第1547話 忌神の屋敷へ潜入せよ(1)
「・・・・・・なるほどな。話は分かった。まさか、フィズフェールの奴があのフェルフィズだったとはな・・・・・・」
影人の話を聞いたレイゼロールはそんな感想を漏らした。そして、その顔色を怒りと不快感の混ざったものに変えた。
「もしもあいつがまだ生きていれば、我を謀った罪とお前を刺した罪で殺してやろうとは思っていたが・・・・・・どうやら、その機会が訪れたようだな。無論、我も奴の討伐に同行する」
光と闇の最終決戦の後に、影人から事情を聞いていたレイゼロールはフィズフェール、もといフェルフィズが全ての元凶だという事は既に知っていた。そのため、レイゼロールはフェルフィズに対して怒りと憎しみを燃やしていた。
「まあ、やっぱりお前もそう言うよな。分かった。ならそういう事で」
シェルディアの隣に座っているレイゼロールの答えを聞いた影人は予想通りといった感じに頷いた。これで影人、シェルディア、レイゼロールの3人がフェルフィズを襲撃する事が決まった。
「それで、いつ仕掛けるのだ?」
「考えてるのは明日だな。俺も学校休みだし。だから、明日また3人でどこかに集まって俺がシトュウさんから念話でフェルフィズの場所を聞く。それで、そこに転移して襲撃って形を考えてるんだが・・・・・・それでいいか?」
「異論はないが・・・・・・シトュウとはあの真界の神の事だろう。お前はなぜ奴と念話が出来るようになっているのだ?」
「それは私も思ったわ。確かに彼女から一方的に念話をされた事はあったけど、あれは彼女の力でこちらからの言葉を返す事は出来ないでしょ? 今のあなたの言い方はそうではなくて、相互的な念話という感じだし・・・・・・」
「ああ、それは・・・・・・」
レイゼロールとシェルディアが疑問を露わにする。確かに2人にはまだシトュウと念話が出来る事とその理由を話していなかった。影人がその事を説明しようとすると、なぜかぬいぐるみとクロスワードパズルに興じていた零無が、こう言葉を割り込ませて来た。
「シトュウの奴が影人に神力の一部を譲渡したかららしいぜ。だから、シトュウと影人に繋がりが出来て相互間の念話が可能になったんだと。はあー、本当ムカつくよな」
「なっ・・・・・・」
「っ・・・・・・」
シトュウの言葉を聞いたレイゼロールとシェルディアが驚いた顔を浮かべる。零無に自分が言おうとしていた事を言われた影人は、何でもないようにこう言葉を述べた。
「今零無の奴が言った通りでさ。そのついでに、今まで出来なかった長距離間の転移も出来るようになったんだ。まあ、1度行った事のある場所っていう限定付きだけどな」
「「・・・・・・」」
影人が言葉を補足すると、レイゼロールとシェルディアはジトっとした目を影人に向けた。2人のその視線に気がついた影人は不思議そうに軽く首を傾げた。
「どうしたんだ? 何か言いたげな感じだが・・・・・・」
「・・・・・・別に。ただ、色々な意味でお前らしいと思っただけだ」
「あなたは不思議と、私たちのような人ならざる存在を惹きつけるものね。彼女に信頼されたという事なのでしょうけど。全く、嬉しいような嬉しくないような・・・・・・」
「?」
レイゼロールとシェルディアは何やら意味深にそう言ったが、影人にはその言葉の意味がよく分からなかった。




