第1257話 復活のスプリガン(3)
「よし、まだ世界は滅びてねえな。これで間に合ってなかったら、流石に笑えねからな」
影人は周りの空気を無視しながら、そんな事を呟いた。すると、影人の中に2つの声が響いた。
『え、影人!? いったい、何が起きたっていうの・・・・!?』
『おいおい、マジかよお前・・・・!?』
「っ!? ま、まさか・・・・・・・・」
ソレイユとイヴの声。そして影人には聞こえていなかったが、呆然とするラルバの声が神界に響く。影人は、自分の制服のズボンの右ポケットに入っていた、黒い宝石のついたペンデュラムを取り出し、それに視線を落とした。
「おう、マジだ。俺は生き返ったぜイヴ。このままじゃ終われねえだろ。死んでも死にきれねえってやつだ。後、ソレイユ。詳しい事情はまた後で話す。取り敢えず、俺は生き返った。そんだけだ」
前半部分はイヴにそう言って、後半部分はソレイユとの念話のチャンネルを意識しながら、影人はざっくりとそう説明した。そして、次に未だに呆然としているシェルディアにこう言葉を述べる。
「悪い嬢ちゃん。この『世界端現』の空間解除してくれるか? 俺は泣いてるあいつのところに行かなきゃならない。つーか、やっぱ嬢ちゃんすげえよ。俺はまだこのレベルの『世界端現』は出来ねえし。さすが俺の師匠だな」
「・・・・・・・・・・・・ああ、あなたなのね。本当に、あなたなのね。生き返ったのね・・・・・・・・」
「お、おう。じょ、嬢ちゃん泣くなよ。らしくねえぜ?」
影人の言葉を受けたシェルディアは、ただそう呟き両目から涙を流した。シェルディアの涙を見た影人は、少し焦ったようにそう言葉を返す。
「き、帰城くん・・・・本当に・・・・本当に、生き返ったのかい・・・・・・・・? 君は・・・・」
「だからそう言ってるだろうが香乃宮。なんやかんや色々あって生き返ったんだよ、俺は」
呆然としながら、何とか言葉を絞り出した光司に影人は少し呆れたような態度になった。気持ちは分かるが、影人からすれば自分が生き返った事を、そろそろ受け止めてほしかった。
「シャ、影くん・・・・・・・・う、うぇーん! よかったあ! 本当によかったよー!」
「あー、泣くな泣くな金髪。そういうのは全部後だ」
嬉し泣きをするソニアに、影人は軽くため息を吐く。生き返っても前髪野郎は前髪野郎。相変わらずである。
「スプリガン・・・・本当に・・・・ううっ、ありがとう。ありがとう、帰城くん。ずっと、ずっと私たちを守ってくれて・・・・! よかった、またこう言えて・・・・本当によかった・・・・!」
「ありがとう、ありがとう・・・・! あなたは、ずっと影から私たちを守ってくれてたのね、帰城くん・・・・! ううっ・・・・!」
「おい朝宮、月下。だから、そういうのは全部後にしろ! 頼むからよ・・・・」
次は陽華と明夜が泣き出した。影人はソニアと同じように2人を宥めようとするが、それは無茶というものだ。2人は泣き止まなかった。
「は、ははっ! 何とまあ、ここで奇跡が起きるとは! ああ、神よ! 最高だよ!」
「これぞ、本当の奇跡のショーでございますね・・・・いやはや、これは最高の喜劇になる予感がいたします」
「お兄さん・・・・本当に、本当によかったです・・・・・・・!」
「はははははっ! 流石スプリガンの元本だ! 面白え奴だなお前!」
「いやー、人が生き返るところ初めて見た・・・・すっげえもん見たな、僕・・・・」
「こいつはおったまげたなぁ・・・・・・・・」
「げえ・・・・何で生き返るのよ・・・・引くわ・・・・」
「うわ・・・・君、本当に何者?」
「これは・・・・・・・・」
「ワーオ、クレイジーだぜ・・・・」
「あはは! やるわねえ帰城くん! 流石私が見込んだ男よ!」
「ったく、何だよこのイカれた状況は・・・・」
「生き返ったー!?」
「淑女の嗜み国際条約第100条。真に淑女たる者は、死すら超越し蘇る・・・・あなたも真の淑女でしたか。スプリガンさん・・・・」
「うわ、キモっ・・・・」
「こんな事が・・・・」
「ほう・・・・」
「・・・・おー、凄い。私でも、完全な生き返りは多分無理」
ロゼ、クラウン、ファレルナ、冥、響斬、ゾルダート、キベリア、ゼノ、プロト、ショット、真夏、菲、メティ、メリー、ノエ、風音、葬武、シエラなど、光サイドも闇サイドも関係なく、それらの人物たちがそれぞれ反応を示した。




