表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/121

第102話 ふたりで長野へ

 夏休みも、毎朝藤堂君と一緒に登校して、部活に出て、昼は別に食べて、帰りは一緒に帰っていた。

 相変わらず、夏休みでも藤堂君は人気者で、朝も昼も女生徒から声を掛けられていた。が、無表情のまま藤堂君は一言返すだけ。それでも、ちょっと話せただけで喜ぶ1年生もいたりして、驚きだった。


 1年生は私にも挨拶をする。あこがれのカップルになっているらしい。3年はもう部活に出ていない人がほとんどで、藤堂君にも言い寄ってこないからほっとしている。

 同学年はというと、こそこそとまだ「あの二人別れたんじゃないの?」と話している。しつこいなあ。別れてたら一緒に登校なんてしてこないのになあ。


 家では、私は藤堂家にどんどんなじんでいっている。夜は家族で楽しく夕飯を食べ、たまに守君に「一緒にお笑い見ようよ」と誘われ、リビングでテレビを観たりする。

 藤堂君もその時には、私に付き合ってリビングにいてくれる。だが、声をあげて笑うことはあまりない。だけど、たまにブッとふきだしていることがある。そんな藤堂君の笑った顔を見逃さないように、私はテレビ画面と藤堂君を交互に見て、けっこう忙しい。


 お母さんから私は、お料理を習い始めた。たまに弓道部が長引く時は、早目に家に一人で帰ってきて、夕飯の支度の手伝いもした。

 例の男が警察に捕まったので、ちょっとは安心だが、それでも藤堂家の周りは人通りがないので、駅まで守君がよく迎えに来てくれる。


 守君の入っている部は5時には終わるので、私が江の島に着くころには守君は家に帰っていた。メールで守君に着いたよと伝えると、守君はすっとんでメープルと一緒に迎えに来てくれるのだ。なんとも可愛い弟ができたみたいで、私は嬉しかった。


 そんな平和な日々が続く中、あっという間に長野に行く日がやってきた。その日の朝、私と藤堂君は7時前には玄関にいた。

「ちゃんと、司、お役にたてるよう頑張るんだぞ」

 藤堂君はお父さんからそう言われ、はいとうなづいた。

「司、真佐江ちゃんによろしくね」


「うん、わかってる」

 藤堂君はお母さんに対しては、そんなに硬い言葉づかいはしない。

「穂乃香ちゃん、ご両親にうんと甘えてきちゃいなさいね」

「はい。ありがとうございます」

 私はお母さんにお礼を言って、藤堂君と一緒に家を出た。

 

