第1483話 打ち上げパーティーだ5(2)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「スプリガンは俺だ」
フリーズしたように動かなくなった暁理。そんな暁理に対して、影人はもう1度そう言葉を告げた。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
暁理は未だに衝撃を受けたままの顔で固まり、影人もそれ以上は言葉をかけなかった。
「え・・・・・・ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」
そして、暁理は絶叫を上げた。
「っ・・・・・・?」
「な、なんだ・・・・・・?」
暁理の絶叫にバルコニーに出ていた者たちが、不思議そうに或いは不審そうな顔を浮かべる。影人は思わず両手で耳を覆った。
「うるせえよ。ていうか驚きすぎだろ」
「そ、そりゃ驚くに決まってるだろ!? だって、だって・・・・・・!」
暁理はそこで自分の声の大きさに気づいたのか、ハッとしたような顔になると、声を潜めてこう言葉を続けた。
「君がスプリガンだったなんて・・・・・・! た、確かに君の素顔は目の色を除けば彼とほとんど同じって今気づいたけど・・・・・・でも、だって・・・・・・」
「っ? おい待て暁理。お前何でスプリガンの顔知ってるんだよ。その言い方だとまるで・・・・・・」
不思議に思った影人が暁理にそう質問を投げかける。すると、暁理はこう答えを返した。
「ああ、そうだよ・・・・・・! 僕はスプリガンを見た事がある・・・・・・! しかも何回か・・・・・・!」
「は、はあ? マジかよ・・・・・・」
暁理の答えを聞いた影人が再び驚いた顔を浮かべる。まさか暁理がスプリガン時の自分を見ていたとは。
「って事は、俺とお前は会った事があるって事か・・・・・・? だが、俺はお前と会った記憶なんてないぞ?」
影人は必死に自分の記憶を掘り起こしたが、やはり暁理と出会った記憶はない。というか、スプリガン時代に暁理と会っているならば絶対に覚えているはずだ。影人は暁理の言葉と自分の記憶が食い違っている事情がどうしても分からなかった。
「ああそれは・・・・・・多分、僕の光導姫形態のせいだろうね。僕は光導姫形態の時、ずっとフードで顔を隠してたから。エメラルドグリーンのフードで」
「エメラルドグリーンのフード・・・・・・っ、思い出した。確か風と剣を操る光導姫だ」
暁理の口からエメラルドグリーンのフードという特定の単語を聞いた影人は、その光導姫の事を思い出した。確か、最初に見たのは河川敷。陽華や明夜、光司などもいた時だ。次に見たのは影人が初めてレイゼロールと戦った時。そして、その次に見たのはキベリア戦の時。4度目はキベリアを餌としてシェルディアに誘き寄せられた時だ。
「そう、それが僕だよ。光導姫名はアカツキだった。というか、今の言葉でその情報が出てくるって事は、君は本当にスプリガンなんだね・・・・・・」
「マジかよ・・・・・・って事は2回は至近距離で会ってたのか・・・・・・確かにキベリア戦の時、何か聞き覚えのある声だなとは思ったが・・・・・・」
頷いた暁理を見た影人は未だに信じられないといった様子でそう言葉を漏らした。フードをしていて顔が分かり難かったとはいえ、あの光導姫が暁理と気づかなかったとは。影人は自分の不注意さを呪った。
「ねえ、影人。君がスプリガンだったって事は、朝宮さんや月下さんの事とかも・・・・・・」
「ああ知ってるよ。もちろん香乃宮とか会長とか、ピュルセさんの事とかもな。ていうか、さっきまで香乃宮とピュルセさんに追いかけられてたし・・・・」
「お、追いかけられてた・・・・・・? その事はよく分からないけど・・・・・・って事は君がスプリガンだって事を、みんなはもう知ってるって事・・・・だよね?」
前半は意味が分からないといった顔を浮かべながらも、暁理は真剣な顔で影人にそう聞いた。暁理の質問に影人は頷いた。




