6
「傷の手当ての方はもう宜しいのですか?」
入室と同時に女官長から声が掛かる。普段は一本調子な喋り方ばかりする女官長だが、この質問にははっきりとした労りが込められていた。
「ああ。問題無い」
ユーリは腕の治療の為に脱いだ血で汚れた緑の上着を左手に抱えたまま、簡潔に答える。久し振りに訪れたレンディットの私室は深夜だというのに未だ多くの明かりが灯されていた。
女官長は怪我人という事で椅子を勧めてきたが、大した事は無いのでユーリは軽く手を挙げて断った。痛みと出血の割には奇跡的に重要な神経や筋を避けて通っており、見た目より酷くはないのだ。傷の深さ故に痕が残るだろうと医師は言っていたが、所詮は些末事だ。
女官長は気遣いの色を顔に出したがそれでも強くは勧めず、居住まいを改めた。
「この度は私が至らぬばかりにご迷惑をお掛けしました。レンディット様を救って頂き、誠に感謝致します」
女官長はレンディットを庇護する立場であるのに何も出来なかった己を悔やみ、責めている。けれどそれを言うならユーリとて似たようなものだ。
「私は何もしていない。結局のところ、レンディットを助けたのは此奴や他の精霊達だ」
右腕の包帯の周辺に目を遣ってユーリは素っ気なく言った。気配だけで自らの存在を主張する闇精はユーリの許に戻って来てからずっと怪我の付近に纏わり付いている。心配してくれる気持ちは有難いが、大丈夫だと言うのに聞く耳を持とうとしないのは困りものである。
流石に鬱陶しくなってきてユーリは溜め息をついた。それを見た女官長が少しだけ表情を和らげ、だがすぐにいつものきりりとした無表情を装い直して重苦しく口を開く。
「…レンディット様はご自分の意思で部屋を抜け出し、それと知りながら彼方の思惑に乗ったそうです。先程お話を伺ったところ、そうおっしゃられましたから」
「何故?」
「全て、ご存知だったようですね。誰がご自分を狙っているのか。その理由も、何もかもを精霊から聞き知っていたそうです。それ故に、お一人で片を付けようと思われたのでしょう」
いつもは厚い氷に閉ざされているかのように奥底の読めない青の瞳が憂悶を浮かべる。女官長は重い吐息を零すようにして言葉を続けた。
「あの方は、ご自分の存在に負い目を感じていらっしゃるところがあります。だからなのでしょうね。仮令殺されるような事になったとしても自分一人がいなくなって終わるならそれでいいと、そう思ってラグナー殿と話をなさろうとしたのだそうです。私は、何も言えませんでした。突き詰めてしまえば、レンディット様をそのようにに育てたのは…私ですからね」
「……どういう意味だ?」
女官長の口振りの酷く思い詰めた雰囲気にユーリは眉を顰めた。
「言葉通りの意味です。…あの惨状を見ればあの場で何があったのか、大体の予想は付きます。ユーリ様はご覧になられたのでしょう?この度の一件に関わる者達ほとんどの命を奪った、あの力を――」
「精霊達がレンディットを守ろうとしたんだろう?」
一度ならず二度までも精霊の力に助けられたユーリは己の不甲斐無さが骨身に応える。しかし女官長は顔を曇らせ小さく首を振った。女官長はレンディットのいる寝室の方をちらりと見て、意を決したような真剣な眼差しでユーリを正面に見据える。
「――いいえ、違います。正確に言うならばあれは精霊達の意志ではありません。あれは……レンディット様がやったのです。精霊を己が支配下に置き、その力を自在に操る――それがあの方が持つ稀有な能力であり、私があの方を巫女の座に据えた本当の理由でもあります」
発された言葉を一言一句逃さずに聞き取ったというのに、ユーリには女官長が何を言っているのかがよく解らなかった。そんな反応が返ってくる事を予期していたのだろうか。当惑するユーリに女官長は更に表情を引き締めてその先を継いだ。
