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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1476/2051

第1476話 打ち上げパーティーだ3(3)

「ああ、そういう事だ。スプリガン、いや帰城影人殿。私と国の勝手極まりない考えのせいで、あなたに多大なる迷惑をおかけした。謝して許される事では決してないが・・・・・・ここに謝罪する。本当に申し訳ございませんでした」

「・・・・・・」

 アイティレは座ったままではあるが、影人に向かって深々と頭を下げて来た。影人はしばらく何も言わなかった。

「・・・・・・多少は整理がつけられたか? さっきも言ったが、元々俺は全く気にしてない。だから、別にあんたに対して怒りの気持ちはねえよ」

 沈黙を破った影人はどうでも良さそうな様子で、アイティレにそんな言葉を送った。影人の言葉を受けたアイティレはその顔をゆっくりと上げた。

「・・・・・・最初に出てくるのがそんな言葉だとはな。君は・・・・・・優しい人間なのだな」

「勘違いするな。本当にどうでもいいって思ってるだけなんだからよ。取り敢えず、形式的にはなるが言っとくぜ。お前の謝罪は受け取った。答えはここまでにしとくぜ、敢えてな」

 アイティレの漏らした言葉を聞いた影人は、面白くなさそうな感じでそう言葉を放った。影人が明確にアイティレを許す許さないの答えを述べなかったのは、それが1番マシな答えだからだ。許すと言えばアイティレは納得しないだろうし、許さないといえば禍根が残る事になる。

「いや、やはり君は優しい人間だよ・・・・・・」

 影人の意図を理解したアイティレは小さな笑みを浮かべた。アイティレに再びそう言われた影人は「だから違うって。分からねえ奴だな」と呆れていた。

「・・・・・・話はこれで終わりだ。聞いてくれて感謝する。では、私はこれで」

「ああ・・・・・・せいぜい、お前もパーティーを楽しめよ」

「私にこのパーティーを楽しむ資格はないが・・・・・・ありがとう。善処するよ」

 アイティレはそう言うと席から立ち上がり、会場の喧騒の中へと姿を消して行った。

「・・・・・・あいつも色々大変な奴だな。まあ、同情はしねえけど」

 アイティレが去った後、影人はそう呟くとテーブルのグラスに置いていた水を一口飲んだ。結果、グラスは空になる。そして、影人は気を取り直すように皿を持つと、自身も立ち上がった。

「さて、俺もパーティーを楽しむか」

 そう言うと、影人はビュッフェコーナーに向けて歩き始めた。









「ん・・・・・・?」

 影人がビュッフェコーナーに向かうと、ザワザワとコーナーが騒ついていた。パーティーなので、騒ついているのは全くおかしくはないのだが、少し雰囲気がおかしい。パーティーの楽しさから来る騒つきというよりかは、戸惑いや異常から来る騒つきに近い。いったい何だ。影人はそう思った。

「げっ・・・・・・」

 果たしてその十数秒後。影人はビュッフェコーナーが騒ついている理由を理解した。その理由を悟った影人は思わずそんな声を漏らした。

「これも美味しそう! あ、これも! これもこれも!」

 影人の視線の先には1人の少女がいた。鮮やかな赤色のドレスに身を包んだその少女は、お皿に次々と料理を盛り付けて行く。それも大量に。少女は大量に料理を盛り付けた皿を、どこから調達して来たのか次々とワゴン(食事を運ぶカートのような物)に置いていった。ワゴンは3層あったが、既にほとんど大量に料理が盛り付けられた皿で埋まっていた。

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