第1380話 デートと女子高生たちは賑やかに(2)
「そ、その私たちは正直に言えば一緒に行動したいけど・・・・・・」
「その、レイゼロールは・・・・・・」
陽華と明夜がチラリとレイゼロールに目を向ける。影人はそう言っているが、レイゼロールは自分たちも一緒に行動する事を良しとしてくれるのだろうか。当然、レイゼロールと2人の間には、様々な因縁があったからだ。
「・・・・・・ふん、別に好きにしろ。お前たちがそうしたいのならばな」
そして、陽華と明夜に視線を向けられる中、レイゼロールはつまらなさそうに、そんな答えを述べた。一見すると、いつものレイゼロールと変わらないが、その表情には、どこか、どこかほんの少しだけ、残念そうな、拗ねたような色があった。
「って事らしいぜ。どうするお前ら?」
だが、前髪バカ野郎はその事に気がつかなかった。勘がいいのならばそこは気づいてやれ。だからお前は前髪野郎なのだ。アホの前髪は、再び陽華と明夜にそう問うた。
「え、本当に!? だったら、あの・・・・・・一緒に遊びたいです!」
「わ、私も! ありがとう帰城くん、レイゼロール!」
影人にそう聞かれた陽華と明夜は、嬉しそうな顔になると影人の問いかけに是を示した。
「おうよ。さて、ならここからどうするかね。朝宮、月下。お前らどっか行きたい所とかあるか?」
売り物のサングラスを売り場に戻した影人が、2人にそう聞く。影人にそう聞かれた2人はそれぞれこう言葉を返した。
「うーん、私は今は明確に行きたい場所はないかな」
「私はちょっと服見てみたいかも。春用の私服がちょっと欲しいのよね」
「おー、女子だな。いいぜ、じゃあ最初は服屋に行くか。月下、買うやつとか、買う店とかは決まってるのか?」
「ごめんなさい。それはまだ決まってないの」
「了解だ。なら、適当に服屋回るか」
明夜の答えに頷いた影人が雑貨屋を出る。影人に続き、レイゼロール、陽華、明夜も雑貨屋を出た。
「あの・・・・・・あれから大丈夫だった? その、あなたや闇人たちの処遇については・・・・・・」
陽華が心配そうな、それでいて意を決したような顔を浮かべ、レイゼロールにそう聞いた。あの戦い以降、レイゼロールたちの処遇は神界の神々に委ねられる事になると、陽華たち光導姫は、ソレイユに聞かされていた(守護者はラルバから)。逆に言えば、それくらいしか聞かされていなかった。
と言っても、それはまだレイゼロールの処遇が正確に決まっていなかったため、仕方がない事ではあったが。
ちなみに、あの光と闇の最後の戦いが終わった後、ソレイユやラルバは全ての光導姫や守護者たちに、自分たちが今まで隠していた事を全て話した。すなわち、レイゼロールが実はソレイユとラルバの幼馴染であり、自分たちはずっとレイゼロールを救いたがっていた事。そのために、光導姫や守護者を利用していた事。
だが、ラルバが実はレイゼロールを殺そうとしていた事だけは伏せられた。これは、別にラルバの名誉を守るためだとか、そんな理由からではない。あくまで、光導姫や守護者がそれ以上混乱しないために、という理由からだ。ラルバのやろうとしていた事は許される事ではないし(それを言うのならば、ソレイユが光導姫を利用してきた事もだが)、ラルバは一生その罪を背負わなければならない。むろん、半分背負うと決めたソレイユも。
ソレイユとラルバからその事を聞かされた光導姫と守護者たちは、当然の事ながら納得しない者たちも大勢いた。激しく批判する者たちもいた。よくも騙したなと、自分たちの都合のために人間を利用して、と。
それは当たり前の糾弾だった。命を懸けて戦っていたのに、嘘をつかれていたのだから。ソレイユとラルバは、糾弾の言葉をただ受け入れた。
しかし、中にはソレイユとラルバたちに同情する者たちもいた。陽華や明夜などの一部の光導姫のように。結局、光導姫や守護者たちは、同情や批判などの気持ちを抱きながらも、その力をソレイユとラルバに返還したのだった。




