第1478話 打ち上げパーティーだ4(1)
「本当、俺って奴は・・・・・・仕事してくれよ、タイミングさんよ・・・・・・」
ファレルナと光司にほとんど同時に会ってしまった影人は、自分の不幸さを呪った。別に先ほどの言葉はフラグではない。だというのにこれだ。影人は軽く頭を抱えた。
「あ、『騎士』さんに『守護者』さん。こんばんは」
「っ、ファレルナ様。御身もこのパーティーに出席していらっしゃいましたか。こんばんは。その姿、とてもお似合いです」
「これはこれは・・・・・・こんばんはファレルナ嬢。香乃宮くんに続いて失礼いたしますが、本当によくお似合いですね」
光司とプロトを知っていたらしいファレルナが、2人にそう挨拶をした。ファレルナにそう声を掛けられた光司とプロトは、爽やかなイケメンスマイルを浮かべながら、そう言葉を返した。
「ありがとうございます。嬉しいです。ですが、私の事はどうかルーナとお呼びください」
「ははっ、敬愛するファレルナ嬢がそう言うなら呼びたいところではあるのですが・・・・・・すみません。僕にはあまりにも恐れ多い。申し訳ございません」
「すみませんファレルナ様。僕も同じです」
「そうですか・・・・・・」
ファレルナの言葉にプロトが苦笑しそう言葉を述べる。光司もプロトに続きそう言った。2人の言葉を聞いたファレルナは残念そうな顔を浮かべた。
(よ、よし。今ならワンチャン逃げられる・・・・・・!)
3人が言葉を交わしている間に、影人はそっと動いて人混みの中に紛れようとした。
だが、
「ああ、帰城くん。ごめん、挨拶が遅れたね。こんばんは」
「っ・・・・・・!?」
光司がニコリと笑いながら、影人に挨拶をして来た。その結果、逃げようとしていた影人はその動きを止めざるを得なかった。
(ちくしょう香乃宮てめえ!)
内心でそう叫んだ影人は、面倒くさそうな顔を浮かべると光司に言葉を返した。
「・・・・・・ああ、こんばんはだ香乃宮。じゃあな」
「ちょっと待ってくれないかな帰城くん。せっかくこうして出会えたんだから、少し話そうよ」
挨拶だけして逃げようとする影人に、光司が待ったの声を掛ける。光司にそう言われた影人は、首を横に振った。
「御免被る。せっかくだから、お前は聖女サマとその隣の人と話しとけよ。俺は飯を食うので忙しいんだ」
「お兄さんご飯を食べるのですか? でしたら、私も一緒にご一緒したいです」
「いや、あのな聖女サマ。話聞いてたか? だから俺抜きで――」
言葉を挟んで来たファレルナに影人が呆れたような顔を浮かべる。影人が言葉を紡ごうとすると、光司が笑みを浮かべこんな言葉を放った。
「でしたら、ここにいるみんなで食卓を囲みましょう。僕もちょうどお腹が空いて来ましたし。どうでしょう、ファレルナ様、プロトさん?」
「私は大賛成です」
「僕ももちろん歓迎だよ」
光司の提案にファレルナとプロトが頷く。2人の反応を見た光司は自身も頷いた。




