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勇者側で召喚されたはずの俺が魔王側にいるんですけど!?  作者: YoneR
第一章

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街へ

「えぇーと。これで用が終わったなら俺は部屋に戻ろうと思うのだが。」

 俺はベッドに転んで本を精読したい。

「ちょっと待って。あんたの名前すら聞いてないんだけど。」

「あれ?そうだったっけ?」

「そうよ。あんた昨日負けず嫌いだからどーのこーのって言って、すぐ帰っちゃったじゃない。」


 そういえばそうだった気がする。


「瀬川琉斗だ。17才。ランクはC。魔力量は350。魔法属性は陰だ。」


【ランク】

 魔王側は最高位からS、A、B、C、D、E、F、Gの8種類のランクがある。これは生まれ持った才能を表しており、変わることはない。


以下の説明は、ある程度鍛錬を積んだ者を基準としている。


 Gランク

  最低位のランク。主に子供や戦闘の才能が全くなかった人。この世界のおよそ40%。

 Fランク

  ほんの少しだけ戦闘の才能あり。最弱の魔物を倒すことはできる。この世界のおよそ24%。

 Eランク

  戦闘の才能あり。複数人であれば中位の魔物を倒すことができる。この世界のおよそ17%。

 Dランク

  一人で中位の魔物を倒すことができる。この世界のおよそ10%。

 Cランク

  複数人で上位の魔物を倒すことができる。この世界のおよそ5%。

 Bランク

  一人で上位の魔物を倒すことができる。この世界のおよそ3%。

 Aランク

  国の重要人物。最上位の魔物と戦闘可能。この世界のおよそ1%。

 Sランク

  国のトップ。この世界のおよそ0,01%。


ネーアが召喚された順番は上から50番目。召喚された人の中ではちょうど真ん中あたりの実力を持っているということだ。それでCランクということは、召喚された人たちがこの世界に適性を持っていることがわかる。


そして、俺のランクは魔王側にのっていないℤランク。これは勇者側のほうにしかないランクだった。


 ※勇者側は最高位からℤ、SSS、SS、S、A、B、Cとなっている。

これはランクの説明の一番下に補足で書いてあった。

このことから俺が勇者側であることがわかる。


 そしてもう一つ。


【魔力量】

 この世界に適性があるものほど多い。その人の戦闘スタイルによって魔力量は大きく異なるため、ランクが下の魔術師がランクが上の剣士を魔力量で上回ることも多い。

ランクごとの基本的な魔力量(目安)

 Gランク0~30

 Fランク30~60

 Eランク60~100

 Dランク100~200

 Cランク200~400

 Bランク400~600

 Aランク600~1000

 Sランク1000~1500


これには勇者側の魔力量の目安は書かれていなかったが、ランクと魔力量から俺がこの世界のチートキャラである可能性が非常に高いことが分かった。


 だから、とりあえずはネーアの少し下ぐらいのポジションでいるとするかー。


「ふぅん。で、5時間もあたしを待たせておいて、何もせずに帰っちゃうわけ?」


 それは確かにそうだ。


「じゃあ、街にでも出かけるか?俺は全然どこにどんな店があるとかわからないけど。」

「うん!」

金色の毛でおおわれた尻尾がぶんぶんと揺れている。

ちなみにネーアの耳や髪、尻尾はすべて金色だ。瞳の色は俺と同じ黒。身長は俺より少し低いぐらいだ。俺は180にとどいてないくらい。


===============================


「で、まずはどこに行きたい?」

俺たちは図書館を出た。図書館は魔王国が首都ノースハザードの中心あたりにある。ちなみに世界地理的には俺たちがいる魔王国が北側、帝国が南側に位置している。そのほかの国や部族はこの二つの大国を取り囲むかのように位置している。


