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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1566/2051

第1566話 ちっぽけで陳腐な理由(2)

「ごめん! ウチ今日急用出来たからパス! じゃ、バイバイ!」

 海公が出て行ったタイミングで教室にいた魅恋も友人たちにそう言って走って教室を出た。魅恋の言葉を受けた友人たちは「えー、また?」「魅恋、最近急用多いなー」「もしかして彼氏じゃね?」と反応していた。

「あー、なるほどな・・・・・・」

 海公と魅恋の様子を見た影人は、2人が急いで教室を出て行った理由を察した。恐らく、あちら側からの流入者が現れたのだろう。そして、2人は光導姫と守護者としてソレイユとラルバから合図を受けた。

「光導姫と守護者してんな・・・・・・まあ、新人のあいつらが呼ばれて俺も呼ばれてないって事は、今回の流入者は大した奴じゃないんだろうが・・・・・・」

 影人は小さな声でそう呟くと鞄を持って立ち上がった。もし本当に危険になったら自分が呼ばれるだろうし、心配のようなものはあまりしていなかった。影人は2人に頑張れ的な事を思うと、教室を出た。

「さて、春野との用事もなくなったし、今日は素直に帰るか」

 廊下を歩き影人は階段を降りた。そして昇降口へと向かう。

 するとその途中で、

「ん? やあやあ、これはこれは。こんにちは(ボンジュール)、帰城くん。今日も素敵な前髪だね」

「げっ、ピュルセさん・・・・・・」

 ロゼに出会った。ロゼは薄桃色の格好いい模様の入ったロングのシャツに紺のジーパンというカジュアルな格好で影人に手を振ってきた。ロゼに手を振られた影人はついそんな反応をしてしまった。

「ははっ、相変わらずの反応だな君は。まあ、多少は気を許してくれているという事で納得しようかな」

「いや、別にそういう事ではないんですけど・・・・・・じゃあ、失礼します」

 影人はそそくさとこの場から離れようとしたが、ロゼはガシリと影人の肩に触れて来た。

「まあ待ちたまえよ。せっかく会ったんだから、少し付き合ってくれないかい?」

「はー・・・・・・いったい何に付き合えっていうんですか?」

「おや意外だね。てっきり断られると思っていたのだが。その言葉からするに了解するという事かな?」

 大きくため息を吐きそう言った影人に、ロゼが言葉通り意外そうな顔を浮かべる。影人は不承不承といった顔でこう返答した。

「正直に言うと嫌ですが、今回は付き合ってあげますよ。ピュルセさんには恩と借りがありますから」

 先の零無との戦いの時にロゼは戦いに駆けつけてくれた。そして、影人は仮死とはいえロゼを殺した。そこには恩と借り(引け目ともいうが)がある。ゆえに、影人はロゼの誘いに乗ったのだった。













「確かに付き合うとは言いましたが・・・・・・何ですかこれ・・・・・・?」

 約10分後。影人とロゼは美術準備室にいた。様々な美術用品の中、影人はじっと椅子に座りロゼはキャンバスに向かって鉛筆を走らせていた。

「・・・・・・ん、何ってデッサンだよ。本当は今日は図書室を利用させてもらおうと思っていたんだが、せっかく君が付き合ってくれるというから、急遽場所と道具を貸してもらった。元はといえば、私はスプリガンを描きたくて日本に来たからね。だから、その本懐を遂げようと考えてね。まあ、今は君がスプリガンだからという理由以外にも、普通に君自身を描きたいと思っているがね」

 ロゼはいつもとは打って変わって、真剣な顔を浮かべていた。そして、影人とキャンバスを交互に見ながらシャッシャッと描いている音を響かせた。

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