 守君も寝ぼけた顔で玄関から見送ってくれた。

「お土産、期待してるからな、穂乃香」

「ワフワフ」

 そう言って手を振る守君と、その横で尻尾を振っているメープルに私は手を振りかえした。


「あいつ、すっかり穂乃香になついちゃったんだな」

「守君?」

「そう…」

「可愛い弟ができたみたいで、嬉しいんだ、私も」

「ふうん」

 あれ?藤堂君、もしかしてやきもち妬いてる?顔、ちょっとふてくされてる。その顔も可愛いかも。


「お母さんに悪かったな。朝早くに起きて、朝ご飯作ってもらっちゃって」

「…大丈夫だよ。あの人、いっつもパワフルだから」

「すごいなあ。なんでいつも、パワフルに生きられるのかな。たまに面倒くさくなったり、嫌になったり、落ち込んでみたりしないのかなあ」

「母さんも落ち込む時あるよ。ストレス抱える時も」

「そうなの?」


「でもそういう時には、逆にパワフルに動き出すんだ」

「え?」

「掃除を徹底的にしたり、料理をやたら時間かけて作ってみたり」

「ど、どうしてそんなことができるの?」


「そういうことに没頭すると、嫌なこと全部忘れるんだって」

「あ、そうか。それがストレス解消法なのね」

「…変わってるよね」

「ううん。そういうのってやっぱり、すごいよ。私なんて落ち混んだら、ぼ~~っとして。立ち直るまで暗くしているだけだもん」


「それもいいんじゃないかな」

「え?」

 藤堂君は優しく私を見て、

「落ち込みたい時には落ち込む。泣きたい時には泣く。そんな素直な生き方ができる穂乃香が俺は羨ましいけどな」

と静かに続けた。


「……」

 そうか。藤堂君は、お父さんからいつも平常心って言われて、泣いたりすることもきっと、できなかったんだよね。

「司君」

「ん?」


「もし、他の人の前では、素を出せなくっても、私の前ではいいよ?」

「…素?」

「素っていうか、あの…。たとえば泣きたい時には泣いてみたり…とか」

「穂乃香の前で?そんなのかっこ悪いよ?」


「ううん、全然!大丈夫だから」

「そう?呆れたりしない?」

「うん!しないよ」

「…」

 藤堂君は黙って私をじっと見た。


 変なこと言っちゃったかな。私…。

「ありがとう」

「え?」

「穂乃香を好きになってよかったって、今、かみしめてたところ」

「…え?!」

 藤堂君は顔を赤くして前を向き、また駅に向かって歩き出した。

 か~~~。ああ、私の顔もきっと赤い。


 道中は楽しかった。一緒に旅をできる嬉しさで、私はずっと胸を躍らせていた。

 駅弁も買って、車内で向かい合わせの席に座りお弁当を広げた。それだけでも、なんだかすごく幸せだった。


 藤堂君も嬉しそうだった。時々耳を赤くさせて照れたり、私をからかって笑ったり、いつもよりもずっと笑っていて、口数も多かった。

 だから私たちは、そんな二人の時間がずっと楽しく続くものだと思っていた。


 駅に着くと、父が車で迎えに来てくれていた。

「穂乃香!」

「お父さん」

 なんだか、久しぶりだと父に会うのも感動しちゃうもんだな。


「やあ、司君。遠いところを悪かったね。穂乃香の付き添いを頼んじゃって」

「え?いいえ」

 付き添い?って?

「さて、ちょっと今日は忙しいんだ。ゆっくりと話していたいんだが、さっさとペンションに向かうよ」

「うん」


 父はそう言うと車に私たちを乗せ、すぐに発進させた。

「今日は午前中に二組、帰って行ったんだ。それから、午後、これから二組、やってくる」

「忙しそうですね、僕も何か手伝います」

 藤堂君がそう言うと、父はバックミラーで藤堂君の顔を見て、

「助かるよ。実は、バイトの子が夏風邪で来れなくなっちゃって、大変だったんだ」

と苦笑いをしながら、そう言った。


 そうなんだ。あれ?っていうことは…。

「もちろん、穂乃香も手伝ってくれるよな?お母さんの方の手伝いをしてもらいたいんだが」

「うん、も、もちろん」

「あ~~。助かった。急いで他の子を当たってみたんだけどね、来週にならないと来れないらしくって。あと4日、頑張らないとならないんだよ」


 え?

「悪いね、司君。せっかく長野まで来てくれたのに」

「いいえ、僕は手伝いをするつもりで来たので、大丈夫です」

「そうか。そう言ってくれると本当に助かるよ」

 え~~~!


 確かにそんなことを藤堂君のご両親も言ってたけど、そんなの冗談だと思ってた。父や母がいるから、2人でいちゃいちゃはできないだろうけど、だけど、いろいろと観光したり、自然と触れ合える時間もあるのかなあって、そう思ってたんだけど!


 今週いっぱい、もしかすると、こき使われちゃうの?私たち。それに、2人きりになる時間もなし?

