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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1496/2051

第1496話 打ち上げパーティーだ8(2)

「ま、俺の謝罪はあんたの指摘通りだよ。区切りにするのが1つだ。ただ、あんたやレイゼロールに申し訳ないと思ってるのは本当だ。さて、後はパーティーに来てるらしいレイゼロールに謝るだけだな」

「なんだ、あんたレイゼロールにも謝りに行く気か?」

「ああ。でも、一応ずっと探してたんだが全然見つからないんだよな。俺がパーティーに参加したのは、あんたとレイゼロールに謝るためなのに」

「あいつはパーティー会場の隣の部屋だ。パーティー会場右奥にドアがある。そのドアの先にあいつはいるよ」

 壮司は少し困ったような顔でそう言った。見た目や雰囲気とは裏腹に随分と真面目な奴だ。そんな事を思いながら、影人は壮司にレイゼロールの居場所を教えてやった。

「マジか。ありがとよスプリガンさん。それじゃ、俺はこれで」

 レイゼロールの居場所を影人から教えてもらった壮司は、そう言って影人に手を振るとこの場から去ろうとした。

「・・・・・・待てよ」

「ん?」

 だが、影人は壮司を呼び止めた。壮司は不思議そうな顔で振り返り立ち止まった。

「お前はラルバとの契約で、俺やレイゼロールの奴を殺そうとしてたんだろ。ラルバがレイゼロールを殺そうとしてたのは、ソレイユを戦いから解放するため。俺を殺そうとしてたのは、その目的のために邪魔だったからだ。なら、お前は何を対価にその実行者となろうとした? お前はラルバとどんな契約を結んだんだ?」

「あー・・・・・・まあ、気になるか」

 影人から疑問をぶつけられた壮司は右手で軽く頭を掻くと、どこか気まずそうな顔を浮かべた。

「・・・・・・端的に言えば、復讐の手伝いって感じかな。俺の個人的な」

「復讐・・・・・・?」

 壮司の漏らした言葉に不穏なものを感じながらも、影人がそう言葉を呟く。影人の呟きを聞いた壮司はこう前置きした。

「・・・・・・全く面白い話じゃねえぜ。それでもいいんなら教えようか? あんたには知る権利があるからな」

「・・・・・・構わない。教えてくれよ、案山子野壮司。お前が暗躍していた理由を」

 壮司の問いかけに影人は真剣な顔で頷いた。影人は知りたかった。自分と同じように暗躍していた男が、なぜ黒衣の襲撃者となったのかを。

「・・・・・・はあー、分かったよ。あんたが知りたいなら、俺に断る権利はない。いいぜ、なら教えようか。何で俺がラルバ様と契約を結んだのかを」

 影人の言葉を聞いた壮司は仕方がないといった感じで頷くと、ヘラリとした笑みを浮かべた。













「俺の親父はシングルファザーだった。俺がまた生まれて間もない頃に、俺の母親は若い男と駆け落ちして家を出て行ったらしい。それから親父はずっと1人で俺を育ててくれたんだ。サラリーマンをしながら家事も育児もして。本当、文字通り死ぬ程大変だったと思うぜ」

 バルコニーの手すりに軽くもたれ掛かりながら、壮司はそう言葉を切り出した。

「だけど、親父は全く文句も言わずにずっと優しい父親でいてくれた。まあ、中学くらいからは、絶賛多感な時期って事もあって、俺は表向き親父に感謝の気持ちは中々出さなかったんだが」

「・・・・・・」

 壮司の言葉を影人は黙って聞いていた。言葉には出さなかったが、影人は内心で立派な父親だなと思った。

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