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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1734/2051

第1734話 死と死(1)

 イズの放った不可避の絶対死の一撃により、ゼノ、フェリート、シェルディア、シス、ハバラナス、レクナル、へシュナに斬撃が刻まれる。へシュナ以外の肉体を有している者はその身から血を噴き出す。そして、それらの者たちはドサリと地面に倒れた。まるで死んでいるかのように。

「一網打尽で私たちの勝利と言いたいところですが・・・・・・どうやらまだそうは言えないようですね。ええ、分かっていましたとも。最後に残る可能性があるのはあなただと。何せ、あなたには同じ力がある。私の最高傑作と同じ力が」

 イズと共に地上に降りたフェルフィズがただ1人立ち上がっている者にその薄い灰色の目を向ける。そして、その者の名前を呼んだ。

「やはり、あなたが残りますか。ねえ、影人くん」

「はあ、はあ、はあ・・・・・・クソッタレが」

 名前を呼ばれた影人はギロリとその()()()の瞳でフェルフィズを睨みつけた。影人がただ1人無事だった理由、それは影人が咄嗟に『終焉』を解放したからだ。

「私の最高傑作の『全てを殺す力』とあなたの『全てを終わらせる力』は実質的に同義。絶対の死を与える力です。ゆえに、『終焉』ならば私の最高傑作の力を相殺できる」

「ごちゃごちゃとうるせえよ。分かりきってる事を一々得意げに話すな」

 影人は変わらずにフェルフィズを睨み続ける。そして、影人はイズの持っている大鎌に視線を移した。

「『フェルフィズの大鎌』・・・・・・今の一撃、空間を無視してたな。シトュウさんが急にお前の居場所を識れなくなった事といい・・・・・・その大鎌には俺たちがまだ知らない力が隠されてるって事か」

「ご名答と言っておきましょう。まあ、それ以上の情報は与えませんがね。あ、ちなみに障壁が解除された時に驚いたのはわざとです。障壁はわざと解除させました。私はどのようにアオンゼウが倒されたのか知っていましたからね」

「ちっ、要は全部仕込み。罠かよ・・・・・・っ、何だ。その赤黒い宝石は? 前はそんなものなかったはずだ」

 何度もフェルフィズの大鎌を見た事がある影人が、鎌に嵌め込まれた見慣れぬ宝石に気がつく。影人の呟きにフェルフィズは嬉しそうに笑った。

「ああ、気づいてくれますか。いや、嬉しいですね。この宝石は元々フェルフィズの大鎌の一部。つまり、この状態こそが正しき私の最高傑作の姿なのですよ」

「正しき姿・・・・・・? 意味が分からねえな。鎌がおしゃれしたからって何になるんだよ」

「なっていますよ。その結果、あなた達は彼女と戦っているでしょう」

「っ?」

 フェルフィズはスッと手をイズに伸ばした。まるで紹介するように。勘の鋭い影人も、流石に訳がわからないといった顔を浮かべた。

「あの宝石はある意味、私の最高傑作の本体なのですよ。核といってもいい。そこにはあるモノが宿っている。いや、今は宿っていたという方がいいですね。イズ、構いません。あなたの正体を影人くんに教えてあげなさい」

「はい。初めましてスプリガン。初めましてとは言いましたが、私はあなたの事を知っています。あなたは私の本体と何度も戦っていますから。私はイズ。『フェルフィズの大鎌』の意思と呼べるモノです」

「なっ・・・・・・」

 イズが影人に対して自身の正体を開示する。イズの正体を知った影人はその目を大きく見開いた。

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