第1426話 彼の者は闇に堕つる(4)
「帰城くん・・・・・・事情は全部ソレイユ様から聞いたよ」
「まさか、帰城くんが蘇った背景にそんな事情が絡んでいるなんて、分からなかったわ・・・・・・」
影人が驚いていると、光導姫としてのコスチュームを纏った2人、朝宮陽華と月下明夜が真面目な顔で影人にそう語りかけて来た。2人の反応からも分かるように、影人は自分が蘇った事に零無という存在が絡んでいる事を、事情を述べた者たち(陽華や明夜、ソニアなど)に言っていなかった。要は、ぼかしていたのだ。
「うん。君が私たちに蘇った理由をぼかしたのは、私たちを気遣っての事だって分かるよ。でも、私言ったよね。もっと人を頼ってて。だけど、君はまた1人で全部背負うとしてる。私は今度はそれを見逃せない」
陽華と明夜に続くように影人にそう言ったのは、学生服を改造したような日本のアイドル然とした衣装を纏った、オレンジ色に近い金髪の少女。元光導姫ランキング2位『歌姫』のソニア・テレフレアだった。ソニアもどういうわけか光導姫としての姿だった。
「そうだよ帰城くん。今度は僕たちが君の力になる番だ。それが強力な敵なら尚更の事。1人でも出来ない事も、みんなでなら出来る。ましてや、これだけの人数に、かつて敵であった光と闇が手を組むんだ。どんな者にだって、そう簡単に負けやしないよ」
白を基調とした王子然とした衣装に身を包んだ男、元守護者ランキング10位『騎士』の香乃宮光司も、影人にそんな言葉を掛けてきた。光司の姿もかつての守護者としてのものだ。
「・・・・・・どういうわけだ。何で、お前らが光導姫と守護者に戻ってやがる。お前らのその力は、既に失われたはずだろ」
疑問を抱いた影人がそう言葉を呟く。影人のその呟きに答えたのは、ラルバだった。
「簡単な話だよ。再びここにいる者たちに、俺とソレイユが力を与えたのさ。守護者と光導姫の力をね。その許可は、シトュウ様が長老を通じて与えてくださった」
「影人。ここに集った皆は、あなたのために再び戦う事を決めてくれた者たちです。そんな者たちを前にしても、あなたはまだ1人で戦うと言うのですか」
ラルバの言葉を引き継ぐように、ソレイユが影人にそう訴えかける。
「まあ、そういう事だよ帰城くん。私を始め、ここに集った諸君は君のために集った、いわば兵隊さ。まあ闇人たちはレイゼロールの命令という側面が大きいようだがね」
そう言ったのは、水色の長髪に一部分が白色の髪の少女。元光導姫ランキング7位『芸術家』のロゼ・ピュルセだった。ロゼは少し芝居がかった仕草で手を広げた。まるで、ここにいる一同を紹介するかのように。
「・・・・・・」
影人は改めてここに集った者たちを見渡した。
まずは影人が零無の話をした5人。
シトュウ。
ソレイユ。
ラルバ。
レイゼロール。
シェルディア。
次に最上位闇人たち。
第1の闇『破壊』のゼノ。
第2の闇『万能』のフェリート。
第3の闇『闇導姫』のダークレイ。
第5の闇『強欲』のゾルダート。
第6の闇『狂拳』の冥。
第7の闇『剣鬼』の響斬。
第8の闇『魔女』のキベリア(キベリアだけ箒に乗って宙に浮いていた。すごく嫌そうな顔を浮かべながら)。
第9の闇『殺影』の殺花。
第10の闇『道化師』のクラウン。
全員揃い踏みだ。
次に守護者たち。
元守護者ランキング1位『守護者』プロト・ガード・アルセルト。
元守護者ランキング2位『傭兵』ハサン・アブエイン。
元守護者ランキング3位『侍』剱原刀時。
元守護者ランキング5位、『凍士』イヴァン・ビュルヴァジエン。
元守護者ランキング6位『天虎』練葬武。
元守護者ランキング7位『銃撃屋』エリア・マリーノ。
元守護者ランキング8位『狙撃手』ショット・アンバレル。
元守護者ランキング第9位『弓者』ノエ・メルクーリ。
そして、元守護者ランキング10位『騎士』香乃宮光司。
元守護者ランキング4位『死神』の案山子野壮司以外の最上位守護者たち9人がいた。
最後に光導姫たち。
元光導姫ランキング1位『聖女』ファレルナ・マリア・ミュルセール。
元光導姫ランキング2位『歌姫』ソニア・テレフレア。
元光導姫ランキング3位『提督』アイティレ・フィルガラルガ。
元光導姫ランキング4位『巫女』連華寺風音。
元光導姫ランキング5位『鉄血』エルミナ・シュクレッセン。
元光導姫ランキング6位『貴人』メリー・クアトルブ。
元光導姫ランキング7位『芸術家』ロゼ・ピュルセ。
元光導姫ランキング8位『閃獣』メティ・レガール。
元光導姫ランキング9位『軍師』胡菲。
元光導姫ランキング10位『呪術師』榊原真夏。
そして、ランキング外ではあるが、レイゼロールを浄化した光導姫、レッドシャインこと朝宮陽華。ブルーシャインこと月下明夜。計12人。
つまり、影人を除いて35人もの者たちが集っていた。




