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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1558/2051

第1558話 忌神との戦い1(3)

「!」

 影人が向かって来た事を確認した喜劇の人形は、影人を切り裂くべく右腕の刃を振るった。

「速いは速いが・・・・・・温いぜ」

 影人は余裕を持ってその斬撃を避けると、懐に潜り込み逆手に持った右手のナイフを人形の胴体部へと振るった。ナイフの刀身には闇を纏わせ威力を強化してある。詠唱なしなので、威力を上げた倍率はあまり高くはないが。だが、人形を両断するくらいならば充分だろうと影人は考えていた。

「っ・・・・・・」

 しかし、結果は影人の予想とは違った。闇纏うナイフはガキンと金属音のような音を立て、人形を切り裂く事は出来なかった。

「!」

 人形はその攻撃を受け止めている隙に、腹部をスライド式に開閉しそこから機関銃を乱射してきた。意表をついた超至近距離からの弾丸の嵐に、流石の影人も避け切る事は出来なかった。

「ちっ」

 影人は仕方なく幻影化を使用した。陽炎のように変化した影人は人形から少し離れた所で実体化した。

「!」

 人形は影人が実体化すると、腹部の機関銃を再び乱射しながら影人の方に近づいて来た。影人は両手のナイフで弾丸の雨を切り裂いた。

(あれで切れないって事は相当に硬いな。だが、動き的には本物の人間みたいに柔らかい。こいつには、ぎこちなさがない)

 恐らく、腹部の機関銃のように他にも何かギミックが隠されているはずだ。影人が観察から分かった情報を元に推理していると、人形が至近距離まで近づいて来てその右腕の刃を振るおうとした。影人は自身の右側面にサイドステップをして、攻撃を回避しようとした。

「!」

 すると、そのタイミングで人形が影人を逃すまいと左腕を伸ばして来た。だが、位置的に影人には届かない。影人がそう思った瞬間、

「!」

 突然人形の左腕の前腕部が伸びた。肘の位置からワイヤーが伸び前腕部を影人の方へと飛ばしたのだ。その結果、影人は人形の左手に捕まった。そして次の瞬間、影人の全身が痺れた。

「っ〜!」

「!」

 恐らく、左手から電流を流されている。体に電流を流されたのは初めてだが、かなりキツイ。今にも意識が飛びそうだ。その間に、人形は大きく一歩踏み込み刃で影人の首を切断しようとした。

「な、舐めるなよ・・・・・・人形野郎が・・・・・・!」

 影人は力を使って左手が触れている箇所に闇色のゴムを纏わせ電撃を無効化すると、左手のナイフに『破壊』の力を付与した。そして、そのナイフでワイヤーを切断し自由になると刃を紙一重で回避し、人形の胸部に『破壊』纏うナイフを突き立てた。

「!?」

 『破壊』の力を宿したナイフに硬度は意味を持たない。ナイフは深々と人形の胸部に刺さり、そこを基点として黒いヒビが人形の胴体部に奔る。

「調子に乗るのは終わりだ。残骸になりやがれ・・・・! 我が足よ、彼の者を蹴り砕け・・・・・・!」

 影人はナイフの柄から手を離すと、右足を硬化させた。そして、影人は一撃を強化する言葉を唱えると、右足を振り抜きナイフの柄の底を思い切り蹴り抜いた。その結果、押し込まれたナイフは更に深く人形の胸部を穿ち胸部に細かなヒビを入れ、それが広がり人形の胴体部は砕け散った。その結果、頭部と左右の腕部、下半身とバラバラになった人形は地面に転がった。

「・・・・・・悪いな。念には念を入れさせてもらうぜ」

 影人は転がった人形の頭部を見下ろすと、右足に『破壊』を纏わせその足で思い切り人形の頭を踏み潰した。人形の頭部と喜劇の仮面は粉々に潰れた。

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