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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1469/2051

第1469話 打ち合げパーティーだ1(4)

「・・・・オーマイガー。こいつはたまげたな・・・・・・」

 午後6時55分過ぎ。入口で招待状を手渡し(影人とキベリアの分はシェルディアが所持していた)、パーティー会場に入場した影人は今日何度目かとなる驚きの言葉を漏らした。

 パーティー会場はかなり広く人も多かった。若い男女が着飾り、至る所にテーブルやイスが置かれ、豪華な食べ物や飲み物もビュッフェ形式で設置されている。もちろん、それに伴う箸やスプーンやフォーク、お皿などの小物も用意されている。バルコニーなども解放されており、そこにもテーブルやイスが見えた。ザ・パーティーといった光景が、影人の前には広がっていた。まさか現実でこんな光景を見る事になるとは。影人はそう思った。

「というか、人の数凄えな・・・・・・こいつら全員元光導姫と元守護者か・・・・・・」

「まあ、ほとんどはそうね。一応、今回のパーティーの名目は、和平実現と元光導姫や元守護者に対しての慰労会というものだから。本当はあなたを主役にしたかったのだけど・・・・・・それをしたら、流石にあなた本気で来ないか逃げると思ったから、それはやめたわ」

「まあ、確かにそれだったら悪いけど逃げてるな」

 シェルディアの言葉を聞いた影人は頷いた。影人の様子を見たシェルディアは「でしょ?」と笑った。

「それに、そちらの趣旨の方があなたに合っているとも思ったの。なぜなら、あなたはずっと影から彼・彼女たちを助けながら暗躍を続けていた者。だから、パーティーの本当の主役は影に隠したのよ。このパーティーを主催した私の気持ちと一緒にね」

「っ・・・・・・ははっ、そうだな。確かに俺にはそっちの方が性に合ってる。やっぱり粋だよな嬢ちゃんは」

「ふふっ、そうでしょう?」

 苦笑した影人にシェルディアはどこか妖艶に微笑んだ。2人のやり取りを見聞きしていたキベリアは呆れたように、零無は呪うような顔で、

「はあー・・・・・・お熱い事で」

「おい何をイチャついてるんだクソ吸血鬼。死ね死ね死ね死ね死ね」

 そんな感想を漏らした。

「そういえば、こいつら全員ここまで何で来たんだ? 明らかに外国人もいるし、それでここは都内なんだろ。ならやっぱり飛行機とかか?」

「いえ、飛行機は日程がどうしても関わってくるから、都内以外の人間は転移の力を使って招待した形よ。もちろん帰りもね。だから、急なパーティーだったけどこれだけの参加者が集まったのよ」

 疑問を抱いた影人がそう呟くとシェルディアはそう答えた。

「ああ、転移か。確かに、転移なら場所も時間も関係ねえもんな。それに加えてタダ飯食えるなら、そりゃ参加する奴も多いか・・・・・・あれ、でも確か長距離転移は――」

 新たな疑問を抱いた影人がそう呟こうとした時だった。突然、会場の照明が落とされ、正面にある壇上にパッと光が集まった。

『――皆さん、こんばんは。本日はパーティーに参加いただき誠にありがとうございます。パーティーを始めさせていただく前に、まずは開会のご挨拶を僭越ながら、私が代表して述べさせていただきます。私はソレイユ。光の女神ソレイユと申します』

 壇上に設置されているマイクを通して名乗りを上げた女性――ソレイユの声が流れる。ソレイユも普段とは衣装が違い、ストレートの桜色の長髪は結わえられアップスタイルに、衣装も淡いピンクと白を基調としたドレスを纏っていた。

「はっ・・・・・・馬子にも衣装ってやつだな」

 そんなソレイユを見た影人はポツリとそう言葉を漏らした。

『今日のパーティーは、3ヶ月前の全世界を巻き込んだ光と闇の最終決戦。それを区切りとした、長年に渡る光と闇の戦いの決着、ひいてはそれに伴って実現した和平を尊ぶ事と、その和平実現に尽力してくださった過去・現在全ての光導姫と守護者に感謝、慰労するものです。改めて、皆さんと過去に戦ってくださった全ての人々に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました』

 ソレイユが頭を下げる。そして、顔を上げたソレイユは言葉を続けた。

『・・・・・・さて、皆さんは既に私やラルバの罪を知っていると思います。私たちは、実は幼馴染であった闇の女神レイゼロールを助けるために、光導姫や守護者を利用していたという事を。・・・・・・私やラルバの罪は到底許されるものではありません。皆さまには、もちろん過去の光導姫や守護者にも謝して許される事ではないでしょう。そんな私が挨拶を述べる事は適当ではないかもしれません』

 ソレイユが申し訳なさそうな顔を浮かべる。誰もがソレイユの言葉をただジッと聞いている。そして、ソレイユは真剣な顔を浮かべこう言った。

『ですが、そんな私たちがいると知ってもこのパーティーに来てくださった皆さまのために、私は私の思いを述べる義務があると考えました。私の挨拶はこれまでとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました』

 ソレイユが挨拶を述べ終え頭を下げる。しばらくは静寂のままだったが、やがてパチパチと拍手が起こった。

『っ・・・・・・ありがとうございます。では、これよりパーティーを始めさせていただきます。パーティー会場には光導姫・守護者の時と同じような言語システムが結界として展開されていますので、国や言語に関係なくご歓談をお楽しみください。では、失礼いたします』

 その後、ソレイユがパーティーの開会を宣言すると、次にラルバが登場し手短な挨拶を済ませた。


 そして――打ち上げパーティーが始まった。


 ――さあ、はしゃげやはしゃげ。神も人もその他のモノたちも関係なく。祭りだ、宴だ、パーティーだ。久しぶりのお祭り回の開幕である。

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