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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1430/2051

第1430話 鏖殺者、帰城影人(3)

「何で・・・・・・どうして、こんな事に・・・・・・」

 未だに状況を受け入れきれないソレイユが、絶望しきったような声でそう呟く。ソレイユは今にも泣き出しそうな顔を浮かべていた。

「ソレイユ・・・・・・きっと大丈夫だよ。影人くんも分かってくれる。だから、今はもう少しだけ我慢してくれ。絶対に大丈夫だから」

 ラルバはソレイユにそう声を掛ける事しか出来なかった。ラルバもどうしてこんな状況になってしまったのか正直分からないが、もう戦わないという選択肢はないのだ。

「帰城影人・・・・あなたはいったい零無に何を・・・・」

 シトュウは終わりの闇纏う影人を見つめそう言葉を漏らす。この前に会った時と今の影人はまるで別人だ。豹変していると評してもいい。

 だが、今の影人の冷たさをシトュウは知っていた。以前に自分を殺すと脅した時。今の影人はあの時の影人と非常に酷似していた。

 あの時の影人は、自分以外の者の事を想ってシトュウに脅しをかけて来た。方法自体は決して褒められたものではないが、その根底にあったのは優しさだ。ゆえに、シトュウは今回も影人の行動の根底には優しさがあるのではないかと考えていた。

「お前たち全員に言う。気をつけろよ、今の影人は我と同じ一撃必死の力を持っている。あの闇に触れた瞬間、命はないぞ」

 レイゼロールも自身の『終焉』の力を解放し、ここにいる者たちにそう告げた。レイゼロールの全身から闇が立ち昇り、アイスブルーの瞳が漆黒へと変わる。

「帰城くん・・・・・・私たちが絶対に目を覚まさせてあげるから・・・・・・!」

「あなたに今まで数えきれないくらいにもらった恩・・・・・・その内の1つをここで返すわ・・・・・・!」

 陽華と明夜が決意を込めた声でそう呟く。そして、2人がそう呟いた次の瞬間、

「死ね」

 影人から噴き出ていた『終焉』の闇が、全員に向かって放たれた。それが開戦の始まりとなった。

 1人対35人。様々な意味で絶望的な戦いが始まった。












「ふっ・・・・・・!」

 影人が放った『終焉』の闇。それに対抗してレイゼロールも自身の体から噴き出させた『終焉』の闇をぶつけた。互いに終わりへと導く力を持った『終焉』の闇と『終焉』の闇は、一瞬ぶつかり合うと、次の瞬間には互いに消滅し、虚空に散った。

「我が先行する。遠距離攻撃が出来る者は遠距離から、近距離攻撃しか出来ない者は、我が合図するまでは観察に徹しろ!」

 レイゼロールは少し大きな声で皆にそう告げると、全身に『終焉』の闇を纏わせ影人に向かって駆けた。

「そうだよな。お前が、いやお前だけが突っ込んでこれるよな。『終焉』に対抗出来るのは、基本的には『終焉』だけだから」

 自身に向かって来るレイゼロールに、影人はそう言葉を漏らした。そう。『終焉』の力を持つ影人にとって基本的に数の力は意味を為さないし、どのような強者であれ、必死の力には抗う事は出来ない。ゆえに基本的に『終焉』の力は、戦いにおいては無敵に等しい力と言える。

 だが、何事にも例外はある。その1つが同じ『終焉』の力だ。『終焉』には『終焉』を。レイゼロールとの最終決戦の時、影人も同じ事をした。

(この戦いのキーはレイゼロールだ。レイゼロールをいち早く無効化・・・・・・殺す事が出来れば、後はドミノ倒し。その次はシェルディアだが・・・・・・いくら強者でもあいつは俺には触れられない。なら、殺す事は他よりちょっと手こずるくらいだ)

 逆に言えば、レイゼロールを殺さなければ影人は負ける。そして、同じ『終焉』の力を纏うレイゼロールを『終焉』の力で殺す事は極めて難しい。どうすればレイゼロールを殺す事が出来るのか、影人は氷のように冷め切った思考を巡らせた。

「シッ・・・・・・!」

 接近して来たレイゼロールが右足での蹴りを放って来る。影人はその蹴りを左腕の前腕で受け止めた。

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