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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1512/2051

第1512話 流入する者(2)

「――という訳で、私とラルバに長老から話がありました。詳しい話はこれからシトュウ様と謁見して聞く予定です」

「・・・・・・そうか」

 4月27日土曜日、午前10時過ぎ。パーティーの翌日。休日だが少し早めに起きた影人は神界のソレイユのプライベートスペースにいた。もちろん、昨日起こった事態に関する話をするためだ。影人は今、対面に座るソレイユから色々と情報を聞いていた。

「光導姫と守護者のシステムを復活させて、異世界からの流入者の対応に当たらせるか・・・・・・確かに、それならその問題に対処出来るな。光導姫と守護者なら経験もあるし要は、闇奴や闇人がそいつらに変わっただけの話だ」

「ええ。既に各国政府には事情を話し、光導姫と守護者のシステムを復活させると告知しました。取り敢えず、私はこれから元光導姫の子たちに声を掛けていくつもりです。力を再度与えた光導姫たち――陽華や明夜、『光導十姫』などですね。彼女たちに対しては、昨日の内に全てを話しました。ありがたい事に、全員また光導姫として対処、必要であれば戦うと言ってくれましたよ」

「対処・・・・・・ああそうか。流入してくる異世界の奴ら全員が昨日のドラゴンみたいに凶暴なわけじゃないもんな。むしろ、向こうも被害者だから戸惑う奴もいるだろうし」

 ソレイユの言葉に少し違和感を感じた影人は自己解決しそう呟いた。影人の呟きを聞いたソレイユはコクリと頷く。

「はい。そういった場合の対処方法などについては、これからシトュウ様に伺う予定です。今は取り敢えず、光導姫と守護者のシステムをその問題の対処法にするという事だけが決定されている状態ですね」

「なるほどな・・・・・・ま、色々気になる事はあるが了解だ」

 取り敢えず、ソレイユの話を聞き終えた影人はそう言って言葉を纏めた。そして、影人は自分の意思をソレイユに伝えた。

「俺も協力って感じじゃないが戦うぜ。フェルフィズの野郎は何発かぶん殴らないと気が済まないしな。だから、悪いがスプリガンの力はもうしばらく貸してくれないか?」

「ええ、それはもちろん大丈夫です。というか、シトュウ様は長老を通して私とラルバの眷属化の大幅な緩和と、あなたに対する神力の譲渡期間延長の事を許可するように言ってくれています。まあ、長老は少し苦い顔をしていましたがね」

「そりゃそうだろ。俺もレイゼロールとの最後の戦いの後にお前から聞かされて知ったが、神力の人間への譲渡って本来禁忌なんだろ。ていうかその長老って神、中間管理職みたいな立ち位置でちょっと可哀想だな・・・・・・」

 影人は未だに会った事はないが長老なる神に同情した。部長が規則通りに管理してたら、社長からいきなり特例を適用するように言われたような形だろう。それは大なり小なり葛藤が生じるはずだ。影人も本来特別扱いは嫌いだが、スプリガンの力は戦うために必要なものだ。ゆえに、影人は同情はするが、素直にシトュウという存在の威を借りる事にした。

「ま、まあそうですね。ああ、そうだ。そういえば、長老が1度あなたに会いたいと言っていましたよ。レールの事でお礼が言いたいと」

「は? いや、それ絶対建前だろ・・・・・・内心完全にキレて俺呼び出してるだろ・・・・・・」

 苦笑いを浮かべたソレイユが思い出したようにそんな事を伝えてきた。ソレイユからそう聞かされた影人は嫌そうな顔を浮かべた。

「じゃ、お前もこの後シトュウさんと話あるみたいだし俺も帰るわ。地上に残して来た零無の奴もうるさいだろうし」

 ただでさえ、神界に影人が行くとなった時でもうるさかったのだ。いくら神界が地上とは時間の流れが違うといっても、これ以上遅くなれば零無は間違いなく面倒くさくなる。影人はソレイユが創造したイスから立ち上がった。

「ああ、零無さんは取り敢えず現状は神界と真界には出禁らしいですからね・・・・・・」

 ソレイユは再び苦笑すると、自身も立ち上がり影人を転移させるべく準備に入った。

「では影人、地上に送りますね。シトュウ様との謁見が終わってまた色々分かれば話します」

「あいよ」

 影人が軽く頷く。そして十数秒後、ソレイユは影人を地上に転移させた。

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