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「掏摸(スリ)」 中村文則

中村文則さんは初読みでしたが、この方の文章、とても好みでした。

淡々と冷静な文章なのに、突如ナイフが飛び出してくる感じというか、クールななかに、ぐっと胸を掴まれるような心の琴線に触れてくる文章。

かっこいいです。


物語はスリを生業として生きる男が主人公の話。

スリという反社会的な男の生き方は、なにやら世界を違う方向から見ている感じがしました。

そして、他に登場してくる人物も反社会的な、普通の生活からはみ出してしまったような存在ばかり。

けれどもこの方の文章は、悲観的になりすぎず、登場人物との距離感がちょうどいいと感じさせられます。

孤独に生きてきた主人公ですが、ある出会いが少し彼に変化をもたらしたような気がしました。

それはスーパーで万引きをする母子。

その子供との出会いと交流が、なんだか切なくて、彼が少しでも生きやすくなったらいいのにと思いました。

最大の見所は、主人公と巨悪である木崎との対面ですが、この木崎の台詞もなんか胸にグサグサきました。

すべてを手に入れたものが求めた快楽は、とてつもなく非情で残酷。

そんな木崎の思惑のとおりに主人公はなったのかどうか。

読み終えたときの余韻がなんとも言えなかった作品でした。

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