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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1680/2051

第1680話 水天を飛ばせ(4)

「ああ、ありがとう影人、フェリート」

「よくやったぞ。ああ、そうじゃ。今思い出したが、レナカの水に触れてはならんぞ。体内に侵入して体の自由を奪われるからの」

「そう言う事は早く言ってくれ! というか、それなら俺たちが障壁張らなかったらどうするつもりだったんだよ!?」

 呑気にそう言った白麗に影人は思わずそう言った。スプリガンのキャラ的に、普段あまりこういう事は言わないのだが、影人は思いを抑えられずにはいられなかった。

「別に普通に避けるなり対処するなりしておったぞ。あまり妾を舐めてくれるな。なにせ、妾は破絶の天狐。最強の妖狐じゃからな」

 白麗はそう言うと、スッとその視線をレナカに向けた。

「さて、せっかくじゃ。妾も協力してやるかの」

 白麗は続いて右手を宙に浮かぶレナカに伸ばした。まるで狙いをつけるかのように。すると、白麗の後方に巨大で複雑な魔法陣が展開した。

「第96式妖術、『妖魔の縛呪ばくじゅ』。あ奴を縛れ」

 白麗の背後の魔法陣が妖しく輝き、そこから紫色の腕が何十、何百本と出現した。それらはレナカへと伸びて行った。

「っ、亡者の腕・・・・・・」

「懐かしいじゃろ。お前にも届き得る呪いじゃ。触れられれば、お主の体は様々な耐性を失うぞ。前はこれを受けた事によって、結果的に封印された事、忘れてはおらんじゃろ?」

「ちっ・・・・・・」

 レナカが顔色を変え、白麗が意地悪く笑う。レナカは亡者の腕の力を知っているため、回避行動に移った。

「ほほっ、せいぜい無様に逃げ惑え。お主はどう足掻いても妾たちには勝てんのじゃからの」

「狐が偉そうに・・・・・・」

「これこれ。図星じゃからといって悪態をつくでない。程度が底をつくぞ。そも、客観的に見れば幼子でも分かる道理じゃ。お前はこの空間では最大限の力を発揮出来ない。そして、妾たちは全員が強者で充分に力を使える。妾単体で見ても、お前を封じた時より力は上がっておる。のう、聞かせてくれんか『水天』のレナカ。()()()災厄如きがどうすれば勝てるのかを」

 白麗が先ほどのシェルディアと同じような、嘲るような笑みを浮かべる。2度もそんな笑みを向けられたレナカは、その目に明確な殺意を乗せた。

「下等な生命が私にそんな顔を向けるな・・・・・・!」

 レナカは亡者の腕の間を潜り抜けると、自身の肉体を流動する水に分解した。すると次の瞬間、その水は鉄砲の如く、縦横無尽に四方八方から影人たちを穿たんとしてきた。

「ふむ。水ならではの攻撃じゃな。しかして、無駄じゃ阿呆」

 白麗が白銀の瞳を細める。すると、白銀の瞳にぼんやりとした光が宿った。

「第101式独自妖術、『流転のもどり』」

 白麗の両の瞳に複雑な魔法陣が刻まれる。その瞳に観測された鉄砲水は、一瞬間の時間でまるで時が戻るかのように1箇所に集まり、

「っ・・・・・・!?」

 やがて元の水の肉体へと戻った。自分でそうしたわけではないのに形態が戻ったレナカは驚いたような顔になった。

「妾の目を利用した特殊妖術じゃ。この目に観測されたモノは5秒前の状態と位置に戻る。そして、こうじゃ」

 白麗は周囲に待機させていた亡者の腕をレナカに触れさせた。白麗は避けれないタイミングでレナカを戻したので、呪いはレナカの水の体を犯した。

「くっ・・・・・・」

 結果、レナカのほとんどの耐性が失われる。白麗はそんなレナカを冷めた目で見つめた。

「後は任せたぞ帰城影人。あっけなく、それはそれは災厄とは思えんほどにあっけなく、奴を滅してくれ。先も言ったが、流石の妾も奴を滅する事は出来んでな」

「・・・・・・分かった。なら、決めさせてもらうぜ」

 白麗の言葉に頷いた影人は地を蹴りレナカへと近づいた。そして、

「解放――『終焉』」

 影人は全てを終わらせる力を解放した。影人の姿が変わり、影人の体から『終焉』の闇が立ち昇る。影人は影速の門を創造し、それを潜り一気に加速した。

「終わりだ、『水天』のレナカ」

「ぁ・・・・・・」

 そして、影人は呪いで動きが鈍ったレナカに『終焉』の闇を纏わせた右手を放った。影人の右手はレナカの胸部を貫き、レナカという災厄の意思は終わりを迎え、『終焉』の闇の中へと消えて行った。白麗の言葉通り、その最後はあっけなく終わった。


 ――『水天』のレナカ討伐。こうして、影人は結果的に全ての災厄を討つ事に成功したのだった。

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