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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1537/2051

第1537話 ある願い(4)

「すみません、実はお願いもあって俺はここに来たんですが・・・・・・出来れば真界への門を開けてもらえませんか? シトュウさん・・・・・・『空』に用事があるんです」

「真界の『空』様に? 確かにワシはそこへと至る門を開く事は出来るが・・・・・・人間はあそこには入れんぞ? あそこに入れるのは一部の特別な者たちか、『空』様に許可を与えられた者だけじゃ」

 ガザルネメラズは影人にそう言ってきた。どうやら、ガザルネメラズは影人が真界に入れる事を知らないようだ。影人はガザルネメラズにこう言葉を返した。

「それなら大丈夫です。俺は真界に入れる例外の人間ですから。前もレゼルニウスの奴が開いた門で入りましたし」

「そ、そうか。何というか・・・・・・君は本当に色々と規格外の人間じゃな・・・・・・」

 ガザルネメラズは少し引いたような顔を浮かべると、「そういう事なら分かった」と言って両手を虚空へ向けた。

「神界の神である我が開き望み給う。開け、空たる存在へと続く真界の門よ」

 ガザルネメラズが言葉を唱えると、虚空に透明な無色の輝きを放つ門が現れた。

「ありがとうございます。では、俺はこれで失礼します」

 影人はガザルネメラズに感謝の言葉を述べ門を潜ろうとした。だが、ガザルネメラズは最後に影人にこんな事を言ってきた。

「うむ。帰城影人くん、よければまたワシと話をしてくれんかの。君の話を聞くのはとても面白そうじゃ」

「そんなに面白くはないとは思いますが・・・・・・分かりました。また機会があれば」

 影人は小さく笑みを浮かべると門を潜った。














「よう、シトュウさん。また勝手にお邪魔して悪いな」

 真界「空の間」。階段を登りシトュウが座している場所に辿り着いた影人は、軽く右手を上げシトュウに挨拶をした。

「帰城影人・・・・・・あなたがここに来るのは2度目ですね。一応、ここは人間がそう易々と来れる場所ではないのですが・・・・・・まあ、あなたは全てにおいて例外ですからね。気にしても無駄というものでしょう」

 影人を見たシトュウはどこか諦めたようにそう言うと、その両の透明の目を影人に向けた。

「それで、私に何か用でしょうか?」

「ああ。パーティーの時に話があるって言っただろ。色々ごちゃついて話すタイミングとか段取りが狂っちまったから、俺から来たんだ。シトュウさんは忙しいだろうし、俺からシトュウさんに連絡は出来ないからな。だから、今日はその用事で来た」

 シトュウの問いかけに影人はそう返答した。シトュウは納得したように頷いた。

「なるほど。確かにあなたはそう言っていましたね。それで、その話というのは何でしょうか?」

「・・・・・・実は話って言うよりかはお願いなんだがな。でも、シトュウさんからしてみれば小さな、本当に小さな事だと思う。だから・・・・・・」

 影人はそう前置きすると、その願いの言葉を口にした。


「お願いだ、シトュウさん。俺の父親が・・・・・・帰城影仁が今どこにいるか、俺に教えてくれ。俺はあの人を迎えに行きたいんだ」

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