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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1415/2051

第1415話 邪悪なる愛(1)

「あなたが『無』の力を使えないのならば・・・・!」

 再び亜空間に戻った戦場。先に仕掛けたのはシトュウだった。シトュウは周囲の空間から壮麗なる武器の数々――剣、槍、斧など様々な武器――を呼び出すと、自身の左手を零無に向けた。

「『時』の力よ」

 シトュウは呼び出した武器に『時』の力を纏わせた。シトュウが施したのは時を進める力、すなわち加速。その力によって超神速まで加速された武器が零無へと向かった。同時に、シトュウも加速した肉体で以て、零無に突撃をかける。

「はっ、脳筋がよ!」

 零無は周囲から透明の鎖を複数呼び出し、その鎖で武器を縛った。だが、全てとはいかず、数本の武器は真っ直ぐに零無に接近した。

「ちっ」

 零無が軽く舌打ちをして、大きくその武器を回避した。そして、そのタイミングで、シトュウは零無に蹴りを放った。零無はその蹴りを自分の腕で受け止めた。

「『時』の結界よ」

 瞬間、シトュウが自身と零無を中心として、小規模の結界を展開した。薄い紺色の結界が2人を覆った。

「っ、こいつは・・・・・・」

 展開された結界に、零無が少し驚いたような顔になる。そんな零無にシトュウは淡々とした表情でこう告げた。

「これは言うなれば小規模の『世界』のようなもの。この結界に捕われれば最後・・・・・・すなわち、私の勝ちです」

 シトュウが勝利宣言を行い、零無に右の拳を振りかぶった。零無はその拳に反応しようと、右手を動かそうとした。

 だが、

(っ? 何だ、手が動かない・・・・・・?)

 零無の意識に、零無の体は反応しなかった。

 その結果、シトュウの右拳が零無の左頬に炸裂した。

「ぐっ!?」

 久しく感じた事のない感覚――痛みが零無を襲った。零無に一撃を穿ったシトュウはこう言葉を述べた。

「この結界内は、私が自由自在に時を操れます。すなわち、この結界内にいるあなたに関する時も。体が動かないように感じているでしょう。それは、私があなたの体の時間をひどく遅らせているからです」

 続けて、シトュウは鋭い右の蹴りを放った。零無はまたしても意識は反応する事は出来たが、体は反応しなかった。結果、シトュウの蹴りが零無の腹部を打つ。

「がっ・・・・・・」

「回復する間も与えずに、全身を殴打します」

 シトュウは冷酷にそう宣言すると、超加速した自身の肉体で零無に全身を使った殴打を叩き込んだ。その打撃の数は一瞬で100、1000を超え、万の域へと達した。

「っ〜!?」

 零無は声を上げる間もなく全身を殴られ続ける。既に零無の全身の骨は砕け、内臓も潰れている。常人ならば既に死んでいるだろう。零無がまだ死んでいないのは、単純に零無が不死であるからだった。

(く・・・・そ・・・・この吾を、バカスカに殴りやがって・・・・・・だが、意識に時の力が作用していないのなら・・・・・・)

 零無はある力を行使した。すると次の瞬間、零無は透明の粒子となって忽然と姿を消した。シトュウの左拳は虚しく空を切った。

「・・・・・・転移ですか」

 シトュウは結界を解除し、その視線を自分の右斜め前方の空間に向けた。すると、そこには既に回復の力を使い元通りの姿になっていた零無がいた。

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