第1553話 忌神との再会(3)
(っ、ここは書庫・・・・・・いや、書斎か?)
部屋の中には本棚とシックなテーブルとイス、それに埋め込み型のテレビなどがあった。影人から見て左側が本棚スペース、右側がテーブルとイスがあり、テレビは右側の壁にある。ここだけ他の部屋よりも少し大きい。影人はドアを閉めて慎重に部屋の中に入った。少し暗かったので、明かり代わりに闇色のランタンを創造する。闇色の炎では暗闇をあまり照らせないので、色は普通に橙色にした。ちなみに、電気のスイッチを入れなかったのは一応警戒しての事だった。
「本は英字やら何やらでよく分からんな・・・・・・っ、あった。ドアだ」
本の背表紙を見ながらそう呟いた影人は、本棚と本棚の間の場所にドアを見つけた。入って来たドアからちょうど左に直角奥の場所にあったので、入った瞬間には分からなかったが。
影人はドアに向かおうとした。だがその時、パッと後ろで何かが光った。
「っ!?」
影人が振り向くと、埋め込み型のテレビの電源がついていた。光の正体はテレビだった。しかし、そんな事はどうでもいい。影人はテレビに映っていた男の顔に釘付けになった。
『ようこそ、侵入者の皆さん。こんにちは、いや今は朝なのでおはようございますの方がいいですかね』
笑みを浮かべながらふざけた挨拶をしてくるその男。忘れもしない薄い灰色の瞳。あの時から何1つ変わっていない。その男の顔を見た影人と、同じように、1階の部屋で突如として現れた空間型のウインドウでその男の顔を見たレイゼロールは、その男を睨み付け忌々しげに男の名を呼んだ。
「「フェルフィズ・・・・・・!」」
「へえ・・・・・・どうやら、私たちの侵入は気づかれていたようね」
リビングにいたシェルディアも、テレビに映ったフェルフィズの姿を確認していた。発言的に男がフェルフィズと予想したシェルディアは、少し面白そうな顔を浮かべた。
『この場所をどうやって特定したかは分かりませんが・・・・・・まずは、お久しぶりですね、レイゼロール。そして、お初目に掛かります。真祖シェルディア、謎深き暗躍者スプリガン。ここに侵入したという事は私の正体がバレているという事でしょうから名乗りますが・・・・・・私の名前はフェルフィズ。物作りが趣味のただのしがない神です』
芝居掛かった仕草で軽く頭を下げるフェルフィズ。影人とレイゼロールは変わらずにフェルフィズを睨み続けていた。どうでもいいが、フェルフィズはスプリガンの事を知っていたようだ。
『ああ、先に言っておきますが私からはあなた達の姿も見えていますし、そちらからの声も聞こえるようにしているので、何か発言してくださっても構いませんよ。私に何か言いたい事や聞きたい事があれば、どうぞご遠慮なく』
「フェルフィズ貴様・・・・・・あの時はよくも我を騙してくれたな・・・・・・!」
フェルフィズの言葉にレイゼロールが反応し、恨みの込もった言葉をぶつける。レイゼロールにそう言われたフェルフィズは変わらず笑みを浮かべ、こんな言葉を述べた。




