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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1645/2051

第1645話 優しい嘘が崩れる時(1)

「今日もいい天気だな。俺が来てからまだ雨が1回も降ってないし・・・・・・シザジベルってあんまり雨が降らない土地柄なのか?」

「さあ? でも雨はあんまり降らないかな。大体ここは晴れてるよ」

「ふーん。で、どうするんだソラ。結局、何をするのかは決まったのか?」

 影人がソラに改めてそう聞く。すると、ソラはこう言った。

「うん。今日は町の外で遊ぼ。そんな気分なんだ」

「お前なあ。本当はダメだろそれは。ユニルさんはお前の事を心配してそう言ってるんだぞ」

「大丈夫だって。影人兄ちゃんと一緒なんだし。それに、もう2回くらいは一緒に外で遊んでるし今更でしょ」

「はあー、ったく・・・・・・遊ぶのは近くで1人でどこにも行かない。ちゃんと守れよ」

「りょーかい!」

 ため息を吐く影人とは違いソラは笑顔を浮かべる。影人とソラは町の外へと出て行った。

「・・・・・・」

 そんな2人をとある翼人族の男はジッと見つめていた。











「はあ、はあ、はあ・・・・・・ちょ、ちょっと休憩・・・・・・」

 1時間後。シザジベルの町近くの木の下で、影人は荒い息を吐きながら木にもたれかかっていた。木登りや追いかけっこなどで体力を激しく消耗したのだ。

「もう疲れたの? やっぱりだらしないな影人兄ちゃんは」

「う、うるせえ。お前が元気過ぎるんだよ」

 そんな影人をソラは覗き込むように見た。ソラは全く疲れていない様子だ。影人は遊び盛り子供の体力は化け物だと、ここ数日何度も思った事を改めて思った。

「んー、別にそんな事ないと思うけどな。まあいいや、俺もちょっと休憩しよっと」

 ソラは影人の隣に腰を下ろした。そして、寝転がり影人の足に頭を乗せた。

「・・・・・・お前、何してるんだよ」

 急に自分の足を枕代わりにしたソラに、影人は少し呆れたように言葉を漏らした。

「えへへ、何かこうしたい気分だったから。でも、影人兄ちゃんの足細くて硬いしあんまり気持ち良くはないね」

「そう思うならさっさと頭をどけろ。何で俺がお前に膝枕なんざしなきゃならねえんだ」

「いいでしょ細かい事は。たまには歳上の余裕? ってやつを見せてよ」

「どこでそんな言葉覚えたんだよ・・・・・・このマセガキ」

 その言葉に煽られたというわけではないが、結局影人はソラにそれ以上は何も言わなかった。ソラもそれ以上は言葉を発さず、自然と目を閉じた。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 晴れ渡る青空と心地良い風。その風が木の葉を揺らし、さざめきを生む。自然そのものを感じながら、影人とソラは木の陰で穏やかな気持ちを抱いていた。

「・・・・・・ねえ、影人兄ちゃん」

「・・・・・・なんだ」

「影人兄ちゃんは・・・・・・いつまでシザジベルにいるの?」

 しばらくして、ソラが変わらずに寝転びながら影人にそんな事を聞いて来た。

「そうだな・・・・・・まだ分からないな。でも多分、そんなに長くはいないと思う」

 影人は正直にそう答えた。影人たちがこの町を去る基準はフェルフィズだ。正直、前回のメザミアからウリタハナの期間の事もあり、影人たちはこんなにシザジベルに留まる事になるとは思っていなかった。そして、未だにフェルフィズが現れた証拠である境界の揺らぎは観測されていない。だが、そろそろのはずだと影人は漠然と考えていた。

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