第162話 実力者たち(3)
「・・・・・・・・・」
「あ、あの私たちの顔に何かついてますか・・・・?」
「そんなに面白い顔はしてないと思うんですけど・・・・・・・」
「ちょっと、アイティレ。あなたが無言で見つめるから、2人とも困ってるでしょ」
「っ・・・・・・すまない。悪気はなかったのだ。ただ、これがあの怪人と何度も出会った光導姫たちかと思ってな」
刀時と光司が戦いを始めた時間、喫茶店『しえら』には4人の光導姫の少女たちが、1つのテーブルを囲んでいた。陽華、明夜、風音、アイティレの4人である。
場所はラルバと会話した裏庭だ。しえらの厚意で4人は裏庭の特別席でお茶をすることを許された。
「いえ、でしたら全然大丈夫です! というか、ランキング3位の光導姫の方に会えるなんて、とっっても光栄です!」
「ええ、本当に。私たちまだ新人ですから、ランキングってものに憧れてるんです」
周囲が美しい花々で彩られた庭園に、元気な女子高生の声が響いた。陽華はキラキラとした目で、アイティレを見つめ、明夜は微笑みを浮かべた。
「あ、もちろん連華寺さんのことも尊敬してますよ! でも、フィルガラルガさんは連華寺さんより強いんですよね? 連華寺さんより強いってちょっと想像できないかも・・・・・・」
「うんうん。連華寺さんみたいな化け物より強い化け物・・・・・・・・・・これぞまさにランキングの魔境。でも、いつか私たちがあなた方を超えてみせます」
「あ、明夜ったら・・・・・・でも明夜の言う通り、私たちランキング1位を目指すことにしたんです! 目指すならナンバーワン! 私たちは2人で1人の光導姫として頑張ります!」
陽華と明夜は言葉を続け、挑戦的な目で風音とアイティレに視線を向ける。その宣言を聞いた、ランキング3位と4位はそれぞれの反応を示した。
「ほう。言うな、新人たち。君たちのような光導姫は嫌いではない。・・・・・・それと、私のことはアイティレでいい。先ほどの自己紹介で、私と君たちは同年齢ということがわかっただろう。光導姫に国境はない。私は君たちとも友好な関係を築きたい。だから頼むよ」
「あ、それなら私も風音でお願い。名字だとどうしても他人行儀感が出ちゃうでしょ? 私も2人とはもっと仲良くなりたいし、ね? ――ランキング1位とは大きく出たね。でもあなた達ならいつかなれるかもしれない。まあ、そのためにはまずランキングに載ることだけど」
「違いない」
風音のコメントにアイティレがそう同意したことによって場は笑いに包まれた。空気がほぐれた。そんな感じがした。これぞ女子会といった雰囲気か。
「じゃあ、風音さんにアイティレさんと呼ばせてもらいますね! というか気になってたんですけど、アイティレさんの銀髪本当に綺麗ですよね。すっごいサラサラしてそう・・・・・・・・」
「陽華、それ前にも言ってたでしょ。まあ、あの子は金髪だったけど」
陽華のウットリとしたような顔を見た明夜は少し呆れたようにそう言った。シェルディアと出会った時も陽華はシェルディアの髪を褒めていたが、金髪や銀髪に対する憧れでもあるのだろうか。
「でも綺麗なのは本当でしょ? いいなー、しかもアイティレさんスタイルもめちゃめちゃいいし・・・・・・・アイティレさん、ズバリすっごいモテますよね!?」
「ありがとう。髪を褒められるのは嬉しいよ。モテる・・・・・というのは異性から人気があるということか? 残念ながら私は女っ気がないからな。そういったことはなかったよ」
紅茶を飲みながら、アイティレはそう答えた。アイティレの回答を聞いた陽華と明夜は驚いたように口を開いた。




