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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1499/2051

第1499話 世界激震(1)

「っ!? 地震か・・・・・・!?」

 突如として発生した揺れに、影人はすぐさまそう思い倒れないように姿勢を低くした。影人が今いるのはパーティー会場外のバルコニーで、パーティー会場内のバルコニーのようにテーブルは設置されていない。ゆえに、影人に出来ることはそれくらいしかなかった。

「この揺れは・・・・・・そうか。崩したか『物作り屋』。世界の境界を・・・・・・」

 一方、肉体を持たぬ零無は震える世界を見つめながらそんな言葉を呟いた。地震の事に気を取られていた影人は、零無の呟きに気がつかなかった。

「っ、止まったか・・・・・・?」

 それから1分ほどだろうか。地鳴りは収まった。影人はまだ地震に警戒しながら立ち上がった。すると、ポケットに入れていた影人のスマホが盛大な音を放ち始めた。緊急地震速報だ。影人はアラートの音に軽く顔を顰めながらも、スマホを取り出し画面を見た。

「震度5弱・・・・・・かなり強い揺れだな。震源地は・・・・・・何だこれ? 世界全体? その中でも日本、イスラエル、イギリスの3国に強い揺れを確認・・・・・・」

 地震速報を見た影人は意味が分からないといった顔を浮かべた。震源地が世界全体など聞いた事もない。という事は、ついさっき地球全体が揺れていたという事なのだろうか。いずれにしても、地震にそれ程詳しくない影人からしてみれば、よく分からないの一言に尽きた。

(中の方はどうなってるんだ? 取り敢えず、一旦パーティー会場の方に戻るか)

 中の様子が気になった影人は、バルコニーを後にしようとした。だがその時、


「――ギャオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」


 何かの雄叫びが静寂な夜の世界に響いた。

「っ!?」

 身も震えるようなその雄叫び。その雄叫びに影人は聞き覚えがあった。だがありえない。なぜこの声が今聞こえてくる。聞こえるはずがないのに。そう思いながら、影人は振り返り夜空を見つめた。

「なん・・・・・・で・・・・・・」

 影人はその雄叫びを上げた()()を見つけた。何かは、いやその生物は夜空に羽ばたき、月光によってその姿が照らされていた。

 その生物は暗い赤をその全身に纏わせていた。その生物は大きな口を開き、そこから剣山のような歯を覗かせていた。

 その他にも、その生物は巨大な翼、尻尾、4足の脚。そこから生えている凶悪な爪といった特徴を具えていた。極め付けは、トカゲのようなその全身像。その大きさも巨大と言うべきものだ。

 そして、影人はその生物を知っていた。

「ドラゴン・・・・・・」

 影人は呆然とした様子でその生物の名前を呟いた。思い出されるのはシェルディアの『世界』で戦った2頭の竜たち。黒竜ゼルザディルム、白竜ロドルレイニ。あの2竜と文字通り死闘を演じた影人は、竜という生物の強さを身を以て知っていた。影人は自分が悪い夢を見ているのかと錯覚した。

「ギャオォォォォォォォォォォォッ!」

 だが、これが悪夢ではなく現実である事を示すように赤いドラゴンは再び大気を震えさせる雄叫びを発した。

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