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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
1329/2051

第1329話 反転(1)

「おお、ここがあの清水寺か! テレビでは何回も見たけど、来たのは初めてだ。いやー、流石に人が多いな」

 午前11時過ぎ。清水寺を訪れた影仁は、どこかワクワクとした顔になりながら、そう言葉を呟いた。

「あれ? 影仁、東京出身なのに京都来るの初めてなの? 東京の修学旅行って大体京都なのに」

「俺の時はたまたま北海道だったんだ。だから、ここに来るのは初めてだよ」

 日奈美が影仁にそう聞くと、影仁はそう答えた。日奈美と影仁が知り合ったのは大学時代なので、夫婦、もしくはパートナーといえども、それより前の事はあまり知らない事もあったりするのだ。

「へえ、そうだったんだ。でも、北海道か。いいわよね、私あそこも行ってみたいわ。ご飯美味しいって聞くし」

「あそこはいいよ。本当に飯が美味い。俺、未だに高校の時に食った海鮮丼の味覚えてるもん」

「海鮮丼か・・・・・・いいわね。よーし、次に旅行するとしたら北海道ね。決めたわ」

 影仁の言葉を聞いた日奈美はコクリと頷きそう言うと、影人と穂乃影にこう言った。

「でも、今は京都を楽しまなくちゃ。さあ、行くわよ影人、穂乃影。有名な清水の舞台を味わうわよ」

「ん、分かった」

「うん」

 日奈美の言葉に影人と穂乃影は素直に頷く。そして、4人は清水の舞台の方へと向かった。










「うわっ、けっこう高いな・・・・・・」

 清水の舞台から外を見下ろした影人はそんな感想を漏らした。清水の舞台は影人が想定していたよりもかなり高かった。

「何でも高さが18メートルくらいあるらしいぜ。昔はここから実際に飛び降りた人もいて、亡くなった人もいるってくらいだからな」

 影人が漏らした感想に、横にいた影仁がそう説明した。

「18メートル・・・・・・それって、具体的にはどれくらい?」

「うーん、そう言われると俺も分からないな。ちょっと待てよ。・・・・・・えーと、大体ガ◯ダムと同じくらいだってさ」

「何それ。余計に分からないじゃない」

 スマホで検索をかけそう答えた影仁に、日奈美がそうツッコむ。日奈美からのツッコミを受けた影仁は、「あはは、まあそうだよね」と笑った。

「まあとにかく、かなり高いって事だ。どうしても気になるなら後で自分で調べな影人。今はこの景色を記憶に刻んだ方がいいと思うぜ」

 影仁がスマホを仕舞い、清水の舞台から見える景色に右の指を向ける。影人も釣られて再びそちらに顔を向けた。

 そこに見えるのは、夏の青い葉が生い茂る鮮やかな緑と、京都市の街並みだ。京都タワーやお寺、様々な新しさと古さが混じった独特の街並み。その街並みは素直に綺麗で美しいと思えるようなものだった。

「・・・・・・うん、そうだね。きっとそうする方がいいや。父さんもたまにはいい事言うね」

「おいおい、どういう意味だよそれは・・・・・・ったく、これでも尊敬される父親をやってるつもりなんだがな」

 ふっとした笑みを浮かべる影人に、影仁は少し不満げな顔を浮かべる。そんな影仁に対し、影人はこう言葉を述べた。

「冗談だろ。尊敬出来る父さんなんて、俺の父さんじゃないよ。どこか父親らしくないところが、父さんなんだから」

「いや何で!? え、マジでそれどういう意味だよ!?」

 今度は本気で焦ったような声で影仁がそう叫ぶ。その影仁の様子を見た日奈美と穂乃影は笑みを浮かべた。

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