 ま、まさかね。

 夜くらいは…。それに昼間だってちょっとは…。


 私はあわ~~い期待を持ちながら、外を見ていた。景色はどんどんと変わり、車は山道を登って行った。木々の青、遠くには山の峰、空は青く、雲が悠然とたなびいている。

 藤堂君も外を見て、何やら感動しているようだ。小声で、

「すげ…」

とか、

「わあ…」

と言っているのが聞こえてくる。


 しばらく車を走らせていると、

「ここだよ」

と父が言って、車を止めた。

 深い緑に囲まれた中に、ログハウスが立っていた。

「素敵!」

 私はすぐに、車から飛び出した。


「ワン!」

 ペンションの方から犬が走ってやってきた。

「犬?犬飼ってるの?」

「ああ、そうだ。言ってなかったっけな?ラブラドールだよ。まだ、子供だけどな」

「名前は?」

「ラブだよ。母さんが付けた」


「…まさか、ラブラドールだから、ラブ?」

「うん、そうだろうなあ」

 なんて単純。って、あれ?なんで私の前を横切って藤堂君のほうに行っちゃったの?

「ラブ?あはは、可愛いなあ、お前」

 藤堂君はそう言って、ラブを思い切り撫でている。ラブは藤堂君の顔をベロベロと舐め、尻尾を思い切り振っている。


 もしかして、雌…かなあ。じゃあ、ライバル?


「穂乃香、司君、いらっしゃい」

「お母さん!」

 ああ、お母さん、なんとなく痩せたかも。

「ほら、入って入って。疲れたでしょ?冷たい麦茶出すから」

「うん」

 久しぶりで、なんだか感動だなあ。


「あ、おかまいなく。忙しいんですよね?僕らも荷物置いたらすぐに手伝います」

 藤堂君はそう言うと、私と自分の荷物を持って、ペンションの中に入って行った。

 え?すぐに手伝うの?ちょっと休んだりしないの?


「ごめんね。司君。本当に手伝ってもらうことになっちゃったわ」

「あ、いいんです、まじで手伝うつもりで来たんですから」

 藤堂君はそう言うと、部屋はどこですか?と母に聞いた。ああ、本当にすぐに手伝う気でいるんだ…。ほんと、藤堂君って真面目だよなあ。


「こっちよ」

 母が先にペンションの奥へと歩き出し、私と藤堂君は母の後ろをついて行った。

「司君はここ。バイトの子にはこの部屋を使ってもらってるの。本当は客間を用意したかったんだけど、あいにく満室で」


「あ、全然、いいです、ここで」

「ツインになってるのよ。もう一つのベッドは、来週から来るバイトの子のために空けてあるの」

「あ、そうなんですか」

「大学1年だって言ってたから、司君とも年が近いし、一緒の部屋でもいいかしら?」

「はい、僕は全然」


「お風呂はこの奥に、私たちが使っているのがあるの。うちの家族とバイトの子は、客用のお風呂は使わないようにしてるから。この奥のお風呂を使ってね」

「はい、わかりました」

「あ、穂乃香の荷物、預かるわ。穂乃香は私たちの部屋でいいわよね」


「…え?」

 私たちの部屋?

「この奥に、お父さんとお母さんの寝室があるから。そこにエキストラベッド入れたから」

 そう言うと、母はずんずんと廊下を歩いて行ってしまった。


 え?え?なんか、藤堂君の部屋とかなり離れていない?それも、お父さんとお母さんと一緒の部屋?じゃあ、藤堂君と夜、ゆっくりできないってこと?


 ま、待って。大丈夫だよ。夜、庭に出ることもできるし、一階のリビングでのんびりと、なんていうのもできるかもしれないし。


 …なんて、そんな考え、甘かった。思い切り甘かった。

 私と藤堂君は、へとへとになるまで、本当にこき使われてしまったのだ。


 夜、10時半。ようやく全部の仕事が終わった。

「司君、お風呂入っていいわよ」

「あ、いいです、あとでも。ほ…、結城さん、先に入っていいよ?」

「…じゃ、そうする」

 私はぼ~~っとしながらそう言って、着替えを持ちお風呂に入りに行った。


「は~~~~」

 バスタブにつかり、ため息をついた。

 まさか、こんな日が来週まで続くんじゃないよね?