「レンディット様は精霊を支配し、従える事が出来る。私も初めはとても信じられませんでした。ですがこれは事実です。……あの方の養父母――私の姉夫婦が何故亡くなったのかは、もう聞いていますか?」
「夜盗に襲われて殺された、と聞いている」
「その通りです。姉達はある夜、家に押し入ってきた盗賊に殺された。そう、二人から聞いています。あの子達は居間の方から聞こえた物音で目を覚まし、そして、両親が賊に殺されるのを目の当たりにした、と。――あの子達は隠れていて助かったわけではない。賊と鉢合わせしたのですよ。それなのに二人共、身体には掠り傷一つ無く助かった。…何故だと思いますか?」
女官長の言わんとしている事は察せられた。話の流れから自ずと問いの答えは浮かんだが、ユーリは返答はしなかった。目で話の続きを促すと、女官長は語る事の辛苦を誤魔化すかのように微笑んだ。
「……レンディット様が、賊を殺したからです。精霊を操るその力で。ネルの話によると、レンディット様が悲鳴を上げるのに合わせたかのように、暖炉から凄まじい勢いの炎が吹き上がったそうです。炎はまるで空腹を抱えた獣のように瞬く間に賊達を呑み込み、一人残らず焼き殺してしまったとか」
微かな吐息に次いで女官長は記憶を辿るように瞳を閉じた。
「――…姉夫婦が亡くなったという一報を聞き、私はすぐにあの子達を引き取りました。表向きだけだったのでしょうが次第に元気を取り戻していったネルとは違い、レンディット様はいつまで経っても塞ぎ込んでおられるご様子でした。……あの方には、自覚があったのですよ。ご自分が何をしたのか。幼いながらにあの方は全てご理解しておられたのです。だから塞ぎ込んでいらっしゃった」
話を続ける女官長の声は震えていた。それが姉を亡くした悲しみなのか、賊に対する怒りによるものなのかは判らないが、日頃は努めて私情を殺しているこのセレナという女性の本質が其処に見えていた。セレナは情の無い冷たい人間などでは決してなく、本当は厳しくも心根の優しい女性なのだろう。
「酷い事をしてしまった、と。そう言っておられました。優しい精霊に無理矢理酷い事をさせてしまったと…。そうして初めて、私はあの方の持つ力を知りました。その時は到底信じられなくて、ならば私の前でやって見せなさいなどと言ってしまいましたが……今思い出してもぞっとします。レンディット様の支配下にある精霊の、あの意思の無い傀儡のような表情。花瓶に生けてあった花束が水の刃でずたずたに切り刻まれる様。唯一の救いは、レンディット様がそれをやって見せるのを酷く嫌がる素振りを見せた事でしょうね。あの方はご自身のその力を心から疎んじている。無闇やたらにひけらかすような事はなさらない。――それでも、私にはあの方をそのまま市井に置いておく事は出来ませんでした」
「…それで巫女に据えたのか?」
「ええ。支配の力を除いても、あの方の精霊との親和性や感応力は歴代の巫女様方と比較して随一といってもいい程のものでしたから。以前にお話したようにその点で悪用される恐れを案じたというのも嘘ではありません。ですが、それ以上に恐ろしい力がレンディット様にはある。だから私はこの精霊宮という世間から隔絶された籠の内にあの方を閉じ込めたのです。あの方がご自身の力を厭うている以上、一番怖いのは発作的な感情の爆発です。故に感情の自制を私はレンディット様に厳しく指導し、ネルやファルガ様などの極一部の者以外には心を傾けないよう重ねて言い聞かせて参りました。関わる人間が少なければ少ない程、あの方が強い感情を抱く機会も少なくなる筈でしょうから。それがあの方にとってれだけ酷い仕打ちであるかを理解した上で…」
