表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1520/2051

第1520話 怪人の立ち位置は(1)

「・・・・・・」

 4月30日火曜日、午前8時過ぎ。魅恋は教室の自分の席に座りぼうっとした様子で虚空を見つめていた。

(本当、何だったんだろ。土曜日に見たあの骸骨の怪物と、あの黒い男の人は・・・・・・)

 あの日からずっとあの光景の事ばかり考えている。突然現れた骸骨の怪物。そんな怪物から魅恋と海公を助けてくれた黒衣の男。スプリガンと名乗ったあの金の瞳の男の事が。

(気になる。知りたい。あの光景の意味が。この世界でいったい今なにが起きてるのか。あの人が何者なのか・・・・・・)

 寝ても覚めてもその気持ちが魅恋の胸中を占め続ける。だが、魅恋にはそれを知る手段がない。だけど、このままこの気持ちが消えるとは思えない。どうするべきか。魅恋がそんな事を考えていると、

「――魅恋。魅恋ってば!」

「え・・・・・・な、なに?」

 そんな声が魅恋の耳を打った。友人である女子生徒に呼びかけられた魅恋はハッとしたような顔でそう言った。魅恋の言葉を聞いた女子生徒は呆れたような顔を浮かべていた。

「何じゃないよもう。何回も呼びかけてたのに。どうしたの魅恋。なんかいつもと違うよ?」

「大丈夫魅恋? 体調悪いとか?」

「保健室行っとく?」

 女子生徒は魅恋にそう言って、周囲にいた他の女子生徒たちも魅恋にそんな言葉を掛けた。最初に声を掛けて来た女子生徒とは違い、こちらは主に心配するような口調だった。

「あ、ああゴメン。・・・・・・ちょっと考え事しててさ。体調悪いとかじゃないから、そこは気にしなくてオケだから」

 女子生徒たちに対し、魅恋は慌てたように笑みを浮かべた。魅恋の答えを聞いた女子生徒たちは安心したような顔になる。

「そう? ならよかった」

「考え事ってなに? 悩んでるみたいだったら私たちに相談してよ」

「い、いやその・・・・・・そ、それは言えないっていうか・・・・・・」

 魅恋が言葉に詰まる。脳裏に浮かぶは土曜日に遭遇した黒衣の男の言葉。魅恋はあの光景を他人に伝える事、それ自体をあの男に禁止されている。正直に言えば、今すぐにでもこの事をいま魅恋の周囲にいる友人たちに伝えたいし、あれは単なる脅しで喋っても問題ないのではという思いもある。

 しかし、話してしまえばこの繋がりのようなものが消えるかもしれないという漠然とした思いも同時にあり、結局魅恋は男の言葉を守っていた。

「えー、私たちにも言えない考え事ってなに? 怪しい〜」

「あ、私分かっちゃったかも。魅恋、それ絶対恋の悩みでしょ! あー、遂に魅恋にも好きな人出来たか〜!」

「え!? ちょ、違うんですけど!?」

 急にそんな事を言われた魅恋は驚き焦ったようにその首をブンブンと横に振った。だが、魅恋の反応を照れ隠しだと思ったのか、女子生徒たちはニヤニヤとした顔になると、更に盛り上がった。

「照れるなって! で、誰を好きになったの? やっぱり女子にぶっちぎり1番人気の香乃宮先輩? それとも他の人?」

「ねえ、教えてよ〜!」

「だ、だから本当に違うんだって! 勘違いすんなし!」

「嘘だ〜! いいから教えろ!」

 魅恋は必死に弁明したのだが、1度恋愛話と思い火がついた女子たちは中々納得しなかった。結果、魅恋の周りはいつも通り賑やかになった。

 ちなみに、魅恋たちの話を聞いていた男子生徒たちは、「き、霧園さんに好きな人が出来ただと・・・・・・!?」「そんなぁぁぁ!」「許せん、誰だそいつは!」「も、もしかしたら俺かも・・・・・・!」「ワンチャンある・・・・・・!」などといった反応だった。この学校の男子はとにかくアホが多いようである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