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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1625/2051

第1625話 火天復活(1)

(ふっ、決まったぜ・・・・・・こういうのは、瞬殺の方が格好いいからな)

 可憐怪盗団の3人を拘束した影人は内心でそんな事を考えていた。長い間屋根の上で待っていた甲斐があった。怪盗団を圧倒する謎の怪人を演じ、厨二病的な心が満たされた前髪野郎は文字通り満足していた。

「な、何だよこの鎖!? どこから出て来たんだよ!?」

「くっ・・・・・・」

「っ・・・・・・!?」

 何の前触れもなく虚空から現れた鎖に拘束されたライカ、ニーナ、メイの3人はそれぞれ戸惑いと驚愕が混ざったような顔になる。影人はチラリとその金の瞳を3人に向けた。

「お前何者だ!? 何で私たちを捕まえる!?」

「・・・・・・言っただろ。俺はスプリガンだ。お前らを捕まえる理由は・・・・・・まあ、お前らがお尋ね者だからって理由で充分だろ」

 叫ぶライカに影人は淡々とそう言った。正直、怪盗たちを捕まえたのはノリだったので深い理由はない。だがまあ、引き渡せば金になるだろうと影人は思った。

「答えになってない! クソッ、こんなところで終わるわけには・・・・・・!」

 ライカが身体能力強化の魔法を使い、鎖から逃れようとする。だが、ライカの強化された肉体を以てしても鎖が千切れる事はなかった。

「ラ・・・・『閃光』でも抜け出せないんじゃ、私たちはどうにも出来ないわね。残念だけど・・・・・・諦めるしかないわ」

 冷静なニーナは自分たちの状況が既に詰みだという事を理解していた。ライカとは違いニーナは何も抵抗するような真似はしなかった。

「・・・・・・」

 暴れるライカや諦めるニーナとは違い、メイは首を捻り無言でずっと影人を見つめて来た。その様子は意識的というよりかは無意識的という感じで、不気味さはない。心奪われている様子、と形容するのが1番近いだろうか。

「・・・・・・何だお前。さっきからずっと俺を見てるが・・・・・・」

「へっ!? い、いや、な、何でもないです! その格好いいなとかは別に思ってませんから!」

 そんなメイの様子に不審感を抱いた影人がメイにそう聞いた。メイはなぜか顔を赤くし慌てふためいたような様子になった。

「?」

「おい嘘だろ・・・・・・まさか・・・・・・」

「ああもう、このバカメイ・・・・・・」

 影人はよく分からないといった感じで軽く首を傾げたが、メイと付き合いの長いライカとニーナは何かを察したような雰囲気だった。ライカは信じられないといった顔を、ニーナは呆れ切った顔を浮かべた。

「・・・・・・どうでもいいが、取り敢えずお前たちを官憲に引き渡す。お前たちのツキは、俺と出会った――」

 事だ。しかし、影人がそう言い切る前に、


 突如として、少し赤みがかった光の柱が地面から立ち昇った。

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