 まさか…ね。


 ぶくぶく…。

「うわ!」

 あぶな~~い。お風呂の中で寝てた。あやうく、おぼれるところだった。


 私はお風呂から出て、藤堂君を呼びに行った。でも、部屋に行ってノックをしても藤堂君はいなくって、リビングに行ってもいなかった。

「お母さん、つ…、藤堂君は?」

「ああ、さっき、お父さんと2階に行ったけど?」

「え?!」


「望遠鏡があるから、それをお父さんは司君に見せたかったんじゃないの?」

「な、何それ」

 父と2人きりで?じゃあ、私と藤堂君の時間は?!


 しばらくすると、藤堂君が父とダイニングに来た。それもかなり、楽しげに話しながら。

「あ、司君、お風呂空いたから入っちゃって」

「はい」

 藤堂君は母にそう言われると、すぐにお風呂に入りに行ってしまった。


「望遠鏡って?」

 父に聞いてみた。

「ああ、司君が見つけてね。見たそうにしていたから、一緒に月を見に行ってたんだ。穂乃香にも見せようか?」

「……いい」

 私はそう言って、むっとしながらさっさと寝室に行った。


 む~~~。父と月を見たって、面白くないもん。でも、藤堂君も藤堂君だよ。私がお風呂から出るまで待っててくれたっていいじゃない。


 あ~~~~~~。なんだか、思い切り期待していた分、すごくがっかりなんですけど!

 コテ…。

 悔しさと寂しさで、私は落ち込んで来てベッドに横になった。そしてあまりの疲れからか、知らない間に私は眠っていた。


 翌日、6時前に起こされた。そして朝からやっぱり忙しかった。

 それも藤堂君は父と一緒に、チェックアウトした人を送って行ったり、買い出しに行ったりで、ほとんど顔を合わせることもなく、あっという間に夕方なった。

 午後に迎えに行ったお客さんは、女子大生かOLの2人組。なんだか、嫌だなあ。ずっと藤堂君に話しかけているし。


「ねえ、高校生なの?ここで夏休みはずっとバイト?」

「いいえ」

「どっか、これから遊びに行きたいんだけど、案内してくれない?」

「僕も昨日来たばかりでわからないので、オーナーに聞いてください」

 

