第1262話 約束(4)
「これが――」
「――光臨を超えた私たちの姿」
どこか厳かな声で陽華と明夜がそう言葉を述べる。光臨を超えた力、『光輝天臨』した2人は、それぞれ赤と青を基調とした白い、どこか神々しい衣装を纏っていた。2人のそれぞれの武器、陽華の両手のガントレットは赤と白が混じったような輝きを放ち、明夜の杖は青と白が混じったような輝きを放っていた。
そして、最も変化した点。それは2人に純白の大きな翼が背から生えている事だった。
「凄い・・・・これが、誰も到達出来なかった『光臨』を越える力・・・・」
「ああ、陽華ちゃん明夜ちゃん・・・・本当に到達したんだね・・・・やっぱり、あなた達は・・・・」
その姿を見たファレルナは驚いたような顔を浮かべ、風音はどこか感極まったような顔を浮かべていた。他の者たちも、ファレルナと同じ驚いた表情、2人の事を知っている者は、風音と同じように感慨深そうな顔になっていた。
「ああ陽華、明夜・・・・・・・・やっぱり、やっぱりあなた達が・・・・」
ソレイユも感慨深そうに、感極まったように神界でそう言葉を漏らしていた。
「はっ、やっぱりやるよな。お前らならここで・・・・」
一瞬チラリと背後に視線を向けた影人は、自然と笑みを浮かべていた。この土壇場での覚醒。やはり、どこぞの主人公のようだなと影人は思った。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」
「っ、流石にこの出力の『終焉』の闇を突破するのは難しいか・・・・・!」
レイゼロールに近づいていくごとに、『終焉』の闇はその激しさを増す。影人は先ほどよりも、確実にレイゼロールに接近出来ていたが、まだ距離は離れている。
(俺の最大出力の『終焉』の闇をぶつければ、何とかレイゼロールまでの道を開く事は出来る。だが、最大出力を出せるのは1回だけ。加えて、世界はこの瞬間にもヤバい事になってる。なら、短期決戦しか道はねえ)
影人の『終焉』の力に陽華と明夜の覚醒。全てのピースが揃った事を理解した影人は、レイゼロールを救うためのプランを即座に考えた。
「朝宮、月下! 超覚醒したところ悪いが、色々考えた結果、短期決戦で行く! 俺が最大出力の『終焉』の闇でレイゼロールまでの『終焉』の闇を全部無力化する! だから、お前らはそこに最大浄化技をぶつけてくれ! 合図のタイミングはお前らに任せる!」
「うん、分かったよ帰城くん!」
「私たちの全ての思いとみんなの思いをぶつけるわ!」
影人の言葉を受けた陽華と明夜が頷く。そして、2人は周囲にいた光導姫や守護者たちの方に顔を向け、こう言った。
「光導姫、守護者の皆さん! お願いがあります! 私たちに皆さんの力を少しだけ分けてくれませんか!?」
「『光輝天臨』は全ての光の力を源とする者たちから、力を集める事が出来るんです! 変身出来なくなった人も、少しの、ほんの少しの光の力は変身媒体に宿っています。だから、私たちが合図をしたらその手を空に掲げてくれませんか!?」
「「「「「っ!?」」」」」
その言葉を聞いた光導姫や守護者たちが驚いた顔を浮かべる。まさか、そんな力があるとは誰も思わなかったのだ。