「うーん。まずは服を買いにいこっか。あたしはまだましだけどあんたのその奇妙な格好は絶対に目立つ。」

「それはそうだな。」


俺はこの世界に召喚された時の恰好のままだ。たまたま日本と魔王国の季節が一致しており、まったく気にしていなかった。


ネーアがもともといた世界とこの世界の服装は比較的似ているらしい。






「・・・・」

「・・・・・」


「なぁ。」

「ん?」

「さっきから同じところでループしてる気がするんだが。」


俺たちは図書館から出た後、大通りから外れた細い道を歩いている。ネーアがこっちだと思うと言ったからついてきていた。


 これは・・・


「・・・・」

「場所はわかってるのか?」

「わっ、わかってたはずだし!」

 てたはずって。完全に迷子だな。

「とりあえず近くの店の人とかに道を聞いてみるか?」

「・・・わかった。そうする。」


俺たちは近くの少し大きめの通りに出た。


「誰にきこっかー?あっ、あの人は見たことある。たぶん私たちと同じ魔人だと思う。ちょっと聞いてきてみる。」

ネーアはそう言って向こうへ走っていった。


【召喚人】

 異世界から召喚された人々。魔王側に召喚された人を魔人、勇者側に召喚された人を勇者と呼ぶ。


俺も走って後を追いかける。


「すみませーん。あたしたちと同じ魔人ですよね?前に見たときと服が変わってるんですが、どこで買ったんですか?」

ネーアはいかにも貴族というおそらくネズミの獣人の男に声をかけた。小太りで、ジャラジャラと宝石を身に着けている。その男の周りは兵士のような人たちが囲っている。


 あれは召喚順33番の男だな。周りにいる奴らは、25番、47番、88番、89番 107番。おそらくネズミ男が元の世界の王族か貴族で、その権力を使って同じ世界にいたやつらを護衛にしたのだろう。それにしたってネーアももう少し声をかける人を選べばいいのに。


「気やすく話しかけるでない!!こちらにおられるお方はわれらがチュウ王国第一王子、デキレッタ様であるぞ。この、女狐が!」

 

 ほら、こういうタイプは無駄に自分の地位を見せつけようとする。道を聞くならこの世界の話しやすそうな住民にするべきだ。


ネーアは『女狐』という言葉にビクッと反応し、顔を少し青ざめている。


「おい!聞いているのか?これだから俺は女狐は嫌いなんだ。お前らなんかは娼館にいるのがお似合いだ。」

「もうよい、リグレウス。行くぞ。後でちゃんと罰があたるさ。」

デキレッタがネーアを怒鳴り散らしていた25番ことリグレウスに声をかけた。


「はっ。無駄な時間を使ってしまい申し訳ありません。」

「行くぞ。」

そう言ってデキレッタ一行は去っていった。


俺はネーアのもとへ行った。

「おい、大丈夫か?あいつらもあいつらだが、ネーアも話しかけるならもう少し」

そう話していた時、俺は何やら魔力の波長のようなものを感じた。


その方向を見るとデキレッタ一行が去っていこうとしている。


 なんだ?さっきのは。俺の気のせいか?


俺はデキレッタをよく見た。すると、デキレッタの左手がこちらに向いており、指先がまるで鉄がさびたような色に光っていた。


 ん?あいつは俺たちに何かしたのか?だが、今のところ攻撃された様子はない。このまま何もなかったらいいんだが・・・


「ん?どうかしたの?」

「・・・いや。なんでもない。それよりも大丈夫か?女狐という言葉に妙に反応していたようだが。」

「・・・ああ。昔ちょっとね。今はもう大丈夫。それよりもせっかくのデートが邪魔されちゃったね。まっ、気分を切り替えてもう一度服屋をさがしにいこっ。」

「ん?デート?」

「あへゃっ!ち、違うし!言い間違えただけ!で、で、えぇっと・・」

「ネーアのいた世界では恋人同士でなくても男女で買い物をすることがデートになるのか?」

「そそ、そうなのよ!」

「へぇー。じゃ、デートの続きをしよっか。」

「う、うん!」


俺たちはもう一度服屋を探しに行った。


次回はもう少し早く投稿できるかと・・・。三千字って短いでしょうか?

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