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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1589/2051

第1589話 獣人族国家 ゼオリアル(1)

「この地図からでは具体的な距離は分かりませんが、先ほど歩いていた方に聞いた所、ここから獣人族の国までは歩いて大体2、3日との事です」

 キリエリゼ西エリアから街を出たフェリートが、シェルディアから預かった地図を見ながらそんな見解を述べる。フェリートの言葉を聞いた影人は「そうか」とスプリガン状態で呟いた。

「じゃあ、他の手段ならもっと早く着くって事だな。道中でメザミアの場所聞く事とかを考えると、空路は避けた方がいいか。となると車、バイク、馬車とかでの陸路か・・・・・・おいフェリート、お前どれ運転したい?」

「は?」

 突然影人にそう聞かれたフェリートが意味が分からないといった顔になる。影人は補足するようにこう言葉を続けた。

「別にわざわざ歩いて目的地に行く必要はないだろ。時間かかり過ぎるし。だから、時短のために乗り物使うんだよ。乗り物は俺の力で創造出来るしな。で、この中で乗り物を運転出来そうなお前が運転手なのは確定だろ。だから、お前どれを運転したい? さっき言った乗り物はもちろん、大体の乗り物は創れるぜ」

「ああ、そういう事ですか・・・・・・確かに、私は大体の乗り物は動かせます。執事ですからね」

 影人の言わんとしている事を理解したフェリートが軽く頷く。執事が理由になるのかと、影人は心の中で突っ込んだが、言えばフェリートが大真面目に頷くのは見えているので、影人は何も言わなかった。

「1つ質問ですが、速度はどうなるのですか? つまり、車やバイク、馬車などではそれぞれ速度が違います。その辺りは調整出来るのですか?」

「ああ、出来るぜ。俺の力で創るから融通は利く。だから、例えば馬車でも車くらいの速度は出る」

「ふむ、なるほど・・・・・・ならば、馬車を所望します」

 影人の答えを聞いたフェリートは、少し考え込むような顔を浮かべそう言った。

「馬車? 別にいいが・・・・・・理由はなんだ?」

「少しノスタルジックな気持ちになったから・・・・・・というのは冗談ですが、1番この世界に溶け込む乗り物だと思ったからです。キリエリゼだけを見た感想にはなりますが、この世界の文明のレベルは魔法という特殊な概念が絡んではいますが、私たちの世界で言う中世レベルくらいでしょう。そんな世界に車やバイクは異質です。そんな乗り物に乗っていては、道行く人々から奇異の目で見られ、また不審に思われかねない。私たちは道中で人々にメザミアの場所を聞かなくてはならない。ならば・・・・・・」

「出来るだけ違和感のない乗り物の方が都合がいいか・・・・・・」

 フェリートの言葉の先を予想した影人がそう呟く。フェリートは影人の予測が正解である事を示すように頷いた。

「ええ。こちらの世界に馬がいるのか、また似たような乗り物があるかは分かりませんがね。ですが、1番人々に距離を取られないのは、まだ馬車でしょう」

「なるほど。確かにそうかもしれないわね。なら馬車にしましょう。久しぶりに乗りたいし」

「俺も馬車に乗るのは久しぶりだな」

 話を聞いていたシェルディアとゼノも乗り気(2つの意味で)だ。フェリートの意見とシェルディアとゼノの様子を見た影人は右手を虚空に向けた。

「決まりだな。さあ来いよ、闇馬あんまの馬車」

 影人が頭の中で馬車をイメージしそれを創造の力で出力する。すると次の瞬間、影人たちの前に闇色の2頭の馬が引く馬車が現れた。中で寛げるように、タイプはキャラバンにした。

「こいつらは従順だから手綱で適当に指示してくれ。思考パターンは馬と同じだからな。後は補足説明だ。まず、こいつらは疲れないから全力疾走させても問題はない。全力疾走は普通の車のマックススピードくらいだ。次に足場の悪さは関係なく走れる。馬も車輪も石程度なら踏み潰せるからな。その3、後ろの揺れは気にしなくていい。ほとんど揺れないように設定した。以上だ」

「至れり尽くせりですね。分かりました。では、御者を引け受けましょう」

 影人の説明を聞いたフェリートは馬車に向かって歩いていくと、御者席に座り手綱を握った。

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