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勇者側で召喚されたはずの俺が魔王側にいるんですけど!?  作者: YoneR
第一章

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状況整理+これからの予定+友達ができる

前回からかなり日があいてしまいすみません。

 ええっと・・・。ランクが勇者ってどういうことだ?いやいや、職業が勇者なのかもしれない。


「ねぇ、あんたはどんな感じだった?」

左斜め前の狐の獣人が自分のレートカードを見せながら話しかけてきた。


《名前》 ネーア

《ランク》 魔人 Cランク

《魔力量》 400

《魔法属性》 光

《ストレンジスキル》 (指定なし)

《家臣》 (未)

《ギミック》 (なし)


 うーん。ランクに表示されているのは職業なのだろうか。あまり魔人は職業という感じはしないのだが。


「ねぇ。」


 それに、ランクの差がおかしい。この世界のランクの順番はわからないが、アルファベット的にℤの次がCなのは考えにくい。


「おーい。」


 魔力量もおかしい。俺は万をこえていた。召喚順が前後なのに、魔力の差が30倍以上はさすがにあり得ない。


「ちょっと。あんたに話しかけているんだけど。」

ネーアは腕を組んで頬をぷぅっと膨らませている。


 そうだった。考えに夢中になって相手のことを無視していた。だが、今の状態で俺のレートカードを見せるのは良くないと思う。適当にごまかすしかないな。


「ああ、悪い。こんなかわいい人に話しかけられると思ってなくてな。少し驚いてた。」

「なっっっ!!」

ネーアは大きく目を見開き、その後すぐにそっぽをむいた。頬が少し赤くなっている。

 

 まぁ、べつにかわいいと思ったのは嘘じゃないし、ごまかすにはいいだろう。


「・・・で、あんたはどうだったの。」

「俺は負けず嫌いなんでな。わざわざ俺より強さが上だとわかっている奴には見せたくない。じゃあな。」


俺は広間から出た。そして、まだ日は落ちていないが部屋に向かう。

 

 とりあえず部屋に行って、いろいろ状況整理とこれからどうするか考えるか。


===========================


「おぉ。結構豪華な部屋だな。」

 まさに異世界の客人のための部屋って感じだ。ベットもかなり広い。まぁ、俺は布団派なんだけど。


「まずは状況整理だ。」


 俺は異世界に召喚された。魔王側と勇者側の戦争を終結させるためだ。そして俺が召喚されたのは魔王側。しかし、おかしい点がいくつかある。

 その1、レートプレートには勇者と書かれていた。

 その2、ランクがℤだった。

 その3、魔力量が万をこえている。

 その4、召喚順が前後の人との上記のものの差が大きすぎる。

 

 ・・・わからないことが多すぎるな。さーて。どうしたものか。



「・・・よし。とりあえず資料館や図書館に行ってこの世界の知識を身につけよう。」


============================


「ふぅ、これで大体の本に目は通し終わったかな。」

俺は山のように積みあがった本の上に、目を通し切った最後の本を置いた。


 あとは頭の中で精読していく感じだな。しかし、予想以上に本の数が多かった。この万ごえの本を精読するとなると、なかなかに時間がかかりそうだ。だが、これで分かったことがある。


 俺は()()()で召喚されたはずなのに、()()()にいるということだ。


 まぁ、あとはベッドで考えるかー。


俺は席からおもむろに立ち上がった。しかし、座り続けていたため足がいうことを聞かない。バランスを崩してしまった。


「やべっっ・・・!」


ドサドサアドサァア・・・・・!

本の山が雪崩れた。


「ちょっ・・・!大丈夫?」

誰かがそう声をかけながら本に埋もれた俺を救出する。


「ああ。なんとか。」

「・・・ったく。5時間以上もずっと読みっぱなしだからそうなるのよ。」

「というか何でここにいるんだ?さっきの発言からすると5時間ほどいたらしいが。」

俺を助けてくれた人、ネーアにそう尋ねる。


「あんたをずっと待っていたのよ。」


 ん?特に待たれるようなことはしていないはずだが?


「なんで俺を待ってたんだ?」

「これだけ本のバリケードがあると話しかけにくかったの。それにすごい勢いで読んでいたから邪魔しないほうがいいと思ったの。あんたあれで読めてるの?」

「ああ。俺には完全記憶スキルがあるから一文一文を読んだわけではないが、すべての文章は頭の中に入った。」

「えぇっ!あんたもうストレンジスキル決めたの?」

「・・・・」

「うーん。あたしはどんなのがいいかなぁ。」


【ストレンジスキル】

 自分自身で考えたスキル。登録すると変更はできない。その人のランク、魔力量、魔法属性は関係なし。ほぼどのようなスキルでも取得できるが、即死などあまりに大きなスキルは不可能。


「・・・で、俺が聞きたいのはそこよりも、俺を待つ目的なんだが。」

「・・・友達になれると思ったのよ。」

ネーアがボソッとつぶやく。

「なんで俺と?」

「・・・」

ネーアはうつむいたまま答えない。頬が少し赤い気がするが気のせいだろう。


 そういえばほかに狐の獣人はいなかったな。ということは・・・


「おまえも召喚された中に同じ世界のやつがいなかったのか?」

「ええ。」

「つまり、お前はさみしがり屋で知り合いがいなくて心細かったが、自分と同じようにぼっちでいる俺を見つけてしかも強さも同じぐらいだから友達になれるかもしれないと思ったわけだ。」

「・・・っ!!あたし別にさみしがり屋じゃないし!」

「へぇー。俺を5時間も待っていたのに?」

俺はネーアの顔を覗き込む。

ネーアは少し怒ったように頬を膨らませた。


「・・・で?」


俺は黙って右手を差し出す。


「え?」

「これからよろしく。」


ネーアは驚いたような顔をする。

「いいの?」

「ああ。」


ネーアは一瞬戸惑っていたが、笑顔で俺の右手をとった。







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