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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1631/2051

第1631話 火天を払え(3)

「っ、炎を推進力にしたのか・・・・・・ちっ、やっぱりあんた地の災厄よりも厄介だぜ・・・・・・!」

 影人は『終焉』の力を発動させながら『加速』し、シイナを追った。シイナは影人に追いつかれまいと噴射する炎をより強力なものにし、速度を上げる。更に速くなったシイナは橙色の燃える流星と化し、縦横無尽に空を駆け巡る。

「逃がすかよ・・・・・・!」

 影人も漆黒の流星と化しシイナを追う。橙色の流星と漆黒の流星が星美しき夜空を舞う。2つの流星が空に橙と黒の線を描くその光景は、幻想的であった。

「無駄な足掻きだな『火天』のシイナ。お前に俺は殺せない。さっさと終わりを受け入れろ。災厄が逃げ回るなんざ聞いて呆れるぜ!」

「私には使命がある。()()()から与えられた使命が。それを完遂するまで私は滅せられるわけにはいかない」

 影人の言葉にシイナは少し感情を露わにするようにそう言った。あの方、というのが誰なのか少し気にはなるが、別に影人は災厄の正体に興味はない。影人はただ、フェルフィズが境界を崩した副作用として復活した災厄をどうにかするだけだ。

「そうかよ。だが、俺には関係ない。そろそろ、追いかけっこは終わりにしようぜ」

 影人は自身の前方に右手をかざし、「影速の門」を創造した。そして、影人はその門を潜る。門を潜った影人は爆発的に加速し、自身の最高速度である超神速の速度へと至った。結果、影人はシイナに追いついた。

「っ、私に・・・・・・近づくなッ!」

 シイナがそう叫ぶと、シイナの体を構成する炎が一際強く輝き、シイナの体を中心として球体上に炎が広がった。それはまるで、全てを焼き尽くす小さな太陽のようであった。

「夜中の夜明けなんざ、あってはならない歪みだぜ・・・・・・!」

 どこぞの月の女王の言葉を引用しつつ、『終焉』の闇によって炎と熱を無力化した影人は、シイナを逃がさないように、自身を中心として『終焉』の闇で以て、大規模な完全球体状のドームのようなものを形成した。小さな太陽と化したシイナを包むその闇色の球体は、さながら全てを喰らう漆黒のブラックホールのようであり、影人以外の命を逃さぬ死の檻であった。

「っ・・・・・・!?」

「詰みだ・・・・・・! 逝けよッ!」

 シイナの顔が歪む。それは恐怖からか。影人にはその明確な答えは分からなかったが、どうでもよかった。影人は右手に『終焉』の闇を凝縮させ槍のような形にすると、その闇色の槍をシイナの体へと突き刺した。

「あっ・・・・・・」

 全てを終わらせる闇がシイナの炎の体に触れる。『終焉』の闇は炎の体に宿る意思、つまりシイナの意識を生命と認識した。結果、『終焉』の闇はシイナの自我を終わらせ、シイナの体を形成する炎を消し去った。『火天』のシイナは火の粉すら残さずにこの世界から消失した。

「・・・・・・『終焉』は災厄どもにも効くか。知れてよかったな」

 先ほどまでシイナがいた虚空を冷めた目で見つめながら、影人は『終焉』のドームを解除した。

「『火天』のシイナ、討伐完了・・・・・・さて、戻るとするか」

 影人は『終焉』の力を解除すると、先ほどいたウリタハナの町の屋根の上を思い浮かべ転移の力を使用した。

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