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婚約破棄された武神令嬢は小説家を夢見る  作者: 間咲正樹


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102/102

最終話:『婚約破棄された武神令嬢は小説家を夢見る』ですわ!

「ニャッポリート」

「「「――!」」」


 その時でした。

 【羽猫の花嫁衣装(キャットエンジェル)】が解除され、わたくしの服はいつもの深紅のドレスに戻りました。

 そしてニャッポは定位置である、わたくしの左肩にちょこんと乗ったのですわ。


「フフ、ありがとうございますわ、ニャッポ。この戦いに勝てたのは、あなたのお陰ですわ」

「ニャッポリート」


 ニャッポはわたくしの頬を、ペロンと舐めてくださいました。

 ウフフ、やっぱりニャッポは可愛いですわぁ。


「ヴィク、ラースくん、かっこよかったですわよぉ」


 わたくしとラース先生に、お母様が労いの言葉を掛けてくださいました。

 お母様……。


「ラース先生」

「はい」


 わたくしはラース先生に目配せし、二人でお父様とお母様――そしてヴェンデルお兄様の前に立ちます。


「――わたくしは、ラース先生と結婚したく存じますわ」

「あらぁ、それはよかったですわぁ。おめでとう、ヴィク」

「お、お母様――!」


 お母様はわたくしを、ギュッと抱きしめてくださいました。


「ありがとうございますわ、お母様……」


 わたくしはお母様を、そっと抱きしめ返します。


「――お父さん、僕を、ヴィクトリアさんと結婚させてください!」


 今度はラース先生が、お父様に深く頭を下げられました。

 ゴクリ……!

 果たしてお父様の返事、は……!?


「――フン、顔を上げやがれ、ラース」

「は、はい……!」


 ラース先生が緊張した面持ちで、お父様のお顔をじっと見つめます。

 お父様――!


「……ヴィクのことを泣かせたら、俺は必ずお前をブッ殺すからな」

「――! はい! 絶対に、ヴィクトリアさんを幸せにします!」

「……フン、なら好きにしろ」


 マア!!

 遂にあのお父様が、デレましたわあああああああ!!!!


「ヴェンデルお兄様、どうか天国で、わたくしとラース先生の結婚式を見守っていてくださいましね」


 お父様に支えられているヴェンデルお兄様にそう告げると、ヴェンデルお兄様は少しだけ微笑まれたような気がしました。

 ――さて、わたくしとラース先生の結婚が決まったことを、後でこの場にいないキモ兄が聞いたら発狂しそうですが、まあ、それはわたくしの知ったことではないですわ。


「おめでとうございますにゃ! ヴィクトリア隊長! ラースおにいちゃん!」


 いつの間にかボニャルくんも猫化が解除されておりました。


「ウフフ、ありがとうございますわ、ボニャルくん。是非わたくしとラース先生の結婚式では、リングボーイを担当してもらいたいですわ」

「任せてほしいにゃ!」


 うんうん、ボニャルくんでしたら、間違いありませんわね。


「ヴィ、ヴィクトリア隊長……」

「……レベッカさん」


 最後にわたくしは、号泣しているレベッカさんの前に立ちました。


「お、おおおおおお、おめでどうございまずうううううううううう」


 声を震わせながら、それでも必死にわたくしを祝うレベッカさんを見て、わたくしは確信しました――。

 ――レベッカさんは、わたくしのことを。


「ありがとうございますわ、レベッカさん。――これからもわたくしの右腕は、レベッカさんだけですわ。どうか今後とも、よろしくお願いいたしますわ」

「ヴィ、ヴィクトリア隊長……!」


 わたくしが右手を差し出すと、レベッカさんのお顔がぱぁっと華やぎました。


「はいッッ!!!! ヴィクトリア隊長の右腕は、生涯私だた一人ですからッッッ!!!!!!」


 うるさッ!?

 最後の最後まで、レベッカさんの声はドチャクソデカかったですわぁ~~~~。

 ……あ、そうですわ。


「ラース先生、実はわたくし、ずっと思っていたことがあるのですわ」


 わたくしは愛しのラース先生の前に立ち、ラース先生のお顔をじっと見つめます。


「はい、何でしょうか?」


 ラース先生はメガネをクイと上げながら、天使のような笑顔を向けてくださいます。

 嗚呼、ラース先生のこのメガネを上げる仕草、一生眺めていたいですわぁ……。


「わたくし、ラース先生と出逢ってから今日までのことを、いつか小説として書いてみたいのです! その際はまた、批評してくださいますか?」

「はい、もちろんです! ちなみにもうタイトルは決まってるんですか?」

「ええ――それはもちろん、『婚約破棄された武神令嬢は小説家を夢見る』ですわ!」

「ニャッポリート」



 完

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― 新着の感想 ―
素晴らしいお話でした☆彡 >――これからもわたくしの右腕は、レベッカさんだけですわ。 ここがとても好きです (*´艸`*) ドチャクソでかい声かもだけど、レベッカさんと末永くお幸せに……(ソッチカ…
うおおおおお! なんとすばらしきタイトル回収!! そうですね、ヴィクトリアさんの夢(ほんとうのたたかい)は、まだ始まったばっかり。 きっと、よき小説家になれますよ! そして、ラース先生とお幸せに!! …
完結おめでとうございます! ハッピーエンドでよかった〜です。
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