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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1738/2051

第1738話 天狐の助力(1)

「不甲斐ないか・・・・・・確かにその通りだな」

 白麗にそう言われた影人は自嘲気味に笑った。そして、白麗に感謝の言葉を述べた。

「ありがとな。助けに来てくれて。正直、滅茶苦茶助かるぜ」

「素直に礼を述べられる心があるのは良い事じゃ。助けに来た甲斐があるの」

 地上に降りて来た白麗は機嫌が良さそうに頷いた。

「ずっと見ておったからの。状況は分かっておる。非常に危機じゃの帰城影人。まあ、じゃからこそ妾が来てやったのじゃが」

「そうだな。1人だと突破口が見えなかった。だけど、白麗さんが来てくれたのなら・・・・・・この戦い、全然勝てるぜ」

 影人は強気に笑うとフェルフィズの方に視線を向けた。白麗の尾によって叩き飛ばされたフェルフィズは、地面に片膝を突きながら右手で体を押さえていた。

「ぐっ・・・・・・やって、くれましたね。たかが、狐・・・・・・如きが・・・・・・!」

 フェルフィズは体に治癒力を促進させる魔術を掛け、白麗を睨んだ。「識司の樹」で過去のシス達とアオンゼウの戦いを知っているフェルフィズは、白麗の事を識っていた。

「無礼な奴よの。誰に向かって言っておる。アオンゼウの器を従えているからといって図に乗るでない。異世界の神だろうが何だろうが、妾を侮辱するモノは等しく地を舐めさせてやろうぞ」

 白麗は一転顔を不機嫌の色に染めると、全身から重圧と殺気を放った。その重圧と殺気はビリビリと大気を震わした。

「はは・・・・・・地を舐めるのは、いったいどちらですかね・・・・・・イズ、やる事は分かっていますね? 私は、しばらく治癒に専念します・・・・・・後は任せましたよ」

「はい。了解しました製作者」

 フェルフィズが近くに待機していたイズを見上げる。フェルフィズの言葉を受けたイズは首を縦に振った。

「対象『破絶の天狐』、スプリガンの抹殺を行います」

 イズは傷ついたフェルフィズを守るように大量の機械人形を呼び寄せた。更に、幾度目かになる機械の剣に端末装置。更には翼から青く煌めく極小の刃の群れを放った。イズは機械の剣、端末装置、極小の刃の群れを先行させ、自身も地を蹴り影人たちの方へと接近した。

「ふむ・・・・・・」

 白麗は空間から白銀の尾を呼び出し迎撃しようとした。だが、その前に影人が『終焉』の闇で、イズ先行した全ての攻撃手段を無力化した。

「白麗さん、取り敢えず嬢ちゃんたちを頼む!」

「分かった。任せるがよい」

 影人はそれだけ言い残すと地を蹴りイズへと接近していった。状況的には仕方がないとはいえ、影人の言葉は言葉足らずだった。だが、天眼でずっとこの戦いを観察していた白麗は影人の言わんとしている事を察する事が出来た。

「自分から向かって来る・・・・・・理解に苦しみます」

 接近してきた影人にイズは大鎌を振るった。影人はその一撃を回避する。そして、イズの手首を握り大鎌を振るう事を制限させると、薙ぐようにイズの側頭部上段の蹴りを放った。

「っ・・・・・・」

「勝手に苦しんでろよ。後、超至近距離での大鎌は普通にやり易いぜ。俺からすればな」

 影人はそのままイズの頭を蹴り抜くと(影人は全身に『硬化』を施しているので、イズの機械の体としての硬さは実質問題ない)、その反動を利用して今度は左の回し蹴りを放った。回し蹴りはイズの顔面を踏み抜き、イズを後方へと飛ばした。

「・・・・・・無駄です。この体に一切のダメージは与えられません」

 蹴り飛ばされたイズは途中で翼とバーニアによる空中制御を行い、影人を睨みつけてきた。

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