強い責任感と自己嫌悪、そしてレンディットへの罪悪感。女官長は目頭を押さえてから、ユーリへ向かって深々と頭を下げた。
「――巫女守解任の件、誠に申し訳ありませんでした。あのような物言いをしましたが、実際にはユーリ様に落ち度はございません。レンディット様のお心がこれ以上貴女に傾く事が無いようにと憂慮の末の、私の一存です。手酷い言い方をした事、どうかお許し下さい」
真摯な想いの籠もった陳謝だった。よもや女官長からこのような深謝を受けるとは思わず、ユーリは戸惑いを隠せなかった。
「いや、私が至らなかったのは事実だ。その点に謝罪は必要無い」
元より馘首の理由に怒りを覚えていたわけではない。仮にそれが取り繕った理由であったのだとしても、寧ろ納得していたのだ。ユーリは女官長へ頭を上げてくれるよう言う。再度女官長が謝意を表しようとした時、寝室の扉が開く音がした。
「もう手当てはいいのか?ならちょっと顔見せてやってくれよ。取り敢えずは何とか落ち着いたみたいだけど、あいつ、あんたの事凄ぇ心配してるからさ」
寝室から出て来たネルはユーリの姿を認め、困ったように片手で自分の髪の毛を掻き混ぜた。
視線で伺いを立てると女官長は首肯した。許可が下りたのでユーリは寝室の扉へ向かう。
「っと、それ貸せよ。今のあいつにはまだそういうの、見せない方がいいだろうからな」
擦れ違い様にネルがユーリの持つ血の付いた上着を指差し、手を差し出してくる。レンディットに関しては取り扱いの第一人者ともいえる彼女がそう言うのなら、その方がいいのだろう。ユーリはネルに上着を手渡して寝室へ続く扉に手を掛けた。
「――レン?」
寝室は私室の方と比べて光源の数が乏しく、部屋の中は茫漠とした薄闇に包まれている。明かりに馴染んだ視界には暗過ぎるように感じたが、目が暗さに慣れると抑えられた灯火の穏やかさが心地良くも思えた。
手前の卓にある燭台とは別の、部屋の奥から来る仄かな光を辿ると抽斗の上に置かれた小さな洋燈が目に入る。その温かな光と天蓋が作る優しい影に隠れるようにして、レンディットが寝台の端に腰掛けていた。
レンディットが何か言おうとして躊躇い、口を噤む。大分落ち着いたらしい様子にユーリは自分でも気付かない内に極微かな笑みを浮かべ、静かに声を掛けた。
「大丈夫か?」
レンディットはユーリを見上げて小さく頷いた。
「……ユーリは、怪我の方は…」
「見ての通り何とも無い」
傍まで行き、目線を合わせるように屈んで答える。レンディットはユーリの腕に巻かれた包帯を見たものの返ってきた答えに安堵したらしく、そっと息をついた。
「…?その顔はどうした?」
よく見ると、レンディットの顔は左の頬だけが殴られたかのように赤くなっていた。離れにいた時にはそんな事は無かった筈だと怪訝に思って尋ねる。するとレンディットは気不味げに微笑んで答えた。
「勝手な真似してんじゃねえ、って…怒られました」
ネルらしい心配の仕方だった。怒鳴りながらレンディットの頬を叩くネルが容易に想像出来て、ユーリは苦笑する。必死になって寮に駆け込んで来たネルの様子を思い出せば無理も無い。あれだけ心配していたのだ。彼女の性格を鑑みれば拳の一つや二つ飛ぶ事だろう。ネルの方から説教が済んでいるのならユーリが苦言を呈する必要は無い。
近距離で交わる視線の間に沈黙が降り積もる。少しして、先に言葉を発したのはレンディットの方だった。
「…ごめんなさい。あなたにまで、迷惑を掛けて…」
ユーリに怪我を負わせたとして悔やんでいるのだろう。膝の上で揃えられた両手は拳の形に強く握り締められていた。
