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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1376/2051

第1376話 ドキドキ!? レイゼロールとのデート(2)

「レイゼロール、どこに行ってみたいとかあるか? まあ、俺金ないから食べたり飲んだりは出来ないけど」

「特にない」

「そうか・・・・・・なら、ショッピングモールにでも行ってみるか。あそこは取り敢えず、色々な店が入ってるし」

 あまり深く考えずにそう決めた影人は、レイゼロールを伴ってショッピングモールへと入った。影人たちが入ったのは食品売り場のドアからで、入った瞬間色々な食材が視界に映った。

「・・・・・・昔では考えられん光景だな。これだけの食料が大量に並んでいるというのは」

「そうだな。俺も過去から帰って来た時には、現代の便利さに改めて驚愕させられたぜ」

 レイゼロールが遠目に食品売り場を見つめながらそんな言葉を漏らす。レイゼロールの呟きに、過去での生活を思い出しながら、影人は頷いた。

「そう言えば、お前食事はどうしてるんだよ。ちゃんと食ってるのか?」

「ああ。別に食わなくても死にはしないが、体のパフォーマンスは落ちるからな。適当に食べている。最近では、フェリートが作ってくれているがな」

「へえ、フェリートが。あいつ料理上手いのか?」

「いわゆる人間のプロ並みの腕はあるだろうな。元々、奴は貴族に仕える執事だった。それから闇人になってからもずっと執事としての研鑽は続けていたからな。家事全般はもちろん、その他諸々何でも出来る」

「へえ、執事っぽいとは思ってたが、マジで執事だったんだな・・・・・・」

 他愛のない会話をしながら、影人たちは食品売り場を抜けた。すると、周囲に色々な店が現れ始めた。服屋、雑貨屋、喫茶など様々な店が。

「ええと、1階はまあ日用品売ってる店だったり、服屋だったりが多いな。2階は本屋だったりゲームセンターだったり娯楽向き。3階は飯屋が多いって感じだ。どうだ? どの階見てみたいとかあるか?」

「いや・・・・・・だが、そうだな。取り敢えず1階から順繰りに上に登って行くという形でいいだろう。能動的に行きたい場所はないからな」

「了解だ。んじゃ、1階から適当に見て行くか」

 レイゼロールの言葉に頷いた影人は、店の並ぶ沿いにのんびりと歩き始めた。レイゼロールも変わらずに影人の隣に並び歩を進める。

「・・・・・・色々な店があるな。それに、人も多い」

「まあ、ショッピングモールで休日だからな。そうだ。はぐれないに手を繋いでやろうか?」

 影人がニヤリと悪戯を思いついたような顔で、レイゼロールに右手を出す。当然、冗談だ。レイゼロールもその事は分かっているため、表情を動かす事はなかった。

「からかうな。我は子供ではない。・・・・・・だが」

 レイゼロールは一瞬、影人が浮かべたような悪戯っぽい顔を浮かべると、左手で影人の右手を握った。

「お前は我から見れば、まだまだ子供だからな。逸れないように手を握ってやろう」

「え・・・・・・? あ・・・・・・」

 まさか本当に握られるとは思っていなかった影人は、驚いたような顔を浮かべた。そして、右手に感じるレイゼロールの温もりに、影人は急に恥ずかしさを覚えた。

「だ、誰が子供だよ・・・・・・! 俺はもう17歳で、今年は18だ。ガキじゃねえよ・・・・・・!」

「ふん。それが子供だというのだ。たった17年。我からしてみれば、赤子と変わらん」

 自分から仕掛けたくせに、恥ずかしがる影人を見たレイゼロールは、気分が良さそうに小さく笑った。その笑みを見た影人は、変わらず羞恥の感情を抱きながら、こう言葉を返した。

「そ、そりゃ、お前ら神からしてみたらそうだろうがよ・・・・・・いやだから、俺が言いたいのはそういう事じゃ――」

「お前から仕掛けたのだ。なら、別にいいだろう。それとも、今更怖気付いたのか?」

 どこか煽るようなレイゼロールの言葉。それを聞いた影人は「ぐっ・・・・・・」と声を漏らし、難しい顔になる。そして、観念したようにため息を吐いた。

「はあー・・・・・・分かったよ。俺の負けだ。好きな時まで握れよ」

「ふっ、そうか。ならば、そうさせてもらおう」

 その影人の様子を見たレイゼロールは、満足げな顔になるとギュッと、影人の右手を握る左手の力を少しだけ強めた。

 ――まるで、もう大切な人を離さないとでもいうように。

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