第1256話 復活のスプリガン(2)
「・・・・・・帰城くん。君がスプリガンだと分かったのが、こんなタイミングで本当に残念だよ。願わくば、君の本質を描きたかった。ありがとう、帰城影人くん。君の事は決して忘れない」
最初に影人に別れの言葉を口にしたのはロゼだった。ロゼは影人を悼んだ。
「お兄さん・・・・・・どうか、安らかに。あなたの魂がどうか天の国に行きますように・・・・・・」
両手を合わせ祈るファレルナは、涙を流しながら影人の魂の安寧を願った。
「・・・・・・まあ、正直あんたの、スプリガンの事は大嫌いだったけど、お別れくらいはしてあげるわ。さようなら」
「・・・・・・今まで私たちを助けてくれて、本当にありがとう。どうか安らかに。帰城影人さん」
キベリア、風音も影人との関わりは薄かったが、そう別れの言葉を口にした。
「影くん・・・・・私、君に伝えたい事があったの・・・・・でも、もう伝えられなくなっちゃった・・・・・うっ、ひぐ・・・・・・」
ソニアは涙が止まらなかった。ソニアは泣き崩れた。
「「「・・・・・・・・」」」
後に残ったのは、陽華、明夜、光司の3人だった。3人にとってスプリガンという存在は、そして帰城影人という少年はある意味で特別だった。正確には、陽華と明夜はスプリガンが、光司にとってはスプリガンと影人両方の存在が、だが。
「帰城・・・・・くん・・・・・」
「私は・・・・・」
「っ・・・・・」
光司、陽華、明夜は影人に別れの言葉を口にしようとした。だが、あまりに思いが溢れすぎて、3人は結局何を言っていいのか分からなかった。しかし、3人の目からは止めどなく涙が溢れ始めていた。
「っ、ぅ・・・・・」
「ううっ・・・・・」
「すん・・・・・」
光司、陽華、明夜が涙を袖で拭う。失ってから初めて気づく。自分たちはかけがえの無いない人を失ってしまったのだと。もう、スプリガンは、帰城影人は戻っては来ない――
「・・・・・・・・ん? 戻って来たか・・・・」
――はずだった。死んだはずの影人は、突如としてそう言葉を呟くと、むくりとその上体を起こした。
「「「「「え・・・・・・・・?」」」」」
「「「「「っ!?」」」」」
その有り得ない光景にある者は呆然とし、ある者は驚愕した。どういうわけか、死者が生き返ったのだ。
「え、影人・・・・・・・・・・?」
「よう、嬢ちゃん。ただいま。気持ちは分かるが、なんて顔してんだよ。鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるぜ?」
信じられないといった顔を浮かべているシェルディアに、影人は笑みを浮かべそう言った。そして、ゆっくりと立ち上がった。




