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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1364/2051

第1364話 前髪、◯◯する(4)

(くくくっ、よし流石は俺だぜ。先生にもこの話を信じさせた。我ながら持ってるし、演技力も高い。ふっ、脚光は浴びたかねえが将来は俳優かもな)

 顔を上げた影人は、内心ほくそ笑んだ。自惚れも甚だしい。お前なんかが俳優になれるわけがないだろこのバカ前髪。俳優を志望している方や俳優に全速力で詫びろ。

「いやしかし、まさか生徒からそんな話をされて、そんな話を信じなきゃならない日が来るとはな・・・・・・間違いなく、私の教師人生最大の驚きになるだろうな。ははっ、笑えるな。今夜は酒飲も」

 不審者役にしかなれない前髪が内心でそんな事を考えているなど露知らず、紫織はどこか遠い目を浮かべ疲れ切ったように笑った。どうやら、紫織はこの話を呑んで忘れようとしているらしい。大人の処世術としては、ある意味正しいのかもしれない。

「それで先生。俺は月曜からまた普通にここに通ったらいいんですよね?」

 影人が紫織にそう質問する。まあ、これは質問というよりかは確認の意味合いの方が強いが。影人はすぐに紫織が頷くと思ったが、紫織は「あー、その事なんだが・・・・・・」と気まずそうな、難しげな顔を浮かべた。紫織のその様子に影人は疑問を抱いた。

「? どうしたんですか先生? 何か不都合な事でも?」

「取り敢えず、私の話を聞いてくれ。・・・・・・帰城、今は4月だ。つまり、新学期。新入生が入って来たり、在学生は学年が繰り上がる季節だ。お前は消える前は2年生だったから、今は3年生って事になる。・・・・・・ここまではいいな?」

「あ、そうか・・・・・・」

 紫織の説明を聞いた影人は思わずそう呟いた。そうだ。確かに今の季節ならば、影人は3年生になっていなければおかしい。気がつけば、影人は最高学年になっていた。だとするならば、今自分がいるこの2年7組も、もはや自分が所属しているクラスではないという事か。

「じゃあ、もしかして俺のクラスがまだ決まってないとか、そんな感じの問題で難しい顔をされてたんですかね? 別に俺はどこでも大丈夫ですよ」

 影人は紫織が顔色を変えた理由をそう推測すると、小さな笑みを浮かべそう言った。

「いや、その問題というよりかはだな・・・・・・」

 だが、影人の推測は外れたらしい。紫織は変わらずに気まずそうな、難しげな顔を浮かべていた。

「っ・・・・? ならどういう問題なんですか・・・・?」

 影人が戸惑うように紫織にそう聞く。すると、紫織は何かを覚悟するように大きく息を吐いた。

「ふぅー・・・・・・本当に、本当に言い難い事なんだがな・・・・・・あのな、帰城。落ち着いて聞いてくれよ」

 紫織はそう前置きすると、影人にこう告げた。


「お前は・・・・・・()()()。だから、()()()()()2()()()()()()()


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 紫織が告げた衝撃の言葉。それを聞いた影人は、そう声を漏らし固まった。

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