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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1442/2051

第1442話 神と影は己を信じ、ただ笑う(1)

「・・・・・・この姿になるのも久しぶりだな」

 スプリガンに変身した影人は自分の姿を見下ろすと、どこか懐かしそうにそう言葉を漏らした。もう2度と変身する事はないと思っていた黒衣の妖精。かつての自分のもう1つの姿。

『おいおい、浸ってる暇があんのかよ。久しぶりの戦いなんだ。楽しませろよ。じゃなきゃ殺す』

「分かってるよ。相変わらず口が悪い奴だ」

 自分の中に響く声――スプリガンの力の化身たる存在、イヴに向かって影人はそう言葉を返した。

「よし、じゃあ・・・・・・やるか」

 影人はニヤリと笑みを浮かべると、次の瞬間自身の周囲から闇色の鎖や怪物たちを呼び出した。そして、自身の体に全ての身体能力を強化する力(具体的には、身体能力の常態的強化や『加速』、眼の強化、『硬化』など)を施すと、地上を駆ける漆黒の流星となって駆けた。

「まずは零無の攻撃をどうにかするぜ・・・・・・!」

 影人は縦横無尽に地上を駆けながら、スプリガンの力をフルに使い、零無の放った鎖や魑魅魍魎や武器などの攻撃を排除していった。時には肉体攻撃を行い、時には銃や剣を創造し、闇色の光線なども放ちながら。戦っている者たちを守るように。

「ねえ明夜!」

「なによ陽華!」

 戦場で背中合わせになりながら、零無の攻撃に対処していた陽華と明夜が言葉を交わす。陽華は厳しい状況であるにもかかわらず、炎纏う拳を振りながら、自然と笑みを浮かべ幼馴染にこう言った。

「私たちの・・・・・・勝ちだね!」

「ええ、そうね。間違いはないわ!」

 陽華の言葉に、明夜も杖を振り笑みを浮かべながらそう言葉を返した。顔は見えないが、互いに同じような顔になっていると2人は思った。漆黒の流星と化した影人の姿は2人には見えないが、2人は確かに影人の、スプリガンの存在を感じていた。

「・・・・・・戻ってきたね、彼が」

「そうですね。正直に言えば、彼のあの姿には苦い記憶を抱かざるを得ませんが・・・・・・彼の力は本物です。この戦い、勝ちがグッと近づきましたね」

 一方、陽華と明夜と同じように零無の攻撃の迎撃に当たっていたゼノとフェリートもそんな言葉を交わしていた。その顔に笑みを滲ませながら。

「後輩なのに格好いい目立ち方しちゃって! だけど、今日だけは許してあげるわ!」

「帰城影人、この戦いが終わったら高いアイス奢らせてやるわ・・・・・・!」

「ふん・・・・・・かっこつけ」

「ふっ、僕も負けてられないな・・・・・・!」

 真夏、キベリア、ダークレイ、プロト、その他諸々の者たちも、スプリガンとなった影人に対しそれぞれ反応を示す。そして、そんな自分に対する反応など知らず、影人はただ地上を駆けていた。目にも止まらぬ速度で。

(ちっ、流石に上位の神だな。スプリガンの力でも、迎撃が追いつかねえ。出力の差か)

 零無の攻撃を迎撃していた影人はその事に気がついた。影人の力は確かに零無と同じ神力だが、零無の力とソレイユの力では、そのスペックがそもそも違う。圧倒的に零無の方が格が上なのだ。

「はっ、なら合わせ技で行くか・・・・・・!」

 だが、その事実を受けてもなお影人は笑みを浮かべそう呟いた。そう。自分の力はスプリガンの力だけではない。先ほどまで使っていた力もあるのだ。

解放リリース――『終焉ジ・エンド』」

 影人の体から闇が噴き出し、影人の姿が変化する。長髪に漆黒と金のオッドアイの姿に。『終焉』を解放した影人は、その闇をも零無の攻撃の迎撃に当たらせた。もちろん、味方には当たらないよう注意しながら。

「零無!」

 そして、影人は零無の名を叫びながら、零無の方へと駆けた。

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