 藤堂君は、いつもよりも穏やかな顔で、でもほんのちょっと引きつりながらそう言って、2人の荷物を持って部屋に案内した。

 そしてすぐに戻ってくると、

「お風呂、掃除しに行ってくるね」

と言って、またさっさと行ってしまった。


 ガク…。ちょっと話くらいしてくれても…。

「穂乃香。キッチン手伝って」

「は~~い」

 そうだった。私ものんびりしていられないんだった。すぐに夕飯の準備に取り掛からないと。


 それにしても休んでる暇もないくらい、忙しい。ずっと母と父はこんな忙しい思いをしてきたのかな。

 私だったら、とてもじゃないけど、続かないだろうな。

 こんな大変な思いをしなくちゃならないのに、なんでペンションなんて始めたんだろうか。


 夜になると、2人組の女の人はワインも飲んで、ほろ酔い気分になっていた。そしてまだしつこく、藤堂君に話しかけている。

 ムカ。いくらお客さんとは言え、なんだか嫌だなあ。


「ねえ、彼女いるの?」

「いないでしょ。女性苦手でしょ~~?」

「え?」

 藤堂君は顔をまた、引きつらせた。

「あ、照れてる?可愛い~~」


 ムカムカムカ~~~。

「穂乃香。そんなぶすったれた顔していないで。これ、3番のテーブルに運んでくれる?」

「は~~い」

 私はデザートを持って、ダイニングに行った。3番のテーブルにいるお客さんは3人家族。若いお父さんとお母さんと、4~5歳の男の子が一人。


「ほら、たか君。アイス来たよ~~」

「わあい」

 あ、喜んでる。すっごく喜んでる。可愛い。

 なんだか、微笑ましい仲のいい家族だな。夫婦仲もよさそうだし。いいなあ。


 私もいつか、藤堂君と結婚して子供ができたら、旅行行きたいなあ。あんなふうに…。


 と、妄想してから、自分の妄想で顔から火が出た。

 今、何を妄想してた?藤堂君と結婚したら?!うきゃ~~。


 かっかかっかと顔を熱くして、キッチンに戻った。

「どうしたの?」

 母に気づかれた。

「ななな、なんでもない」

 私は慌てて顔を隠し、流し台に行き洗い物をした。


「手伝う」

 藤堂君が隣に来た。うわ。顔が赤いのばれちゃうよ。

 私はなるべく藤堂君を見ないようにして、洗い物を続けた。


「しばらく、キッチンを手伝うよ。ダイニングは結城さんが行って」

「なんで?」

「あの女子大生、苦手…」

「あ、からまれてたものね」

「酒飲んでる人も、苦手…」


「うん、わかった」

 顔の赤いのも引いたようだから、私はダイニングに行った。すると、あの女子大生は、

「な~~んだ、あの子引っ込んじゃったの?つまんない」

と言って、さっさと部屋に戻って行った。

 む~~~。あきらかに藤堂君狙い?


 それより!今日こそ、藤堂君と一緒に望遠鏡で月を見るぞ。きっと星もいっぱい出てて、ロマンチックに違いない。

 とわくわくしながら、藤堂君を誘い2階に行くと、お客さんが望遠鏡で空を見ていた。


 ガク~~~~~。先約がいたか。

「仕方ないね。穂乃香、先にお風呂に入る?後で見に来ようよ」

「うん」

 仕方なく私は、お風呂に入った。


「あ~~あ」

 ため息をついて、バスタブにつかる。ぶくぶくぶく…。沈みそうになり目が覚め、

「あ、あぶなかった」

と急いでお風呂を出た。


 そして髪を乾かし、藤堂君にお風呂空いたよと呼びに行き、部屋に戻り、そして知らない間にベッドに横になって、私はまたぐーすか寝てしまった。

 朝起きて、しまった!藤堂君と一緒に月を見るはずが…。と寝たことを思い切り後悔したが、やっぱりその日も次の日も、お風呂から上がると私はすぐに、爆睡してしまい、結局藤堂君と夜を一緒に過ごすことはできなかった。


 そして、あっという間に次の週がやってきた。

 ああ、今日からバイトが来るんだよね。じゃあ、藤堂君とゆっくりした時間が持てるよね。あの女子大生も、昨日帰って行っちゃったし。


 藤堂君は結局、ほとんどあの女子大生と顔を合わせようとせず、見送りも父一人に行ってもらい、ペンションの掃除やベッドメイキングに藤堂君は専念をしてくれた。

 良かった。言い寄られたままにしていたら、私、ちょっと怒っちゃったかもしれない。


 っていうか、すでに怒ってた。それがもしかしたら、藤堂君わかったのかもしれないなあ。

 私もペンションの掃除に専念した。2人ともけっこう一生懸命にやっていたから、やっぱり会話をすることもなく、黙々と仕事をした。


 だけどそんな日も今日までだよ。だって、バイト君が来てくれるんだから。藤堂君の仕事は、減るってことだ。

 良かった!

 と喜んでいるのもつかの間。やってきたバイト君はやけに、軽そうなちゃらい男。耳にピアス2個ずつしてるし。


 なんで、こんなの雇ったのかなあ。うちの父は。

 そして案の定彼は、まったくやる気も見せず、それどころか今度はそいつが私に絡んで来て、うっとしいことになってしまった。

 あ~~あ。なんで、2人きりになれないかなあ。もう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