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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1462/2051

第1462話 パーティーの準備(1)

「・・・・・・はあー、ついに今日かよ。最悪の目覚めだぜ・・・・・・」

 4月26日金曜日、午前7時半過ぎ。目を覚ましベッドから起き上がった影人は、朝一番からため息を吐いた。眠気はあるが、それよりも気分が憂鬱だった。

 なぜ影人の気分が憂鬱かというと、それは今日の夜に打ち上げパーティーがあるからだ。水曜日に決まった(実質的には決められた)パーティーは、シェルディア全面主催の下、凄まじい速さで進められた。会場、お金、参加者への告知などは、シェルディアの持てる全ての力(主に財力)が使われた。そのためもあってか、打ち上げパーティーの用意は1日ばかりという異例の早さで整ったのだった。

 当然の事ながら、影人はシェルディアに申し訳なく思った。だが、シェルディアは「気にしないで。お金なんて使いたい時に使えないんじゃ、意味ないから。私は好きでやっているのよ」と言った。

 それでも影人が申し訳なさそうな顔を浮かべ続けていると、「あなたまだ分かっていないの? このパーティーをすること、楽しむ事があなたの贖罪なのよ。分かったら、素直に受け入れなさい」と少し怒られた。そう言われてしまった影人は、「ごめん。ありがとう」とシェルディアに謝罪と感謝の言葉を述べ、一応は受け入れたのだった。

「でもよ・・・・・・やっぱ面倒くせえよな。善意なのは分かるが・・・・俺には合ってないっていうか・・・・・・」

 頭を掻きながら影人がベッドから出ると、イスに座っていた零無がニコリと笑い、影人に朝の挨拶をしてきた。

「おはよう影人。今日もいい朝だね。お前の寝顔は可愛かったよ」

「気色の悪い事を朝イチから言ってくるな。ていうか、俺の寝顔なんざ顔の下半分しか見えないだろ。それの何が可愛いんだよ」

「それでも可愛いものさ。愛する者の寝顔ならね」

 影人にそう言われた零無はそう言葉を返した。零無の答えを聞いた影人は、よく分からんと思いそれ以上は言葉を返さなかった。

「・・・・・・行ってきます」

 朝の準備を整えた影人は、そう言って制服姿で家を出た。もちろん、今や影人に憑いている零無も一緒に。

「はあー・・・・・・ヤバい、本気で行きたくねえ・・・・・・どうする・・・・いっその事バックれちまうか・・・・?」

 マンションの構内を歩きながら、影人がそう言葉を漏らす。取り敢えず、シェルディアに昨日の夜に言われたのは今日の午後6時にシェルディア宅に来るようにとの事だ。パーティーの本番は午後7時からだが、何かやる事があるらしい。それも何だか怖いし、参加者が結局誰が来るのか知らされていない影人は、本気で逃げるべきかと考えた。思考が本当に終わっている奴である。

「おっ、そうするのかい? 別に吾は正直どっちでもいいぜ。そうだ、なら吾と2人でささやかなパーティーをしよう。うん、きっとその方がいい。別に、『終焉』に神力もあるお前なら、あんな吸血鬼がキレても殺せるだろ?」

「お前は本当にブレねえな・・・・・・やっぱ魂まで殺しとくべきだったかもな・・・・・・」

 零無全開の発言を聞いた影人は、引いたような顔を浮かべた。やはり、基本思考はそんなに簡単には変わらないようだ。

「・・・・・・いや、やっぱやめとく。逃げたら嬢ちゃん本気でキレるだろうしな。本気の嬢ちゃんと戦うのは、マジで2度とごめんだ」

 続けて、影人はそう言葉を述べた。本気で怒ったシェルディアは恐ろしく怖い。基本、人間は怒られたくはないものだ。ゆえに、影人は仕方なくそう決めた。

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