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変身ヒロインを影から助ける者  作者: 大雅 酔月
121/2051

第121話 闘いとサプライズ?(4)

 よく見れば黒い線が碁盤の目のように走っていて、今いる場所は1つの大きな部屋だとわかるようになっている。そのため、床や壁、天井がちゃんとあることもわかる。そして、天井の高さや部屋の面積は明らかに先ほどいた体育館よりも大きい。

「わ、私達さっきまで体育館にいたはずだよね!? え、何でこんな場所にいるの!? というかここどこ!?」

「お、おおお落ち着きなさい陽華。こ、これはあれよ。私達どういうわけか白昼夢を見ているのよ!」

 だが、半ばパニックのようになっている陽華と明夜は当然ながら、そんなところには気がついていない。2人が分かっているのは、つい数秒前まで体育館にいたのに、今は見知らぬ白い部屋にいるということだけだ。

「まあ、最初はそうなるでありますよね」

「そうね、私も最初は本当に驚いたから」

 新品と風音は2人の様子を見て各々の言葉を述べていた。2人の様子は仕方ないといった感じで共通していた。

「2人とも、落ち着いて。いきなり場所が変わって驚いたと思うけど、これがさっき連華寺さんが言っていた、『ソレイユ様とラルバ様の奇跡』の正体だよ」

「「ど、どういうこと・・・・・・・?」」

 2人を落ち着かせるような声音で説明した光司に、陽華と明夜も少し落ち着いてそう聞き返した。

「正確には新品さんが今持っているあの箱のことなんだけど、あの箱は『メタモルボックス』って言って、人が触れて特定のワードを言うと、こんな風に場所を変化させることが出来るんだ」

 つまりはあの箱こそがソレイユとラルバの奇跡なのだ。

 どういった構造なのか、どういう風にして場所を変化させるかなどといったことは一切分からない。分かっているのは、その使い方とソレイユとラルバに与えられたということだけ。そのような意味でメタモルボックスは『ソレイユ様とラルバ様の奇跡』と言われているのだ。

「そ、そうなんだ・・・・・・・」

「さすがは神様ね・・・・・・」

 続く光司の説明を聞いた2人は、すっかり落ち着いてぽつりと感想を漏らした。

「――すみません。では、お2人とも早速ですが始めましょうか」

 不思議そうに部屋を見渡していた陽華と明夜に、風音がそう確認を取る。

 いつの間にか風音は2人から少し離れた場所に立っていた。

「っ・・・・・・はい!」

「わかったわ」

 陽華と明夜はポケットからそれぞれ、赤い宝石のついたブレスレットと、青い宝石のついたブレスレットを取り出すと、陽華は赤い宝石のついたブレスレットを右腕に装着し、明夜は青い宝石のついたブレスレットを左腕に装着した。

「「光よ! 私たちに力を!!」」

 ブレスレットのついた腕を上に掲げ、2人はそう言った。

 すると眩い光が2人を包み、暖色系の色を基調とした衣装の両腕にガントレットを装備した光導姫と、寒色系の色を基調とした衣装の杖のようなものを持った光導姫へと2人の姿が変化した。

「なるほど、それがお2人の光導姫としての姿・・・・・・・・・では、次は私の番ですね」

 風音は制服の内ポケットから札のようなものを取り出した。

 表面には墨の字で何かが書かれている。そしてしっかりとした紙質なのか、あまりペラペラとはしていない。

 風音はその札のようなものを右の人差し指と中指で挟むと、言葉を唱えた。

「――我、願い奉る者。光の女神の奇跡を以て、我に浄化の力を与えたまえ」

 風音の言葉を受け、札のようなものが眩い光を放つ。そして、陽華や明夜と同じく、そこには巫女装束に身を包んだ光導姫としての風音の姿があった。

「名乗ります。光導姫『巫女』連華寺風音――」

「こちらも名乗ります。光導姫『レッドシャイン』朝宮陽華――」

「同じく光導姫『ブルーシャイン』月下明夜――」

 3人が臨戦態勢を取る。複雑な顔をしながら新品と一緒に離れた場所から、その様子を見ている光司の前で、いよいよ光導姫どうしの闘いが始まろうとしていた。

「いざ尋常に」

 風音が前口上を言葉に放つ。そして次の言葉は3人の声がきれいに重なった。

「「「勝負ッ!」」」

  

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