第1730話 異世界での決戦2(1)
「ふはははっ! さて、楽しませてもらうとするか!」
「最近は多対1のような状況が多いが・・・・・・それだけ敵が強力だという事。不満がないと言えば嘘になるが全力で行かせてもらう」
人竜形態になったゼルザディルムとロドルレイニはフェルフィズとイズに狙いを定めると、力強く地を蹴った。そして、一瞬にして距離を詰めるとゼルザディルムはフェルフィズに拳を、ロドルレイニはイズに向かって蹴りを放った。
「迎撃」
イズは当然の如く2竜の神速の速度に対応し、ゼルザディルムに対しては再び機械の剣を召喚し、その剣でゼルザディルムの腕を切り落とした。ロドルレイニに対しては、左腕に装着されていた機械を流変させ光刃に変えると、それで以てロドルレイニの足を切り落とした。
「ほう! 我らの体を難なく切り裂くか」
「やりますね。だが・・・・・・」
ゼルザディルムとロドルレイニは竜族の超再生で一瞬にして切り落とされた部位を元通りにすると、凄まじい連撃を繰り出した。
「迎撃を続行――」
イズが連撃に対応しようとする。だがその時、イズに赤い雷と風の刃が迫った。対応出来ないと瞬時に判断したイズは全方位に障壁を展開した。
「むっ、硬いな。それと・・・・・・」
「ハバラナスと賢王ですか」
攻撃を障壁に阻まれたゼルザディルムとロドルレイニがバックステップで距離を取り、赤い雷と風の刃を放った者たちに目を向ける。ロドルレイニの言葉通り、そこには人竜形態のハバラナスとレクナルの姿があった。
「ゼルザディルム様、ロドルレイニ様。あなた方とこうして共に戦える日が来ようとは・・・・・・このハバラナス、全力で助力させていただきます」
「魔機神・・・・・・その少女の姿をした者にほとんどの攻撃は効かん。いくら貴様たちといえどもな。情報を共有する。一旦、こちらに合流しろゼルザディルム、ロドルレイニ」
「ふっ、嬉しい事を言ってくれるなハバラナス。我もお前と共に戦えて嬉しいぞ」
「・・・・・・賢王がそう言うのならばそうなのでしょう。分かりました」
ゼルザディルムとロドルレイニは、レクナルとハバラナスがいる方に飛んだ。
「攻撃を再開――」
ゼルザディルムとロドルレイニが離れたの確認したイズが全方位に向けて攻撃を行おうとする。しかし、
『炎よ、水よ、雷よ、風よ、地よ。猛る暴威となりて我が敵を討て』
「星よ、私の敵に無数に降り注ぎなさい」
「ふん・・・・・・我が血よ。槍となり穿て」
へシュナとシェルディアとシスがイズとフェルフィズに対して攻撃を行った。へシュナは5属性の奔流を放ち、シェルディアは再び星を落とし、シスは自身を自傷し血の槍を数百本放った。
「っ・・・・・・障壁、展開」
フェルフィズを守らなければならないという都合上、イズはまたも障壁を展開した。結果、全ての攻撃はまたも障壁に阻まれる。
「つまらないわね。さっきからこれの繰り返し。というか、あの障壁は何なの? 普通はこれだけの攻撃ならとっくに壊せているはずよ」
「あの障壁も概念を無力化する力が備わっているのだ。しかも、面倒極まりない事に超速の再生持ちだ。アオンゼウの器と同様にな」
「アオンゼウの器と同様・・・・・・? それは、あの障壁もアオンゼウの体も絶対に不滅という事なの?」
シスの答えにシェルディアは不可解げな顔を浮かべた。シェルディアの問いに答えたのは、シスではなくへシュナだった。




