイゼロールがキトナとシスにそう問いかける。キトナは立ち上がり優雅にお辞儀を。シスはふんぞり返りそう言葉を放った。
「・・・・・・何だ貴様? 死にたいのか」
「それは気にしなくていいわ、レイゼロール。一応、私とシエラと同じ真祖でシスというのだけれど、見ての通り傲慢が人の形をしているものだから」
「うん。シスに構うだけ無駄」
シスを睨みつけるレイゼロールにシェルディアとシエラがそう言った。シェルディアからシスの正体を教えられたレイゼロールとソレイユは「っ、こいつが最後の真祖か・・・・・・」「まあ・・・・・・」と驚いた。