ユーリは少しばかり悩んだ後、震えるレンディットの手に自分の右手を重ねた。
「いや、謝るのは此方の方だ。…役に立たなくて、悪かった」
レンディットを守れなかったばかりか逆に助けられ、要らぬ苦痛を味あわせた。ネルの制止を無視して飛び出した挙げ句がこの有様では何の申し開きも出来ない。
思い返すと我ながら大した無能振りだとユーリは心中で己に呆れ果てたが、レンディットは大きく首を左右に振ってユーリの謝罪を否定した。
「ネルから聞きました。話を聞いて、捜しに来てくれたって。……もう、関係無いのに。それでも心配してくれたのに、そんな怪我までさせて…」
「私は自分のやりたいようにしただけだ。レンが気にする事は無い」
けれどもレンディットは「ごめんなさい」と、泣きそうな声で言った。零すまいとして瞳に湛えられた涙がユーリの心を抉るように締め付ける。
ユーリがどれだけ違うと言っても、きっとレンディットは納得などしないのだろう。レンディットの内面は儚げな見た目に反して脆くはない。そうして激しい自責の念に駆られるのもまた、その芯の強さ故なのだろう。
「謝るな」
低い声で言って、ユーリは左手をレンディットの頬へと伸ばす。
「私は――私が、レンを守りたかった。それだけだ。だからお前が謝るな」
言葉にしてしまえば、たったそれだけのもの。単なる仕事上の役目だと割り切って接していた筈なのに、いつからこんな風に思うようになったのだろうか。いや、切っ掛けなどはどうでもいい。大切なのは、今胸に抱いているこの気持ちそのものなのだから。
守りたい、と。心から思った。思うようになった。脆弱に見えてとても強い、このレンディットという少年を――その心を守ってやりたい。格別強固な信念があるわけでもない自分がこのように思うなど烏滸がましく、強く在ろうとするレンディットには侮辱にも等しい事なのかも知れない。だが、この気持ちは紛れも無くユーリの本心だった。
少ない言葉数に自らの想いの全てを込めて、ユーリはレンディットの頬に触れた。レンディットは惚けたようにユーリを見つめ、数度の瞬きの後に表情を〝笑み〟の形に整える。定型通りに微笑を刻んだその唇が微かに動いた一瞬、ユーリは発せられようとしたレンディットの言葉を遮り一語、
「〝笑う〟な」
レンディットが虚を衝かれたようにぽかんとしてユーリの目を見る。次の瞬間微笑んでいたレンディットの表情が崩れ、瞬きの内に泣き出す寸前へと変わる。それでもまだ堪えようと唇を引き結んだその頬を大粒の雫が一つ、ぽつり、と伝い落ちていった。
「――泣いていい」
囁いてユーリはレンディットが零した涙の一雫を指で拭い取った。途端、これまで抑えていた感情が一斉に動き出したかの如く、レンディットの瞳からは次から次へと涙が溢れた。
声を上げて泣き出したレンディットをユーリは怪我をした右腕で抱き寄せた。嗚咽に震える細い肩をしっかりと抱き締め、もう一方の腕で背を擦る。心の奥底に閉じ込めた想いを、彼が全て吐き出してしまえるように。
レンディットはユーリに取り縋って幼い子供のように泣いた。どのくらいの時間そうしていたのかは判らない。暫くして漸く泣き止んだレンディットは巫女衣の袖で乱雑に目許を拭い、最後に残った感情を吐き出すようにして深く息をついた。
「……ごめんなさい。………有難う」
「謝るなと言った筈だ。礼を言われるような覚えも無い」
俯くレンディットを抱いたまま、ユーリは平素と同じくすげなく返す。ユーリの返事にレンディットは顔を上げて仄かな笑顔を見せた。作り物ではない、柔らかく綺麗な微笑みだった。
