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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1434/2051

第1434話 さあ、過去の因縁に決着を(2)

「言うの忘れてたが、その姿も似合ってるぜ! 久しぶりに素顔を見れたのも嬉しい! だが、その闇に染まり切ったような瞳だけは気に入らないな! お前の目にはやはり輝きがないとな!」

 地を蹴った零無はそんな言葉を叫びながら、影人に透明の鎖を幾条も放って来た。

「うるせえよ。日本人の瞳の色は大体黒だ。別に普段の俺と今の俺の瞳の色は対して変わらねえだろ」

 影人は自分を捕らえようとする透明の鎖を『終焉』の闇で無効化しながらそう言葉を返した。一応、日本人の瞳の色は実はブラウンがほとんどで、黒色は実はかなり珍しいようなのだが、影人は「日本人は黒目黒髪」というイメージに基づいてそう言ったのだった。

「いいや、変わるね。吾がそう言うんだから間違いない。恋する乙女は敏感なのさ」

 『終焉』の闇に鎖を無力化された零無は、影人と距離を保ちつつ、虚空から透明の腕を召喚した。その腕の数は優に数千。それらの数の腕が一斉に影人へと襲い掛かった。

「気色悪い。乙女って歳かよ」

 だが、それらの全ての腕は影人から噴き出す『終焉』の闇に触れた瞬間、溶けるように虚空へと消える。『終焉』の闇は全てを終わらせる力。生命の有無関係なしに全てを終わりへと導く。

「分かってないな影人。乙女に歳は関係ないのさ」

「そうかい。だが、てめえだけはやっぱり例外だ」

 影人は右手を離れた場所にいる零無に向けた。すると、影人の右手に連動するように『終焉』の闇が零無へと向かっていった。手掌で『終焉』の闇を操る事が出来る。これも、レゼルニウスから受け継いだ知識の中にあったものだった。

「おお、エコ贔屓かい? やっぱり、お前にとって吾は特別なんだな。嬉しいよ」

 零無は自分に向かって来る『終焉』の闇を気にする様子もなく、ひらりひらりとその闇を避けた。ついでに心底嬉しそうな顔を浮かべながら。

「ちっ、さっさと死ねよ」

 影人は少し苛立ったように手掌を零無に向け、『終焉』の闇を追い続けさせた。だが、当たらない。零無はどこまでも、時には空中に浮かびながらも闇を避け続けた。

「ははっ、当たらないよ。そんなスピードじゃ一生かかっても吾には当たらないぜ」

 闇を避けながら零無がどこか挑発するようにそんな言葉を述べる。その言葉を受けた影人は、表情を変えずにこう言った。

「余裕ぶりやがって。だが、それを言うならお前も同じだ。お前は俺に何の攻撃も当てられない。しかも、お前の目的は俺を殺す事じゃなく俺を捕獲する事だ。さらに加えて、今のお前は『終焉』と同じような力である『無』の力を振るえない。お前が目的を果たすのは、勝つのは絶望的だぜ」

 そう。今の零無が今の影人に勝つ事は、実はかなり難しい。不可能と言ってもいいくらいだ。影人の指摘を受けた零無は「まあ、そうだね」と言って、軽く頷いた。

「確かに、お前の言う通り吾がお前に勝つのは絶望的だ。客観的に見てもそう思うぜ。だがな、影人。絶望なんてものはな、諦めない限り、思考を止めない限りは何の意味も持たないものだよ」

「ああ、そうだな。てめえと意見が合うなんて最悪だが、そこだけは同意してやるよ・・・・・・!」

 影人はそう言葉を述べると、左手も零無に向けた。すると、別方向から『終焉』の闇が零無に襲い掛かった。『終焉』の闇は2方向から零無に迫った。

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