表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者側で召喚されたはずの俺が魔王側にいるんですけど!?  作者: YoneR
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/32

衝撃

短めです。ただ、次回の更新までの期間も短いです。

〖フィシア視点〗


 え?


突然琉斗が倒れこんだ。

なにも攻撃されてないはずなのに。


「琉斗!?」

「ゲホッ、ゴホッ!」

琉斗が激しく咳き込む。


 血!


私は急いで回復(ヒール)をかける。


だけど、


「・・・なんで!?回復が効いてない・・・」


ぜんぜん効いてる様子がない。


 回復が効かない?明らかにどこか怪我してるのに?どうして・・・?


回復が効かないとなると、次にするべきは高回復(ハイヒール)。けど、私は高回復は使えない。


なぜかというと、サポート系の魔法をろくに練習してないから。


だって、サポート系の魔法は面白くない。


私が好きなのはやっぱり攻撃魔法。見た目が派手だし、バリエーションもたくさんあって面白い。


防御系の魔法もそれなりに好きだ。これも、バリエーションは攻撃魔法ほどではないにしても豊富だし、攻撃を通さないよう魔力密度を高めてあってきれいなものが多い。特に氷の盾は透明だからとてもきれいで気に入ってる。


サポート系はさらに治癒系と補助系分けられており、治癒系は回復とそこから派生したもの、補助系は身体強化などだ。見た目も効果も地味で、バリエーションも少ない。


 どうしよう、どうしよう・・・


「ねぇ、あなた!」

私がどうしたらいいか分からず焦っていると、盗賊の女の人が私を呼んだ。


「回復が使えるんでしょ?取引をしない?」

「・・・取引?」

「ええ、あなたはヒイスを治療する。その代わり、私たちはあなたに解毒薬を渡すわ。その男、毒矢に当たったんでしょ?」

「!」


 毒!それで・・・確かにちょっと様子が変だった気がする。やっぱり最初の矢?見たことない形だったから気にはなってたけど・・・


家臣学校では魔法科だとしても、武闘科や剣を使うところ、弓矢を使うところ(興味ないから何科だったか覚えてない)とかで詳しく学ぶようなことも、基礎的なことだけはする。


だから矢の形によって多少の種類はわかるけど、まったく見たことがないものだった。


ちなみに解毒の魔法は回復と同じサポート系で、私は使えない。面白くないからと練習してなかったことが悔やまれる。


 取引に応じるべき?それともテレポートで逃げるべき?


「琉斗どうする?」

「・・・」

「琉斗?・・・琉斗!」


私は軽く琉斗の体をゆすったが反応がない。


 気を失ってる・・・。どうしよう。この毒って致死性?


致死性だったらまずい。テレポートで帰っても解毒薬が見つからないと死んでしまう。


 ・・・・。



「・・・分かった。取引に応じる。」

「ほっ。よかっ――」

「だけど、あなたたちは盗賊。信用できない。先に解毒薬を琉斗に飲ませる。」

私は悩んだ末に取引に応じることにした。


「っ・・・いいわよ。―――。」

女の人は部下の人に解毒薬らしき液体の入ったビンを持ってこさせた。


それを受け取り、解毒薬であることを鑑定してから琉斗に飲ませる。


琉斗は気絶しているので、口を開かせて解毒薬をそこに入れ、水魔法でさらに奥まで無理やり流し込む。


 これで大丈夫なはず。


「飲ませられた?なら早く回復を!」

「ん、分かった。」


盗賊はきちんと解毒薬を渡してくれた。だから私も返さないといけない。


私は右腕を切り落とされた男の人のところまで行き、回復をかけた。


高回復じゃないので時間がかかる。だけど少しずつ腕が生えてくる。


「・・・おお、ありがとな。」

「ありがとう。」

男の人と女の人がお礼を言ってきた。


「私は取引に――」



私は取引に応じただけ。そう答えようとしたとき、背後に()()を感じた。



氷の盾を出そうとする。



だけど間に合わない。



首の後ろに強い衝撃がきた。



「そして、ごめんね。」

女の人の声が聞こえ、目の前が真っ暗になった。



============================



 ん・・・、ここは?


私は目を覚ました。


周りを見ると、白いテントの中のようだ。私のほかには誰もいない。


すぐそばには私の杖が立てかけてあった。



「おっ、起きたみたいね。」

少しして、盗賊の女が中に入ってきた。


私はそれで一気に何があったのかを思い出し、女から飛びのいた。


「そんなに警戒しないで・・・って言っても無理よね。でも、信じてもらうしかないけど、私たちにあなたに危害を加える気はないの。」

「・・・琉斗は?」

「隣のテントに寝かせているわ。」

そう言われても、まったく信じられない。


私は魔法を使って周囲の状況を調べようとした。


しかし、なぜか魔法が使えない。


「悪いけど、今は魔法を使えないようにさせてもらってるわ。頭に魔道具をつけさせてもらってる。」

「!!」

頭のあたりを触ると、頭から少し浮いたところに何かがあった。これが魔道具なのだろう。


魔法が使えないとなると、私は何もできない。


最悪テレポートで逃げられると思っていたので、一気に不安が押し寄せる。


 どうしよう・・・。琉斗は大丈夫?というか危害を加えるつもりがないってどういうこと?


「琉斗は起きてる?」

「そのことなんだけど・・・」

何か言いにくそうにしている。


「?」

「実は・・・」

そう言って何かを私に見せた。


最初に飛んで来た奇妙な矢だ。


「これは特別な毒矢で()()()()()()の。」


 え・・・?


「どういう、こと?」

「これは私たちのものじゃなくて、とある()()()から渡されたもの。」

女の人の声がとげとげしく聞こえた。あまり好ましい人からのものではないみたい。


「それが私たちがカラズを攻める理由でもあるのだけど・・・。とにかく、琉斗ってあなたが呼んでる人はまず()()()()()と思っていた方がいいわね。なんで即死じゃなかったのかが不思議なくらいよ。あなたに渡した解毒薬は本物の解毒薬だけど、この矢の毒には効果はほぼない。」


私は衝撃が大きすぎて言葉を失った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