表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
157/2051

第157話 それぞれの事情(1)

「――具合はどうだ、フェリート」

「はい。レイゼロール様のお力のおかげで、ダメージは全て回復しました。口の調子もこの通り。・・・・・・・本当にありがとうございます」

「言ったはずだ。お前は我の駒、ここで失うわけにはいかん。それ以外に理由などない」

 レイゼロールはぶっきらぼうに感謝の言葉を述べたフェリートにそう返した。

 この世界のどこか。辺りの暗い場所に戻ったレイゼロールはまずフェリートの体を自らの闇の力で回復させた。それによりフェリートの肉体はほぼ元通りとなった。

「・・・・・・ただ血を流しすぎたので、力は再び落ちましたが、これは私の自業自得でしかありません」

 前回と同様に、いや前回以上に血を流したフェリートの力はかなり弱まっていた。自然的に力が戻るのを待っていれば、また時間を要するだろう。

「・・・・・・・・それはそうだ。お前は我の言付けを破り、スプリガンと戦った。その結果がそれだ。・・・・・・・・言ったはずだがな、お前の忠義は我に届いていると」

「・・・・・・はい、申し開きはございません。いかなる罰も受ける所存でございます」

 真摯な顔でフェリートははっきりとそう言った。主人の命令に逆らい、挙げ句の果て主人の手を煩わした。本来なら殺されても文句の言えない状況だ。

 全てはシェルディアから「レイゼロールが久しぶりに血を流していた」と聞き、怒りを抑えられなかった自分の問題だ。

「・・・・・・一応、お前の罰は決めてある。お前にはゼノを探して連れて来てもらう。・・・・・お前も知っての通り奴はシェルディアの次に特異な者だ。どういうわけか私にも奴の気配は察知できない。もちろん経路パスも何故か途切れている」

「っ!? ゼノをですか・・・・・・確かに彼は特異な闇人ですが、なぜゼノを・・・・・・?」

 自分に与えられた罰に疑問を覚えたフェリートは、レイゼロールにそう質問した。

「決まっている。それは奴が()()()()()()()()()。無論、奴だけでなく好き勝手に各地に散らばっている他の『十闇とうあん』も召集する」

「・・・・・・失礼ながら、レイゼロール様。御身の考えを拝聴させていただいてもよろしいでしょうか」

 ごくりと唾を飲み込みフェリート。十闇とは、1から10の位階を与えられたレイゼロールの最高戦力。十闇は9人の最上位闇人と、1人の気まぐれな怪物で構成されている。1が最も強く、10が最も低い。

「・・・・・・イレギュラーに対処するため。目障りな光の萌芽をなくすため。主な理由はその2つだ」

「イレギュラー・・・・・・それはスプリガンのことでございますね。光の萌芽は、以前私が殺すことに失敗したあの2人の光導姫のこと・・・・・・ですか?」

「そうだ。シェルディアはあの通り気まぐれだから、あいつがスプリガンを殺すとも限らん。そうなれば対応できるのは、奴らだけだ。そして結局あの光導姫達もまだ殺せていない。・・・・・そろそろ、障害は本格的に排除せねばな。特に、スプリガン。奴はやはり危険だ。今日対峙して再びそのことを認識した」

 レイゼロールの脳内に今日対峙したあの暴力的なスプリガンが描かれる。フェリートはあれはスプリガンではないと言っていたが、確かに今日のスプリガンは様子が違っていた。

(特に無詠唱に常態的な闇による身体能力の強化の取得が厄介だ。たったそれだけのことで、奴の強さと危険度は今まで以上に跳ね上がる)

 レイゼロールはスプリガンが力の行使による無詠唱と、常態的に身体能力を強化できるようになったと勘違いをしていた。実際には、影人はまだその2つは出来ない。それが出来るのは影人の体を乗っ取った何かだ。

 だが、それも無理のないことだろう。レイゼロールは前回その状態のスプリガンに撤退を余儀なくされた。そして今回フェリートを助けに入った時も、たまたまスプリガンは2つのことが出来る状態であったのだから。

「今日のところは休め。お前には明日からゼノを探しに行ってもらう。――十闇第2の闇、『万能』のフェリートよ」

「了解しました。・・・・・・・・主の寛大なる処置に感謝いたします。何としてでもゼノを探して参ります」

 フェリートは畏って主の命令を承った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