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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1578/2051

第1578話 複合都市 キリエリゼ(2)

「ここが異世界の町か・・・・・・」

 正面玄関口のような場所を潜った影人は前髪の下の両目で周囲を見渡した。

 街はヨーロッパのような石造りの建造物がほとんどで、この辺りは商売エリアなのか、真っ直ぐな大通りの道沿いには、何やら店のようなものがずらりと並んでいる。市場と例えるのが1番しっくり来るかもしれない。そこかしこにハルやヘレナと同じケモ耳やツノが生えた人々がいる。その他にも翼が生えた者、全身を鱗に覆われた者など様々な者たちがいた。

「ふーん、色んな種族がいるね。なるほど、確かにここは俺たちのいた所とは違う場所だ」

「ふむ、多様性の坩堝という感じの光景ですね。しかし、まさかこんな光景を見る事になるとは・・・・・・人を辞めた時にも思いましたが、全く生とは何が起きるか分かりませんね」

 ゼノとフェリートも街を観察しそんな感想を漏らした。

「魔族に獣人族に翼人族、蜥蜴族に悪魔族に・・・・・・あれは魔妖族かしら。本当に色々な種族が同じ町に暮らしているのね。ふふっ、こういうのなんて言うのかしら。感動、いや感慨深いかしら」

 実際にその光景を見たシェルディアは言葉通り感慨深そうな笑みを浮かべる。4人がそれぞれ感想を抱いていると、ヘレナが小さく笑みを浮かべた。

「皆さん長旅で疲れているでしょうから、どうぞ今日は私たちの家で休んでください。私とハルは一緒に住んでいるんですが、部屋が2部屋余っているので」

「あら、そこまでしてもらってもいいの? 最初の話だと、ご飯をご馳走にという事だけだったけど」

「もちろんです! ぜひ泊まっていってください。きっと楽しいですし! 皆さんの旅の話なんかもぜひ聞かせてください!」

 軽く首を傾げるシェルディアにハルが首を縦に振る。シェルディアはその申し出を「ありがとう。ならまた甘えさせてもらうわ」と受け入れた。シェルディアはこういう善意は基本は断らない性格だ。

「例の如く何だって?」

「この方達が私たちを泊めてくださるようです。というか、本当にそろそろ面倒且つムカついて来たので、翻訳はこれで最後です。次聞いて来たら半殺しにしますから」

「急にえげつねえなおい・・・・・・だが、会ったばっかの奴を家に泊めるとか、異世界人バカ優しいな。善意の塊かよ。逆にちょっと疑ったり心配しちまうぜ」

「その優しさの原因はシェルディア様があの獣を追い払ったからですよ。それを考えれば・・・・・・」

「分かってるって。それ込みでって事だよ」

 フェリートと会話をしながら、影人たちは大通りを進んでいく。身体に何の特徴もないという事が特徴になり、すれ違う通行人は物珍しそうな視線を向けて来たが、声を掛けられるような事はなかった。

「このキリエリゼは真ん中の広場を基点として、4つの場所に分かれているんです。今通っている南の場所は商業区画。その反対の北の場所は議事堂や役所がある政治区画。西の場所は住宅区画で、東の場所は娯楽区画。もう少し歩けばキリエリゼ中心の広場に出ます」

 ヘレナの説明通り(といっても相変わらず影人には以下略)、やがて影人たちは大きな広場へと辿り着いた。広場の中心には噴水があり、それを囲むようにベンチなどが設置されていた。ベンチにはキリエリゼの住人たちが座っており、憩いの場という感じだった。

「おい聞いたか。また空間が割れて誰か消えたってよ。噂じゃ、翼人族らしいが・・・・・・」

「本当か? これで何件目だよ・・・・・・空失くうしつで消えた奴は何だかよく分からない世界に飛ばされるらしいが・・・・・・」

「すぐに戻ってくるっていっても怖いよな・・・・」

 だが、そこに座っていた住人たちは安らかな顔ではなく多くは不安そうな顔で、何かを話し合っていた。

「ふーん・・・・・・」

「っ・・・・・・」

 住人たちの話し声を聞いたシェルディアはなるほどといった顔を浮かべ、フェリートも何かに気づいた顔になる。ゼノはボーっとしており、影人はそもそも言葉が分からないので反応を示さなかった。

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