第1377話 ドキドキ!? レイゼロールとのデート(3)
「・・・・・・見た、陽華?」
「・・・・・・うん。バッチリと見たよ明夜」
一方、こちらもショッピングモール内。少し離れた場所から、たまたま影人とレイゼロールが手を繋いだ光景を見ていた月下明夜と朝宮陽華は、ポツリとそんな言葉を漏らした。
「え、え!? 確かにレイゼロールにとって帰城くんは大切な人らしいけど・・・・・・2人って、そういう関係だったの!?」
「おお落ち着いて明夜! まだ、そうと決まったわけじゃないから! で、でも・・・・・・何であの2人がこんな場所に・・・・・・」
驚愕し動揺する明夜に、クレープを持っていた陽華が、自身も動揺したような様子でそう述べる。
そう。影人と別れた陽華と明夜は、影人とレイゼロールよりも少し先に、ショッピングモールに遊びに来ていた。2人は1階にあるクレープ屋でクレープを買って、仲良くそれを食べながら歓談していたのだが(ちなみに、レース勝負の結果は引き分けになったので、賭けた内容は無効になった)、そんな時に、たまたま影人とレイゼロールの姿を見かけたのだ。
2人は衝撃に襲われながらも、抑えきれぬ好奇心から2人から目を離せず、こっそりと2人の跡をつけていた。そして、2人が手を繋いだ光景を見てしまったというわけだ。
「で、でも陽華! 手を繋いだのよ!? 年頃の男女が! だったら、普通はそういう事でしょ!? あれは100パーセント出来てるわ! 少女マンガを読みまくってる私が言うんだから、間違いないわ!」
「何が間違いないのそれ!?」
迫真の表情でそう言ってきた明夜に、思わず陽華はそうツッコんだ。そうだ。自分の幼馴染はバカだった。
「と、とにかく今の情報だけじゃ分からないよ。もっと確かな情報がないと・・・・・・」
「もっと確かな情報・・・・・・? はっ!? も、もしかしてキスとか!? マウストゥマウスの!? い、いやもしかしたらそれ以上の・・・・・・!」
「あー、もうバカ明夜! ちょっと落ち着いて!」
妄想が暴走しかけていた幼馴染に、陽華は軽いチョップを明夜の頭にお見舞いした。陽華にチョップされた明夜は「痛っ!?」と声を漏らした。
「ちょっとは頭冷めた?」
「え、ええ・・・・・・ごめん。あまりにも衝撃的な光景だったから、色々興奮しちゃってたわ・・・・・・」
陽華にそう言われた明夜は片手で軽く頭を押さえながら、すっかりいつもの様子に戻った感じでそう言った。明夜の言葉を聞いた陽華は「ん」と頷いた。
「で、でも陽華は気にならないの? 2人のあの感じ。私は正直、すっごい気になるけど・・・・・・」
「う・・・・・・い、いや、それは正直私も気になるよ。でも、2人の邪魔をするわけには・・・・・・」
少しズキリとした痛みを心に感じながら、陽華が口ごもる。陽華のその様子を見た明夜は「だったら!」と言葉を放った。
「このまま変わらずにこっそり跡をつけましょうよ! 大丈夫。この人混みよ。離れて歩いてればバレる事はないわ」
「え、ええ・・・・・・で、でもやっぱり・・・・・・」
「絶対大丈夫よ! ほら、2人を見失っちゃうから、早く行くわよ!」
そう言って、明夜は影人とレイゼロールの跡を追い始めた。先行する明夜に陽華は、
「明夜!? ああ、もう!」
そう呟くと明夜を追い始めた。こうなったら仕方がない。
こうして、陽華と明夜は影人とレイゼロールを本格的に尾行する事になった。




