第1482話 打ち上げパーティーだ5(1)
「「・・・・・・」」
互いの顔を呆然とした様子で見つめながら、言葉を失っている影人と暁理。パーティーの喧騒に包まれた中、2人の時間はまるで止まったように静寂だった。
「な・・・・・・何で君がここにいるんだよ影人!? このパーティーは元光導姫とか元守護者・・・・・・特別な人しか来られないパーティーなんだぞ!?」
静寂を破ったのは暁理だった。暁理はほとんどパニックに陥ったかのような様子で、そう言葉を述べた。
「それはこっちのセリフだ! 何でお前がここにいるんだよ!? ま、まさか・・・・・・お前元光導姫だったのか!?」
暁理にそう言われた影人も暁理ほど深刻ではないが、驚いたようにそう言葉を返す。影人の口から光導姫という単語を聞いた暁理は、衝撃を受けたように更に目を見開く。
「っ!? そ、その言葉を知ってるって事は・・・・・・君は元守護者だったのか!? 僕と同じようにずっと闇奴や闇人たちと戦っていたのか!?」
「いや、俺は守護者じゃねえが・・・・・・僕と同じようにって事は、やっぱりお前光導姫だったのか・・・・・・おいおい、マジで言ってんのかよ・・・・・・」
その暁理の言葉を聞き、暁理が元光導姫だと確信した影人は右手で軽く顔を覆った。まさか自分の身近にまだ光導姫がいたとは。自分の周りは本当にどうなっているのだ。
「・・・・・・暁理。取り敢えず、少し静かな場所に行くぞ。互いに話がしたいだろ」
「それは・・・・・・う、うん・・・・・・」
ある程度衝撃から立ち直った影人は、暁理にそう声を掛けた。穂乃影やシェルディア、その他諸々の事などもあり、衝撃の事実というものにはある程度の耐性がある。本当に悲しい事だが。影人の言葉を受けた暁理は、未だに呆然としながらも気づけば頷いていた。
「よし、じゃあ場所を移すぜ。確かバルコニーが解放されてたな。そっちの端にでも行くか。暁理、ついて来い」
一応、まだ光司とロゼを警戒しながらそう言うと、影人は暁理を伴ってバルコニーの方へと向かった。
バルコニーは広く、パーティー会場内と同じように何台ものテーブルとイスが置かれていた。美しい月と春の夜風吹くバルコニーにはそれなりに人がおり、こちらも会場内と同じようにかなり賑わっている。だが、端の方となると人も少なく、ついでに暗かった。影人が予想したように、話し合いをするのには丁度いい場所だ。
「・・・・・・ここらでいいな。さて、何から話すか」
バルコニーの柵に軽くもたれ掛かりながら、影人はそう呟いた。
「ちょ、ちょっと何もう普通に戻ってるのさ! 僕はまだ信じられないよ。君がここにいるなんて・・・・・・」
「別に普通には戻ってねえがな。ただ、悲しい事に耐性があるだけだ。・・・・・・俺もお前がここにいてこうやって話してるのは信じられない気分だぜ。だが、これは現実だ。なら受け入れるしかねえだろ」
少し突っかかるような暁理の言葉に、影人はもうほとんどいつもと変わらぬ様子でそう言葉を返す。そして、影人は暁理にこう言葉を切り出した。
「・・・・・・なあ暁理。お前も光導姫だったんなら聞いた事ないか。・・・・・・スプリガンって名前を」
「え・・・・・・? た、確かにその名前を聞いた事はあるよ。光導姫や守護者が闇奴や闇人と戦っている戦場に現れる正体不明、謎の怪人・・・・・・彼がどうかしたの? って言うか、その名前を知ってるって事はやっぱり君は守護者だったんじゃ――」
「それ、俺だ」
暁理が言葉を言い切る前に、影人はそう言葉を割り込ませた。




