表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
133/2051

第133話 留学生 アイティレ・フィルガラルガ(1)

「――では、今日はここまでにしましょうか」

「「ありがとうございました!」」

 風音との週に1回の模擬戦を終えた陽華と明夜は、そう言って頭を下げた。

 風音は「いや、頭は下げなくていいから・・・・・!」とパタパタと手を振った。

 そして2人が顔を上げると、風音は変身を解除してメタモルボックスに触れる。「プラクティスルーム、変容停止」と呟くと、今いた真白な部屋はどこへやら。景色が体育館の内部へと変わった。むろん、この体育館は風洛高校の体育館ではなく、扇陣高校の第3体育館内部である。

「うう、今日もボコボコにされたわ・・・・・・・」

「連華寺さん、強すぎですよ!」

「あはは、そこは仕方ないかな」

 変身を解除して、軽い愚痴をこぼす2人に風音は笑ってみせた。3回目の模擬戦ということもあって、初めて会った時より距離感はかなり縮まっていた。だが、それは陽華と明夜の人柄によるところが大きい。風洛の名物コンビは人に好かれやすいのだ。

「うん。でも2人とも少しずつだけど動きがよくなってると思うよ」

「本当ですか? 全くそんな自覚はないんですけど・・・・・・・」

「右に同じ。――ねえ、陽華。私無性に甘い物食べたいから『しえら』に行かない? どうせこの後ひまでしょ?」

 明夜が死んだような目で親友に語りかけた。模擬戦で汗をかいた事からか、明夜の体は甘い物を欲していた。そして、明夜は前に陽華が食べてとても美味しかったという、喫茶店『しえら』のフレンチトーストを食べたいと思っていた。

「いいねいいね! 私もお腹すいたし行こ行こ! あ、よかったら連華寺さんも一緒に行きませんか? ここからちょっと遠いですけど、飲み物も食べ物もとってもおいしいんです!」 

 陽華が風音をお茶に誘う。この機にというわけではないが、陽華は出来るならもっと風音と仲良くなりたかった。

「せっかくのお誘いはとっても嬉しいんだけど・・・・・・ごめんなさい。今日はこのあと予定があって」

 風音は両手を合わせて陽華の誘いを断った。陽華の申し出は、魅力的で風音も出来ることなら行きたかったのだが、今日は予定があった。

「そうですか。残念ですけど、仕方ないですね。じゃあ、私たちはこれで失礼します。今日もありがとうございました!」

「ありがとうございました。連華寺さん」

 風音の予定があるという言葉を聞いて、陽華と風音は再びお礼の言葉を告げて、体育館を出た。2人はここに来るのに電車で来ているので、帰り道はもう覚えていた。

「ええ、お疲れさま2人とも。また来週」

 風音は元気にこちらに手を振る2人に笑顔を向けてそう言った。

「・・・・・・・・・さて私も生徒会室に行かないと」

 今日、風音はある留学生に扇陣高校を案内することになっていた。なぜ風音が、留学生に扇陣高校の案内をしなくてはならないのかと言うと、風音とその留学生の少女は顔なじみだからだ。そして彼女は生徒会室で風音を待っている。

「・・・・・・ちょっと気は進まないけど、やらなきゃね」

 風音はため息をつくと、体育館を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