そうして、もう平気だと言うようにレンディットはユーリから身体を離す。まだ少し残った涙の跡にユーリが触れるとレンディットは少々決まり悪げに笑んだ。大泣きして幾分赤くなってはいるが穏やかな光の戻ったレンディットの瞳を覗き込んで、ユーリも少し微笑む。
ユーリはレンディットの頬をそっと撫で、額を寄せるように顔を近付ける。
「――よろしいでしょうか?」
割り込んで来たのは言わずもがな、女官長の抑揚に乏しい冷厳な一声だった。どうやらもういつもの調子を取り戻しているらしく万が一にもユーリが不埒な行いに出ないかどうか、此方の動向を見張っていたようだ。用心深いというか、嫌気が差す程に過保護な事である。
踵の低い靴音を規則正しく鳴らして足早にユーリ達の許まで来た女官長は、こほん、と態とらしい咳払いを一つした。何かしら感じ取ったのか、先程まで首を傾げていたレンディットが叱られる準備をして僅かに身を縮める。ユーリはユーリでそろそろ部屋を追い出されるのを覚悟したのだが、女官長は予想に反して特に叱責はしなかった。
女官長は後ろ手に隠し持っていた物を身体の前で両手に持ち直す。
「ユーリ様にお返しする物があるのを忘れていました。どうぞ、レンディット様のお手からお渡し下さいますよう」
言葉と共に差し出されたのは、精霊を象った意匠が施された一振りの剣。
「今回の件で遅蒔きながら思い知りました。レンディット様には一刻も早く守となる方が必要だと。近くで監視して下さる方がおられれば、二度とこのような無茶はなさらないでしょうからね。それには様々な事情を考慮した上で新たな巫女守を付けるよりも、全てをご存知である元の方にお願いした方が早いでしょう」
急な提案に戸惑うレンディットへと女官長は手にした宝剣を半ば押し付けるように手渡し、姿勢正しく丁寧な一礼をして踵を返した。
「…尤も、お決めになるのはレンディット様ですが。私には本来巫女守の任命権はございませんので」
今更何を言うのかと思わないでもないが、指摘しようにも女官長の背には異論は一切受け付けないという気迫があった。そんな中、退室する直前につと足を止めた女官長はちらりとユーリを一瞥した。だが彼女は無言のまますぐに視線を外し、扉を開けて寝室から出て行った。扉を閉める音が万事如才無い女官長にしてはやけに荒々しく、ユーリには女官長が態度で釘を刺していったようにしか思えなかった。
溜め息をつくユーリを余所に、レンディットは渡された剣を抱えて途方に暮れた顔をしている。多分、去り際の女官長の言葉が引っ掛かっているのだろう。もしくはレンディットの事だから、これ以上は迷惑を掛けられないとでも思っているのか。
ユーリは膝の上の剣に目を遣って口籠もるレンディットを見つめ、跪いて礼の姿勢を取る。
「今度こそ、守らせてもらえるか?」
「……いいの、ですか…?」
「現巫女守のいない今、次の巫女守の任命には巫女の意思が尊重される筈ですが?」
躊躇いの表情を見てユーリは多少戯けたように言ってみせる。レンディットは暫し自問する風に剣に触れていた。
やがて剣を持ったレンディットの両腕が恐る恐るに上げられ、ゆっくりとユーリへ差し出される。
ユーリは捧げ持つような形で剣を受け取り、かつての任命式の時のようにレンディットに向かって頭を垂れた。
「謹んで拝命致します。…この命、レンの為に――」
〝巫女〟ではなく〝貴方〟を守るのだという意志を込めた誓い。再びユーリの手に戻った剣の重みは、其処に守るべき存在があるという事を強く意識させる。
――自分が預けられたものは剣ではなく、レンディットの命そのものなのだ。
手にした剣の重みは、守るべき命の重み。その深意に向き合う事の無かった、かつて聞いた師の言葉を思い起こす。ユーリはその事を深く心に刻み、噛み締めるように目を閉じた。




